ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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映画紹介「OUT」


桐野夏生の小説の映画化作品。小説を映画化するとどうしても心理描写などに優れているから原作のほうがやっぱりいいなあ、となりがちですが、この「OUT」は上手に料理した感じ。センセーショナルで息をのむ人体解体の場面は「顔を隠せば切断できるんじゃない?」「魚と違うんだから!」などといかにも主婦っぽい日常の感覚を取り入れながら進むのでぞくぞくするようなリアリティが出るし、なによりもよくある家庭のお風呂場に、男の全裸死体が転がっているという、異次元に飛び込んでしまったようなミスマッチを映像化されると、もはや「怖い」と言う感情を通り越してひきつった笑いがこみあげてくる。


コンビニのお弁当を作る工場で働く、それぞれに家庭の事情を抱えた4人の主婦。ろくでなしの亭主を持ったひとりが、勢いあまってその亭主を殺してしまったことから始まる物語。共謀して死体を解体し、事件を闇に葬ろうとする主婦たちだが、小さなミスから真相を気付かれたうえ、思わぬ方向に事態は転がり出し……サラ金、DV、家庭内別居、介護の問題、もしかしたら隣の奥さんが抱えているかもしれないトラブルを作品内の随所に登場させながら、生々しい筆致で「主婦の犯罪」を描いた桐野夏生の出世作。


女同士の友情のようなものを描いていて「いいな」と思った映画なんて他に「バグダッド・カフェ」と「テルマ&ルイーズ」くらいしか思いつかない。その3作の中でもやっぱり日本の主婦感覚を見せつけてくれるこの「OUT」出色の出来。残酷さをヒステリックな笑いに置き換え、どん底なのにうっすらと明るい、どんなときもしなやかに強い、細い肩の彼女たち。
女と言うのはどこまで行っても最終的には「孕む性」で、それはある意味においてはとても「からっぽ」ということなのだよな。だから、私たちはその「からっぽ」を埋めたがる。子宮を本来の使い方で使用し、子供で埋められる期間なんて本当にわずかだから、代替物として愛で満たそうとする人もいるし、或いはお金や、人によってはセックスで。でも「からっぽ」は持って生まれたものだから、いくら満たそうとしても埋まらなくて、だから女って男よりもずっと性質として貪欲だ。
それに女は、その「からっぽ」に他人の夢を孕むことができる。よく「自分の夢を娘が叶えてくれました」みたいな人いるけど、そういうのって決まって「お母さん」じゃない? 女って他人の夢を食えるんだよ。よく考えると怖いことかもしれないが、意気込むことなく、すんなりと、他人の持ってた夢を自分のものにできたりするんだ。これも、やっぱり「自分と違うものを孕んで生む」女としての特性だと私は思う。この映画の中でも、ある一人の主婦の夢だった「オーロラ」はいつの間にかみんなの夢になっていく。女はひとつの夢をみんなで孕む。だから、強い。

人を殺して、解体してゴミに出して、というその手順はまるで魚でもさばいてはらわたは捨てましょうか、みたいにとても日常的で、だからこそ怖いのだけれど、女性の考えることってほんとにこんな感じだと思う。これは女性と言うか主婦的感覚なのかもしれないが、ほんとに近い将来のことで頭がいっぱいなんだよ。主婦って、そういうことばっかり考えている。考えざるを得ない。「今日の夕食何にしようか」「ぶりがあるからあれで一品」「ヨーグルト買わなきゃ」「夕方雨が降るから洗濯物取りこんでおこう」「旦那は何時に帰るだろう」主婦って、そういう世界で、生きてんの。死に物狂いで、目の前の小さな「どうする?」にひとつひとつぶつかってそれに答え出して、そうして毎日毎日、家庭とか、家族とか、成り立ててんの。それって、すごいことだと、私は思う。

あと女特有の「仲良し感」ね。男の人とか、不思議がるじゃん。「なんで女って仲悪いのに仲良さそうに笑って付き合えるの?」って。「あの女のことだいっ嫌い」なんだけど、「そいつが何してるのか気になったりする」んだよね。うわべで笑って、心の中でさんざんけなしたり、女同士でつるみたがったりする人ほど、案外にそういうことを平気でやったりする。「こいつ、あたしのことほんとは嫌いだな」と思いながらも「まあ、買い物だけなら一緒に行くくらいいっか」って目の前の事情で納得したりしている。それなのに、そういう絆のほうが妙に長く続いたりする。女同士の「なかよし」の変な基準。しなやかで、訳の分んないつながりを、私は愛する。

女が最も女らしくあるとき女であるが故に女を憎み女を許したくなる、女の映画「OUT」。彼女たちのしなやかで細い体が担っているぼんやりとした明るさに、泣けます。

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