ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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「ようこそ魅惑のクイーンオブハート~情熱のローズを添えて~」が美味だったよ!




に……21作目……だと……?


とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利
とある猫の日の甲本真島
とある誕生日の甲本浩人
とある発情期の真島昌利
とある皐月の甲本浩人
とある新居の甲本真島
とある文月の甲本真島
とある真夏の甲本真島
とある中秋の甲本浩人
とある神無月の甲本真島
とある霜月の真島昌利
とある年始の甲本真島Ⅱ
とある睦月の甲本浩人Ⅱ
とある弥生の甲本真島
とある卯月の甲本真島
とある皐月の真島昌利


未だ手探りで書いてます! 






いかにも梅雨らしい曇天の休日、朝にカーテンを開けた私が、こんな天気じゃきょうはどこにも出かけられないねえ、と呟いたのを、甲本ヒロトと真島昌利はずっと気にしていたらしい。軽いブランチを取ったあと、夢中で読んでいたロックスターの自叙伝からふと目を上げたら、いつの間にか甲本ヒロトと真島昌利がベランダでなにやらこそこそしている。ちょうど1年前にこの部屋に引っ越してきた当初は、ベランダに出すのにもいちいち気を使ったものだが、いまではごくまれに気が向けば洗濯物を干すのを手伝ってくれる甲本ヒロトと、夏になればベランダの隅にテントを張る真島昌利である。勝手に窓を開け、ベランダに出たからと言って特に心配はないのだけれど、毛虫か何かをこっそり愛でているのはちょっと困るし、本の中の破天荒なロックスターには少々お待ちいただいて、私も様子を伺いにベランダに行ってみることにしよう。

甲本ヒロトと真島昌利が2本の向日葵のように並んで立つ背中から覗き込めば、いまは何もかかっていないはずの洗濯物を干す竿に、妙なものが引っかかっていた。まず、ヘッドホン。竿をはさむようにして引っ掛けられたヘッドホンは、重く垂れ込めた曇天を背景にゆらゆら揺れている。ヘッドホンはいつも甲本ヒロトが使うときそのままの状態で、限界まで伸ばされたコードは室内に引き込んで白いレコードプレイヤーにつながれ、景気のいいラモーンズのレコードが回転している。ヘッドホンからはごくちいさく、ディーディー・ラモーンのベースのうねりが聞こえていた。
ヘッドホンの横にこれまた同じように引っ掛けられていたのは、真島昌利が夜に自分の巣の中で愛用している、ポータブルのDVDプレイヤーに繋がれたイヤホン。これもコードをぎりぎりいっぱいに伸ばし、プレイヤー本体は窓すれすれの場所においてある。小さな画面では、ミック・ジャガーがあいも変わらず腰を振っていた。そして、なんと、私のかばんから勝手に持ち出したらしいi podまで物干し竿に吊るされている。音漏れは聞こえないけれど、きっと何かロックンロールが流されているのだろうと思う。ヘッドホンも、ほかのふたつのイヤホンも、勝手気ままにそれぞれ音楽を流しながら、水無月のくすんだ曇り空に妙な具合に溶け込んでいる。

変ないたずらをするんだな、と甲本ヒロトと真島昌利の顔を覗き込むと、いやに自信に満ちた顔つきで、腕を組み、じっと空を見つめている。なんなんだろう、いったい何をしているんだろう、なんの意味があるのだろう、と甲本ヒロトの横顔を見て、真島昌利の顔を見て、甲本ヒロトの顔をもう一度見たところで、まるで「よし!」とでもいうように、甲本ヒロトがこぶしをぐっと握り締めたのに気づいた。

ついさっきまで、雨を含んで不機嫌だった空に変化が起こっていた。ちょうど、ヘッドホンの両耳に挟まれた空間の辺りだ。使い古した雑巾の色から脱して、わずかに希望の持てる白っぽい色になり始めている。おやおや、とベランダに揃って、ばかみたいに見ている間に、オセロの駒をくるりと反すように晴れ間が覗いた。上空の方が風が強いのだろうか、しばらく見ていると、そのわずかな晴れ間は、あたりの暗雲をくるくると巻き込んで、次から次へと青空に変え始めた。ひどく手際のいい洗濯でも見ている感じだ。

そういえば、前にもこうして甲本ヒロトと真島昌利は、外へ向けて音楽を放っていたことがあるなあ、と思い出す。あれは冬で、大音量で流れていたのはブルース・スプリングスティーン。ロックンロールを聴けば、冬だって春にならざるを得ないように、曇り空も晴れないわけがないだろうと、甲本ヒロトと真島昌利はそう考えているのかもしれなかった。ベランダの竿にヘッドホンを引っ掛けて、空にロックンロールを聞かせてやったのだ。ラモーンズやローリングストーンズ、ばかばかしいほど景気のいいロックンロール・ショー。幕が上がるようにするすると空は明るく輝きだし、甲本ヒロトも真島昌利もひどく嬉しそうな上、自慢げだ。

