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 ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 ロックンロールであそぼ。

それは残酷で美しいもの

「支援」などと呼べるほどのことではもちろんないが、だいすきなひとが東北に住んでいて、せめて彼女を励ますために、突発的に旅に出た。「これから行くぜ」「何をしに」「何って、顔を見に」それだけの単純な理由で、まだまだ工事中の高速道路を北に向け、夜を駆って走った。私はいつだってもっと強くやさしくなりたいと思っているけれど、きっと本当につよくやさしい人間というのは、こういうときに分け隔てなく、みなにやさしくできるのだろうと思う。自分の考えなんて何ひとつ差し挟まず、どんな人にも同じようにやさしくできる人がきっとホンモノだ。私はだめだ。私の優しさは独善的だ。自分がケアできる狭い範囲でしか物事を考えられない。偽善極まりない、それでも、行かないよりはまだ行ったほうがましだと、自分に言い聞かせて深夜高速を走った。

あの地震でひどい被害を受けた地域に行ったわけではない。だから直接的な被害の状況を見たのではないけれど、たくさんの人が亡くなった地域以外でも、東北のテレビではいまだに画面の周りに災害情報などの速報がずっと流れ続け、歴然と「震災前」と「震災後」という括りが人々の中にある。東北全体が連帯感を持って悲しみ苦しんだ末、いま、一種痴呆的ともいえるほど、奇妙にあかるいばかげた雰囲気が漂っているような感じすらした。

通りがかった岩手山がうつくしい。こんなにうつくしいのは初めてだ、と思うほど神々しく、あっけらかんとうつくしい。
岩手山
この山がみおろす大地があの日震えて人がたくさん死に、この川が流れ着く海が、あの日、多くの人を飲み込んだのだろう、そういうふうにわかっていても尚、山も川もぜんぶ、ほんとうにきれいでまぶしいほどだ。あの海のそばに住んでいた人々は、きっとみんな海が好きだったのだろうなと思う。美しい海の姿をたくさん知っていたのだろうなと思う。

地震のあとで「世界は壊れていないよ」と話したヒロトさんのラジオの言葉を、私はずっと素直に受け取れなかった。世界は壊れたと思った。全壊じゃねえか、全壊に決まってんだろう、どうしてそんなやさしげな嘘をつくのだろう、どうしてみんなその嘘を信じることができるのだろうと思っていた。地獄は何度だってやってくる。津波から助かった人が、過酷な避難所での生活の中、インタビューに答えて「命が助かっても、もう何も残っていないし、こんなつらい生活をしなくてはならないなら、いっそ死んだほうが良かったのではないかと思うときもある」と声を詰まらせながら話しているのを聞いたとき、私は絶句した。何も言えずにただ深く傷ついただけの自分が、ほんとうに悔しかった。いまでも。

ヒロトさんの切り裂くようなあの優しい嘘も、いまならもうすこし理解できる。どうして残酷さと美しさというのは同居するんだろう? 山はきれいだ、海はきれいだ、その感情に私は自分自身で戸惑ってしまう。この大地が人を殺した、この海が人を呑んだ、でも、きれいだ。もっと単純ならよかったのに。残酷さはただどこまでも残酷さのままであったなら近づかずに憎めるのに、残酷で美しいなんて、それは卑怯じゃないか。ちくしょう、この国の自然は、とてつもなく残酷で、とてつもなく美しいぞ。

もういやだと思うことは何度だってある。もう、ぼろぼろでうんざりだ。人々のうめきや、絶えぬ叫びで今日もこの世界は満ちているのだ。地震を含む自然災害は、理由のない悪意の最たるものだ。最低だ。

ああ、それでも私はきれいなものが見たいんだ。長い長い時間がかかったとしても、どうか津波の被害にあった人たちが、いつかまた海を美しいと思えるようになりますように。

会いに行ったあのひとは、ぽっかり笑って、八重桜に間に合ってよかったと言った。

伸びる八重桜

きれいだ。私は、きれいなものが好きだ。また来よう。私は、私を造ったこのくにのかたちを愛している。

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