ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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映画紹介「誰も知らない」


主役である柳楽くんがカンヌ映画祭において最優秀男優賞を受賞したので話題になった作品。DVDが出た当時もずっと借りられっぱなしでやっと観ることが出来た。
過去実際にあった子供置き去り事件をモティーフに、淡々としたドキュメンタリーの手法で物語は紡がれている。時々、不意に主人公とされている長男の目線になるカメラワークが、やや狙いすぎている部分はあるものの秀逸。日本映画ならではの「言わずして雄弁に語る手法」を成功させているように思う。


母親に置き去りにされてしまった4人の兄弟。彼らは学校に通うこともなく、また長男以外はそのアパートに住んでいることすら内緒で、外に出してももらえない。はじめはお金を置いていき、時々はアパートに戻っていた母親も、だんだん彼らから足が遠のいていく。ガスも水道も止められ、公園で用を足し、水を汲み、それでも彼らはひたすらに生活を続けていく……。


撮影時、子供たちには台本らしい台本は渡されないままだったそうだ。道理で最近の子役にありがちな、やたら舞台慣れしたはきはきした喋り方の子はいない。というより、彼らたちの会話は時々、余りに普通過ぎるが故に、口の中に篭る発音でうまく聞き取れない部分があるほどだ。まだ母親が家族として一緒にいる映画初頭から、この映画を観るものはどこか居心地の悪い、普通の映画にはない感覚を憶えるはずで、それは「ドキュメンタリー的な」とか「子供たちの自然な演技」とかでももちろん説明はつくのだけれど、それよりもほんとうに彼らが当たり前に家族なので、私は自分がどこか壁に空いた穴からアパートの隣の部屋を覗き見ている感覚に襲われた。
この少し後ろめたいような窃視感がこの映画を成り立たせている正に核の部分で、つまり私たちは映画の中で彼らがどんどん酷い状況になっても、「覗き見ている」だけでぜったいに「手助け」はできない。映画なのだからそれはそうだ、というような話ではなく、おそらく監督が口を噤むことでより深く深く伝えようとしたこと、それが「この事件が起こった当時、周りの大人たちは何をしていたのだろう」ということなのではないかと考えれば、この窃視感、そして「手出しの出来ない」もどかしさは生きてくる。ただ見ていた私たちひとりひとりは、彼らを見殺しにし、彼らを「誰も知らない」世界へ追いやった張本人なのだ。

だから、最初に言ったように不意にに少年の目線になるカメラワークは私には切ない。終盤、ぼんやりと空と飛行機を見上げる、悪の道に走ることも出来ず、だからといって大事なものを留め置くことも出来なかった主人公の長男がほんとうに逃げたかった場所はどこだったのか、そしてそんな彼の手を引くまだ小さな弟の下からの捉えるような目線に決意したことはなんだったのか、考えることは、ほんとうに切ない。

彼の手を思い切り広げたって、きょうだいたちを守るにはあまりに小さすぎたのに。自分が小学校6年生だったときの感覚や、そのままなにも思わずに中学校に入ったときの記憶が曖昧な今、この映画を観るべきときは自分に子供が生まれた時なのかもしれない、とも思った。

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