たとえばそれがぜんぶ単なる偶然で、私たちが寝過ごしていて見なかった朝のニュースで「きょうは昼過ぎから徐々に晴れてくるでしょう」とアナウンサーが言っていたのだとしても。
こんな愉快な音楽を聴いたなら、ぐずついた空も晴れないわけがないじゃないか、と、甲本ヒロトと真島昌利はきっと信じているのだろう。

そしてもちろん、私は彼らに賛成だ。



いつになく準備のすばやい甲本ヒロトと真島昌利に先導されるようにして部屋を出た。さっさと歩けとせかされるような道行きに、一種の疑惑がつきまとう。何か魂胆があるに違いない、と思う、そういう勘だけはいやによく当たる。甲本ヒロトと真島昌利のいきつけ、半地下の中古レコード店「オーガスト」にて、大放出レコードセール。なるほど……そういうことか。

甲本ヒロトは箱の後ろからレコードを1枚1枚、丁寧に見る。時々引き出して、ジャケットを確認してはにこりと笑う。横に並んでレコードを見ている真島昌利と、彼らにしかわからない言葉で楽しそうに話しているのを見ている。「セール」と銘打つだけあって、いつもよりも格段に安いので、仕方なく3枚ずつレコードを買ってやり、それぞれの買ったレコードはそれぞれに持たせる。まったくもう、と口ではそう言うけれど、少し埃くさい、西日の匂いの小さな取り残された8月の店は、私たちみんなのお気に入りの場所なのだ。髭を生やし、おっとりとしたヤギに似た店主は「また来てね」と私と甲本ヒロトと真島昌利と、それぞれにそう言って、手を振ってくれた。

街をぶらぶら歩いて、まえから目をつけていたカフェに入ってみる。テラス席があるので、甲本ヒロトや真島昌利と一緒でも大丈夫だろうと思ったのだ。ふわふわしたパステル使いの店構えや、外から覗ける位置にあるガラスケースの中のケーキが、やたらかわいかったので一度来てみたいと思っていたのだ。しかし、いざ席について注文しようとしたら、ケーキの名前がそろいもそろって、

「森の妖精たちの微笑みモンブラン」
「お待ちよシンデレラ、ガラスの靴ムース」
「そよ風のように気まぐれシェフのベリーベリーパルフェ」
「執事セバスチャンのプリンセスご教育チョコレートケーキ」……

……口にするのが恥ずかしい名称だった。
ケーキのページを見つめながら、しばし固まってしまう。写真を見るとどれも、すごくおいしそうで迷う……でも、これは……これは……。甘いものの好きな甲本ヒロトを伺えば、これもおいしそう、これもおいしそう、とメニューを次々めくって、目を輝かせている。
覚悟を決めて呼吸を整え、まるで不思議の国のアリスのようなかわいい制服のウェイトレスさんを呼び、
「え……っと、この『いたずらウサギの恋するストロベリーパイ』と……」
と赤面しながらもまじめに注文したら、

「はい、いちごパイですね~」

おいこら。

……ちゃんとご注文繰り返せよ。

ちなみに、甲本ヒロトと真島昌利は、メニューを指で指して注文していた。ずるい。なんなの、その、たったひとつの冴えたやり方……。
こんな名前をケーキにつけたシェフ(きまぐれ属性)は許せないけれど、ケーキはとても美味しかったし、雰囲気も良いケーキ屋だった。夜には少しお酒も飲めるらしい。こんどは、遊びに来る友達を連れてきて、みんなで一緒に恥ずかしい名前の料理を連呼しよう!


甲本ヒロトと真島昌利のおかげで、たからもののようにぽっかり晴れた水無月の休日は、こうして暮れていく。


ちょっと足を伸ばして、少しだけ高級なスーパーマーケットで食材を買って、またのんびり歩いて部屋に戻る。買って来たレコードを甲本ヒロトの分と真島昌利の分と交互に1枚ずつ聞きながら、夕食を作って食べた。甲本ヒロトがきょう買って来たレコードと、いままで持っていたレコードと合わせて床に積み、楽しそうにレコード棚の整理を始め、真島昌利はソファに横になってゲーム機を起動させる。そっとゲーム機を覗き込もうとすると、すばやく振り返って、見るな、とばかりに喉の奥で軽く唸る。隠した画面からニャアと猫の鳴き声がするのを、また慌ててクッションの下に突っ込んでいる。何も知らないふりをして、意地悪に「ねぇ、何のゲームやってるの?」と聞くと、真島昌利はふてくされたようにダイニングテーブルの下にもぐりこんで、丸まってゲームをやり始めた。しばらくして夢中になっているのを横目でこっそり確認すると、幸せそうに微笑んでいる。ニヤとかいうはずの名前のねこが、彼にとってはそれほどかわいいのかと思うと、食器を洗いながら私はひとりで幸福になる。


