ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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演劇「グッドナイト スリイプタイト」


2008年11月25日、PARCO劇場の午後7時開演の回を観ました。たぶん芸能人とか客席にたくさんいたな。女優のりょうさんを間近く見ました。足が……楊枝のように細い……。

三谷幸喜さんお得意のばっちり「枷」ものです。中井貴一さんと戸田恵子さんの二人芝居で、しかも舞台は全部、寝室。30年間夫婦であったふたりのベッドルームを主題にして、時間を行きつ戻りつ、夫婦であるということの意味や哀しさを描いた作品。もちろん、三谷幸喜さんの脚本なので笑いどころもたくさんです。中井貴一さん、戸田恵子さん、ものすごいセリフの量にもかかわらず、さすがに危なげなく息もぴったり。

三谷幸喜さんの舞台って必ず彼自身が開演前の前説みたいなやつやるのかなあ。「なにわバタフライ」とか「You Are The Top ~今宵の君~」を観にいったときも確か「こんばんは、三谷幸喜です」みたいな御挨拶があった気がする。でもこの人の飄々とした語り口、大好きなのでなんか得した気分ですね。「グッドナイト スリイプタイト」というタイトルについて「スリイプタイトは金縛りではありません」と自ら注をつけたり、中井さんの演技に「いまやっているドラマ『風のガーデン』の脚本家、倉本聡先生が見たら泣くのではないでしょうか」と心配(?)したり、戸田さんが出したアルバムの歌について「泣けます。『ドナドナ』のよう」とほめてんだか何だか解らないサービストークをしたり元気いっぱい。開演前から笑いが漏れてる演劇ってのもそうそうないね。

三谷さんの舞台っていざ内容に入るまでが長いなあ。で、やっとここから本題なんですが、やっぱり面白いんですよ、彼の作るものは。文句のつけようがない。
まさに今日離婚する夫婦、というところから話が始まり、出会いの頃や新婚旅行や子供を作るとかいらないとかで少しもめる頃、ペットが死んで会話のなくなるとき、いろんな夫婦の場面を経由しながら「ああ、こういうことあるよな」という、同情すべきなんだけどちょっと笑ってしまうエピソードを重ねて共感を引き出しつつ、ラストまできちんとみんなを誘導していくのはさすがだ。
ベッドルームが主な舞台ということでもっと窃視的快感を味わうような物語になってるのかと思ったらそうではなく、いかにもドライであけっぴろげな雰囲気。あんまりドロドロした男女の話、いまいち苦手そうだもんね、三谷さん。彼にそんなん、別に望んでないし。
舞台左手にいるオーケストラ(ってほどでもないが)は普通の舞台では当たり前のように「いないもの」とされていて、物語にかかわってくることはないんだが、「オケピ!」なんていう舞台も作って、やっぱりこういう裏方に惹かれるらしい三谷さん、あっさりとオーケストラ面々が舞台上に入り込んだり、役者たちがオーケストラの場所まで降りてきて芝居をしたりと、ほとんどスラップスティックな場面を盛り込んで、こういうの、ほんとに使いようが洒落てて、うまいな。観た人じゃないとわかんないんだけど、「コスモ生命のうた」のシーン、めちゃくちゃ笑ったよ。

三谷さん自身が「ベッドの間隔で夫婦の距離感を表現」みたいなことをインタビューで答えてて、それは確かにその通りなんだけど、あからさますぎるからきっと彼が言いたいことはほかにあるんだろう。脚本家自ら指摘しているそこを取り上げて一言言うのはばかげている気がするからやめよう。

ほろ苦いラストで、ああやっぱり三谷幸喜だ、素晴らしいと思うのだけど、後から思い返すととてもこわい内容の芝居でもある。新婚時代に大事な写真をしまった箱の鍵の番号を夫が忘れてしまっても妻は覚えているのだけど、ヒントを与えこそすれ、自分からは決して言わない。番号を覚えているということは写真に何が映っているかだって覚えているはずなのだけど、忘れた夫に聞かれても妻はさらりとこう言う。「永遠なんてないのよ」……ほんとうに小さな偶然の積み重ねで、ひとつひとつの失敗は笑えるようなことばっかりで、でもそれで人は別れていってしまうんだなあ。たったひとつうまく行ってたら、彼らは幸せでいられたかもしれない……無理かな。思い返すと夫婦は二人とも決して間違っていなくて、それどころかとても弱くかわいらしいところのある、「私たちに似ている」人間なのだ。だから余計に、自分の思い出をたどるように、芝居の内容を後から首をひねりながら思い出してしまう。「あんなに楽しかったのに、いったい何が悪くて離婚になったのかな」って。お互いに何も悪いところなんてなかったのは、彼らに似ている自分が一番よく知ってるくせに。そういうところが、まるで釣り針の「かえし」みたいに胸に刺さって、ただの喜劇よりちょっとたちが悪い。

「おやすみなさい また明日」

彼らの望みはけっきょくすべて叶えられたのではないだろうか? そう思うことは、幸せなのだろうか、それとも不幸なのだろうか。まだ夫婦という単位で物事を捉えたことがない私には、よく解らない。


この芝居、ヒロトさんが好きだろうな。なんだかんだで、三谷さんと結びつきのあるヒロトさん、この芝居は観に来ないのだろうか。ツアー中だから駄目かなあ。もしも観たら彼なりにいろいろ考えそうだ。「永遠なんてない」からこそ、この芝居は夫婦の「変り方」の問題について、さらりとしてるようで案外に鋭く描いていて……その本質的なテーマと「変るスピードが違ったんだな」というヒロトさんの歌詞とは、どこかで交差しているような気が私にはする。

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