ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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2008年2月10日・忌野清志郎復活祭 in 武道館。


そのライブが終わったとき、私は満たされすぎていて、もう何もしゃべりたくなかったよ。
「かっこいいね」とか「よかったね」とかそんなありふれた言葉に変換するには、目の前で行われたことはあまりにあまりに強大で。
ただひたすらに幸福で、目と頭がばっちりさえていて、「そうか」と思った。なにがどう「そうか」なのか、ぜんぜん説明つかないけれど、「そうか」「なるほど」と思っていた。
胸の中にでっかいでっかい安堵と納得があって、それに我ながら驚いて、いまならロックンロールという公式一つで、世界の謎も解けそうだ、と広々した夜空を見ながら考えていた。

それからゆっくり思い出す。
何があったか思い出す。

忌野清志郎復活祭 in 武道館。


友人が入手してくれたチケットについて「あまりいい席ではない、立ち見なんだ」と言ってたので、期待せずに行ってみたら、彼女の大いなる勘違いで普通に席もあるし、ステージの真後ろではあるけれどけっこうよく見える場所だった。
テンションあがる。ギタリストである三宅伸治さんの愛用ギターを見つけて、「あ、左側(ステージ正面から見たら右)に伸ちゃんが立つんだな」と、刹那ここに「彼ら」がバーンと立った時のことを想像してしまう。

ライブは「復活」というコンセプトと構成がしっかりしていて、清志郎さんの闘病生活中の何枚も何枚もの写真が、スライドになって次々巨大スクリーンに流される映像から始まった。
抗がん剤の副作用なのか最初頭がスキンヘッドだった清志郎さんは、だんだん髪が生えてきて、ときにはビール片手に、徐々に元気になっていく過程をスライドはしっかりとらえていた。
闘病中、彼が毎日、こうして自分の姿を写真におさめていたのだとしたら、それはいったい、 どんな気持ちでやっていたことなのだろうと思った。
「あるいは帰れないかもしれない」
そんな思いも、時折、彼の頭をよぎったかもしれない、と思う。

でも、スライドの最後は彼がいつもの化粧をし、衣装に着替えて、坂を上り、足元からたくさんの音符を振りまきながら、武道館にやってくるところで終わっていた。

すごく、いいと思った。
こういうのって、明るくて夢があって強くて、泣きそうなほどかっこいい。
なんて言っていいのか分からなかった。
キヨシロー、と叫ぶほどの余裕もなく、こぶしを握って私は前のめりにただわめいていた。
わああああ、とかうおおおおお、とか、私と同じような感極まったそんな声が、怒涛のようにたくさん聞こえた。


今日はひときわにこにこと嬉しそうな三宅伸治さんのリズミカルなギターのリフに乗せて、最初の曲「JUMP」が、始まった。始まっちまった!
いつもの派手なガウン姿で、どピンクのスーツで武道館のど真ん中に、全観客と対峙してすっくり立つ、その男、清志郎。


ひとつ断っておくなら、私は「ずっと清志郎が好きだった」と大それたことを言えるような聞き方はしていないんだ。
もちろん彼がやっていたRCサクセションという偉大なバンドのことや、彼らの音楽についてはもはや定番だから、学生時代に触れて知ってはいたけれど、それもベストアルバムを買った程度だ。
清志郎さんのソロ作品に手をつけたのは今回ライブに行くと決まってからのことで、さすがにそれくらいで「ほんとは昔からずっといいと思ってたんだよねー」 とかしゃあしゃあと言えてしまうのは、まあ幸せなタイプの人だとは思うけど、誇大妄想に近いしなによりそれってすごくかっこ悪い。
だから私はどっちかというと「復活するってよ、こりゃ見とかねえと」という「物見高い」 タイプの観客だろう。
でも、武道館全部が「キヨシローお帰り!!」という昔からのファンだと思うのは少々楽観的すぎる考え方だし、私程度の感覚で見に来ているやつなんてたぶんたくさんいるのだ。

なんでこんなことを書いたかというと、私が最も「清志郎さんはやはりすごい」と思ったのは、私のような物見高いやつがごろごろいてなお、まとめて全員踊らせてしまうくらいに清志郎という人は、やっぱり、間違いなく、まぎれもなく、かっこいい、のだ。

私はきっと忘れないと思う。
全方位開放されたステージの2階のほうに、清志郎が視線をやる、ただそれだけで。
まるで魔法のように、その場所の全員の手が上がる、「キヨシロー!!」と声が上がる、その奇跡のようなひと幕を。
そして、私もまた、同じように手を振り、叫んでいた。彼の目線がこっちに来るたびに、操り人形のように。
彼は完璧に武道館を制圧していた。
そしてそれは決して不愉快な制圧ではなく、快いロックンロールの集中砲火だった。

ステージ後ろ、上側から見ていて面白かったこと。
清志郎という人は、いまだにコードのついたマイクを使っているのだね。
あれだけ縦横無尽にステージを駆け回り、時には寝転がったりもしてパフォーマンスをするボーカリストなら、明らかにワイヤレスのほうが向いているだろうに。
でも、そのマイクへのこだわりは、私はとても好きだ。
幾重にも幾重にも幾何学の流線形を描いて、彼の走ったその通りにステージに投げ出されたマイクコードは、いつでもしっかりと清志郎とつながっている。
その目に見えて「つながっている」感覚に、私はひどくほっとする。
「愛し合ってるかい?」という彼の決め台詞は、この「つながっている」感覚にこそふさわしい。