それからどたばたとお風呂に入って、眠る準備。わあいとふざけてベッドに前のめりに体を投げ出すと、ふざけて甲本ヒロトと真島昌利もまねをする。いちばん下敷きになった私の背中はずっしり重くて、そしてあたたかい。引っ付けば暑苦しいとわかっているのに、なんだかごちゃごちゃに絡まって私たちは眠る。いろんな具財が鍋の中に一緒くたに入って、コトコト煮えて熱いおでんみたいに。……おでんなんて季節はずれのものが急に思い浮かんだのは、きっと湿気が多くて、やたらと暑い夜だから。夏の始まりは、きっと水無月にひそんでる。そして、誰もしらないうちに、もう沸騰に近づいている。

ちくわみたいに細い甲本ヒロトの足がなぜだか私の頭の横にある。真島昌利はもう眠りについたろうか。起きている間中、同じ景色を見ているのに、眠っても同じ夢を見たいと願ってしまうのは、きっときみたちのことがどうしようもないほど大好きだから。



みんなで一晩じっくり寝れば、きっといい出汁が出て、もっともっと美味しくなるよ。



それならば。



あしたはもっと美味しい生活を、きみたちと味わってゆこう。


コメント

んもぅ いいな♡ 真島昌利と甲本ヒロト...
でも空に元気をあげ過ぎです。
昨日今日とめっちゃ暑くて 
毛むくじゃらの 柴と柴猫と高橋ヨシオを 見るだけでも暑苦しいのに
ワザワザ 私の部屋でみんな寝やがって...
柴猫なんか お腹の上に乗っかって寝やがるし...

こんにちはっ
か、可愛い!今回もとっても可愛いです。
天気予報では晴れる、と言っていてもやはり、晴れたのは甲本ヒロトくんと真島昌利くんの魔法のよおかげな気がしてしまうのは贔屓でしょうかねえ。

可愛くて恥ずかしい名前のケーキたち、是非わたしも食べてみたいです。というか彼らが食べているのを見て萌えたい……

真柴猫さん
いつも読んで下さってありがとうございます! 今日は少し涼しいようですが、昨日までほんとに暑かったですね。張り切って照り乞いしすぎですよね。
真柴猫さんのところの皆さんは、ちゃんと夏毛に生え変わったかな? 高橋ヨシオも生え変わるのかなあ。でも、どっちにしても暑そうだなあ。

凛華さん
彼らの魔法だな、と思ったら、暑い暑いと文句を言いつつ、ちょっと笑えてしまいそうですよね!
あのケーキ屋さん、こんど凛華さんもご案内しますね。みんなでケーキ食べましょう。注文は凛華さんに任せた! でも、彼らがモフモフお菓子を食べている姿は、きっと可愛いぞ~。

は!もう月末なのですね?

月に一度のお楽しみを、ありがとー(にやにや)
21作とな・・・すごい!
そろそろ文庫にして出版したらいいんじゃないの?
特別付録は甲本・真島お散歩地図でどうだろう。

文庫になったら、ヒロトスキーさんの挿絵と
付録の地図は ぷにすけさんのハンコで お願いします。

柴と猫は冬毛がすっかり抜けました。
ヨシオは結構神経質でマメにコロコロをかけています。

ぷにすけさん
「月に一度のお楽しみ」と言って下さってありがとー。
21作目まで来てしまいましたよ。しかも、まだもう少し書けるかな、というこの無駄な情熱! 出版の暁には、もちろんぷにすけ特製ハンコが必須なので、準備をしておくがいいぜ!

真柴猫さん
ヒロトスキー君の挿絵とぷにすけさんのハンコって、私と同じことを考えましたね。で、真柴猫さんは読者プレゼントの小物製作?(←逃がすつもりはない)

ヨシオも毛が抜けますか! コロコロが日常感あふれていますね。夏毛に生え変わったばかりの、獣の手触りがすごく好きです。

待ってました!
個人的に黙ってメニューを指差す甲本ヒロトと真島昌利に萌えております。
今日も雨だから、私も空に向かってロックンロールを聴かせてやろうと思いました。次回作も楽しみにしてます!(文庫本激しく賛成w)

d「とある…更新されてるよ~!!」
m「ホント?今度は、どんなお話?」
これが、我が家の毎月恒例の会話です。まさに月一の楽しみになってます。

甲本ヒロトと真島昌利、たまらなく可愛い…私も下敷きになって眠りたい。
ディーディー・ラモーンのくだり、うちのディーディーが喜んでました♪
次回作も、文庫本(付録も…)も、とても楽しみです!

ヤムヤムさん
いろんな萌えどころがあるものですね。もっと詳細にカフェのシーンを書けばよかったな。また「黙ってピッと指をさす甲本ヒロトと真島昌利」の姿を書きたいです。
よし、ヘッドホンを空に高く掲げろ! ロックンロールはきっと、すべてを変えてしまうだろう!

マリリンさん
母娘のおふたりに毎月楽しみにしていただいて、嬉しいですよ。
下敷き……書いていて「いちばん下になっても、なんかダメージ少なそうだな……軽そう……」とか思いました。


文庫本、ぜったいみんな付録目当てじゃないか! まったく! 私も付録が欲しいよ!

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