ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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千年メダル3/ぼくたちの恋。

肩甲骨のあたりで泣きくずれる声を聴きながら、それを振り切って、背を向けて部屋を出た。ぼくの恋ひとつで、こうしていろんなひとを苦しませていることが身にしみる夜、北風もぼくに対してひどく冷たかった。ちゃんと待っててくれる人のいるあったかい家をぼくは裏切っている。正々堂々と裏切っている、それはぜんぜん、ほめられたことじゃないのは百も承知。

家の前の長い長い坂を単車でゆっくり下りながら、こないだ君と交わした言葉を風に絡ませた。

「永遠にはきみを愛せないです」
「それでもいい」
「十字架の前で誓えないです」
「……私は、それでもいいから」

いいはずがない。

いいはずがないのに、いったい何だろう、この幸福な気持ちは。きみがぼくのことを確かに思ってくれているという確信がこんなにも嬉しいなんて。誰をどれだけ痛ませても、これからきみに会いに行けるということが、こんなにもぼくを強くさせてしまうなんて。

いっそ、ぼくがぼくじゃなくなればいい。そして、きみがきみじゃなければ。名前とか星座とか地位とか肩書とか職業とか、そんなものを全部捨ててしまって、どこかすごく遠くできみとぼくと、ただそれだけでいられたら、なんてね。そんなことはできない。わかってるよ。でも時々、そんなことを思うだけ。

たかが恋。そうだよ、恋ひとつ。どうにでもなると思ってた。だけど、ダメなんだ。今回だけは、ダメなんだ。どうしようもなかった。言い訳みたいだけれど、こんなふうに泥沼になるのはわかってた。それでも、落ちずにいられなかったんだ、ぼくたちは。そこに崖があるのをわかってて、まっすぐ前を見つめて歩いた。手をつないで。

時間が止まればいいと思うことがある。
きみと交わす、おずおずとしたキス。まるでお互いに触れたらふたりの上に雷が降ってきて罰を受けるんじゃないかって、そんなふうに思ったあの夜。あの一瞬に、ぼくときみの永遠があると、そう信じていてはいけないのだろうか。硝子のメダルみたいに固まった、ぼくたちの一瞬の永遠。すべての想いと恋が結晶した小さな、でもきらきら光るメダル。ぼくらの関係が汚れたものであろうとも、ぼくらがこれからどれだけ泣くとしても、あのときに感じた想いだけが永遠で、崇高で、綺麗で、忘れちゃいけない唯一のものだって信じることはいけないのだろうか。

フル・スロットル。交差点を超えたところで、ぼくは風になる。風になって、きみの住む街へ向かう。

想いだけが、時を超える。たとえば1000年。1000年経っても、きっとぼくはきみを想っている。死がふたりを分かっても、その先にある場所でぼくはきみを迎える。きみはメダルを首に下げて、ぼくはきみをしっかりこの手に抱きしめて、そうして全部の幕が下りる。

ぼくたちは、そういうふうに信じていてはいけないのだろうか。

ぼくたちを祝福する表彰台のある、その美しい世界で。きみは必ず、ぼくに言う。ぼくにはちゃんとわかってる。

単車から降りてきみの部屋のドアをたたいた。きみが扉を開けてくれる。ぼくのすべての扉をあけて、きみは必ず、ぼくに言う。

「おかえり」




「……ただいま」

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