3曲ほどやったところで、おなじみ仲井戸 ”チャボ” 麗市の登場!
ああ……今回はホーンセクションに加えてベース、キーボード、ドラムがふたり、ギタリストふたり、しかも全員目の玉が飛び出るほどうまい、という最強のバンド編成でありますよ。
三宅伸治さんもチャボも見ていると曲に合わせて楽器を変える変える。
チャボは清志郎さんの後ろでエフェクタ操作して音の幅までひとりで操っておったよ。
そして多才であらせられる伸ちゃんなんて、今回はチャボがいてリードをとるから、脇に回ってしっかり固める演奏、いつものストラト、テレキャス、グレッチのエレキに加えてアコースティックギター、「僕の好きな先生」でのミニギター、その他に普通の顔してスライドギターとなんとスチールギターまで弾いてたのにはびっくりしたぜ。
こういうおいしい演奏を聴くとですね……私はほんとにクロマニヨンズへの疑問が浮かぶのだよ。
いやクロマニヨンズはソリッドで無骨なとこがいいんだよ、でもやっぱり……演奏スカスカですよね。

チャボと清志郎はほんとに自然に仲がいい。一つのマイクで二人で歌う、まるでビートルズみたいな、RCの名曲「いいことばかりはありゃしない」。
チャボは清志郎へのお祝いとして、彼の家族やスタッフにまで「心配だったと思うけど、よかった」ということを言っていて、その静かに押さえきれぬ喜びを表した話し方に、誰よりあなたも清志郎のことを心配していたのじゃないか、と思った。

途中で一度、清志郎がはけるときに、ステージの後ろでチャボが笑いながら、清志郎の頭をなでているのを見た。
それは昨日学校を休んだ親友が今日は登校してきて、「なんだ元気じゃん」ってからかうように、安心したように小突くようななで方だった。
なんだよ、というように清志郎は自分の頭に手をやり、チャボを見て同じようにガキの顔で笑った。
チャボはそのあと「清志郎とおれがはじめて二人で作った曲」である「コーヒーサイフォン」という、掌の中に包めそうなずいぶんやさしい歌を歌ってくれた。


RCの名曲「スローバラード」で私の感情は決壊した。
泣けて泣けてしかたなかった。
でもそれは清志郎よかったね、みたいな安堵の感情ではなく(それを持つにはさっきも言ったけど新参者すぎておこがましい)
「スローバラード」にまつわる素敵な思い出がよみがえったわけでもなく(そんなもの残念ながらない)
ただ雰囲気にのまれちゃった、というそれだけのことでもなかった。
いちばん近いのはもしかしたら「混乱」かもしれない。
目の前で命を燃やすように歌っている人がいて、歌われているのは紛れもない名曲で、そんなすごいすごいもんを見せられて、もう、ほかにどうすればいいのか私にはよく解らなかったのだ。
なるほど人というのはどんな感情でも極まると最終的には涙になるのかなあと思った。
これだけすごいロックンロールを放出している人がいて、自分はただよくあるように泣くしかできないことが、どうしようもなく悔しい、と思った最たる瞬間でもあった。

この後はまた楽しい楽しいロックンロールのお時間。
ひっくり返ってクラッカーを鳴らしたり、掃除機みたいな紙吹雪をまく機械を手にしてステージ中駆け回る清志郎は、そういうときはほんとうに頭の悪いくそがきに見える。オーバー55歳なのに。
途中でおなじみの「世界には戦争も紛争もあるけど、武道館ベイベー……愛し合ってるかい?」の決め台詞も。
フライングで先に「愛し合ってるよ」って叫んだ場の解ってない北側2階にいた男、自重しろ。MCは参加するもんじゃない! 聞くものだ!
「おれみたいにどこかへ行っちゃったやつが帰ってこられるように、祈りをこめて歌います」
そう言える清志郎と清志郎の歌は、やっぱりとてもやさしいのだ、と思った。


アンコール、お待ちかねの「よぉーこそ」。本編1曲目かな、と思っていたらアンコールで来たよ!!
それぞれのセクションのソロが楽しい、大騒ぎの曲。
いやあ、実はこのとき伸ちゃんが頭に、武道館に来たお客さんにも配られた快気祝いの「清志郎手ぬぐい」を、頭にバンダナのように巻いておりまして……それが超カッコ良かったもので、雪崩れるように壊れました。
壊れたつっても今回は主にテンション高く壊れました。
「伸ちゃん、伸ちゃんがDFGHJKL;:」!! カッコいい! 頭にasdfghjkl+*}!!」
とか超音波で言ってたら、そのときのみ妙に冷静に隣の友人が私を小突き「お前、頭になんか巻いたのが好きなのか?!」と突っ込まれました。
そのとき瞬間的に意味が分からずあとから理解したのですが、違うって!!
バンダナが好きなんじゃないよ!? バンダナ萌えなんて、そんなマイナーすぎる趣味ッッ……!!


アンコール最後にもちろん「雨上がりの夜空に」、どうしたんだ、ヘイヘイベイベ♪
武道館が揺れるほどに騒ぎまくるロックンロールパーティの夜は更けて。
肩組んで少し照れくさそうなメンバーたちのお辞儀の後、舞台に残っていた清志郎さんは、弾き語りで「 LIKE A DREAM」を歌って、戻って行った。
スクリーンにまるで映画のようにキャストとスタッフの名前が流れ、

さあ、これで準備は完璧。

最後に「To be continued」とは出なかったけどね。解ってるからだいじょうぶ。だいじょうぶなのさ。


ロックンロールに打ちのめされて、
ぐうの音も出ねえ。
ロックンロールの公式ひとつ、
真実さえも超えてゆく!!

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