千年メダル1/ぼくの恋。
あいつみたいに君に「永遠に君を愛する」なんて言えない。
あいつみたいに君に「十字架の前で愛を誓おう」なんて言えない。
だって僕は、こんなにもダメな男で。君が太陽なら、僕は月みたいな存在で。でも、君の光に心の底から魅せられて、引力みたいにひきつけられて、君の周りをゆっくりと、ゆっくりと周回してるんだ。そう、月みたいにさ。
たぶんさ。
こんな僕の思いは、ずっと君には伝わらないんだと思う。伝えられないんだと思う。どんなことを言えば、君が喜んでくれるのかさえ、僕にはぜんぜんわからない。カッコいい台詞を言えたらなあって思うけど、そんなのなかなか思いつかないし。きっとずっと思いつかないんだと思う。ほんとに、僕ってダメなんだ。
でも、君がすきだよ。足の先から頭の先まで、君への思いに満ちてる。僕が生きているって実感が持てるのは、君がいてくれるから。
僕が歩くのは君に会いに行くためだし、僕が眠るのは君の夢を見るためだ。
何も言わなくてもいいし、何も進まなくてもいい。君がどんな人で、君がどうして行きたいのかなんて聞かなくてもいい。いま、君を見つめていられるなら、答えなんてなくても構わない。いまのままで、いいんだ。
でも、もしもさ。
僕がこのまま、いまの気持ちを凍らせたみたいにずーっと君のことが好きなままで。
君が気付かないままでも、君のことがすごく、好きで。
……どのくらい好きでいられたら、恋って表彰されるんだろうね? それが例え、片思いだったとしてもさ?
50年……100年……1000年? ああ、僕、長生きしないと。
なるべく長生きするから、そしてせめて君のことを思うから。
もしも僕の恋が表彰されるときがきたら、君がメダルを受け取ってください。
頑張るから。なるたけ強く、君のことを思うから。
そういう僕の気持ちが積み重なって、いつかメダルをもらえるなら、それを君にあげたい。
銅でも、銀でも、金でもない、メダル。
千年メダルそのものが、僕の君への思いです。