ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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渡辺淳一『欲情の作法』と『弧舟』


ここ最近、手に取る本が見事に当たり続きで、たいへん贅沢な時間を過ごしていました。ほのかにロックンロール臭のする小説、このところ多くなってきましたね。自らのパンク&ロックンロール好きを小説にも遺憾なく反映させている(『砂漠』なんてその典型)伊坂幸太郎を筆頭に、例えば道尾秀介の『ラットマン』も、ロックンロール好きにはたまらん小説。けれど、そんな風に露骨じゃなくても「おいおいこれってある意味ロックンロールなんじゃねえの?」というオモシロイ本は数多く存在し、そして今現在も生み出されているわけで。

渡辺淳一という作家がおります。名前を知ってる人も多いと思います。名前を知らなくても一大ブームを巻き起こした『失楽園』とか「愛ルケ」、『愛の流刑地』ですね、あれを書いた作家さんと言えばお分かりになる方も多いのではないでしょうか。彼の書くもののイメージとしては、のっぴきならない理由を抱えた男女がそれでも愛し合ってしまい、いやんだめ、でも止まらない、で死のうか生きようか、みたいな? そのイメージで大方間違ってない辺りが渡辺淳一のすごいとこなんですけれどね。
渡辺先生、小説ではないですが、新作出しました。『欲情の作法』。またタイトルからしてぶっ飛んでますが、性愛を極めた小説を数々お書きになった渡辺先生がいまどきの若い者に恋の手ほどきを! というコンセプトらしいです。もう「おじいちゃん」という年なのに、まだ自分は負けてねえ! と傲慢な現役感バリバリの立ち位置はロックンロールの教祖、内田裕也さんにも似ていますね。
本屋さんでこの『欲情の作法』をめくってみて、最初に書いてあることが「自分の精子を見てみよう」というお話だったのでびっくりした。これは私にとって、中学生のときに寺山修司の『家出のすすめ』を読んで、その最初の一文が「他人の母親を盗みなさい」ですごく衝撃を受けた、そのびっくり度合いに勝るとも劣らない書き出しだった。これはなかなかロックンロール。
拾い読みしているとこの『欲情の作法』、「自分の食べてるものを相手に勧めてみなよ(それで嫌がんなきゃ脈あり)」とかけっこうエグい、せこい技術から「女は厚化粧やめろよ」「ネイルアートも嫌だな」というもはや渡辺先生の趣味としか思えないようなことまでいろいろ書いてあってなかなか面白いのですが、これ、なんとなく「なるほどねー」と思わせるのがすごいところなんでしょうね。ぜんぜん根拠なんてなくて、好き放題言われている気もするのだけど「きみたちはこういう風に思ってるんだよ」と渡辺先生が仰り「いや、そんなことはない……」と思っても「自分ではわからないだろうけれど、こう考えてるんだよ! だからこうしておけば間違いないよ!」と畳み掛けて言われると「そうかな?」みたいに思っちゃったり。実際はてんで的外れだったとしても、その「そうかな?」を引き出す才能、それこそがストーリーテリングということであり、私は渡辺淳一の書くものってそう好きではないのだけれど(そして実は『失楽園』も『愛の流刑地』も流し読み程度しかしてないのだけれど)才能あるのかもしれないな、この人、と改めて思ったのでした。

……と、渡辺淳一と言えば性愛、みたいに、イコールで考えてたのね、私。それでもなおかつ、なかなかロックンロールしてんじゃねえの、って。だけどこの『欲情の作法』の傍ら、現在「marisol」という女性誌で渡辺淳一が連載している小説『弧舟』が、あまりにもあまりにも面白いッ……!! これがね、定年退職したお父さんのお話なのですよ。ここまで聞くと、あー渡辺淳一だからまた「部下の女性とぐうぜん街で出会って、いけないと思いつつアンアン」みたいな話かと思うじゃないですか。マリソルってターゲットは30代半ばから40歳くらいの女性っぽいし(今月号の表紙が川原亜矢子さんですもの)、そういういけないドキドキもありかと思うじゃないですか。またそういうのかー、みたいな。『欲情の作法』だもんなー、みたいな。
ところがどっこい! 
連載進んでいま6回目、まだ な に も 起 こ ら な い 。
定年退職した主人公が妻に邪魔にされたりひとりでご飯を食べたり娘に諭されたり犬しか話す相手がいなかったりやったことのない風呂掃除をさせられたり、そんな物悲しい場面の繰りかえしで連載第6回! もう、お願いだからヒロインとか出てこないでこのまま、ある意味でものすごくSMな小説のままで最後まで行って! 読んでるとあまりの主人公への仕打ちっぷりにキャーって床をどんどん叩きたくなる。いいよいいよ渡辺淳一! めちゃくちゃ面白いよ『弧舟』!! この見事な裏切り、渡辺淳一は誠にロックンロールだよ。今いちばん熱いロックンロールな小説、それは『弧舟』だぞ!

小説『弧舟』、WEBでも読めます! みんな、ドキドキワクワクしながら読もうぜ!

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