ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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夏への窓(スプリングスティーンを聞こうぜ)



とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人

に続く第4弾! 一体誰が考えただろうか、こんなクダラナイ物語が第4弾まで続くなんて。この感動、届け! ニューヨークの父と母に……頼むよ、衛星放送。






冬が寒いのは当然だと思っていたけれど、甲本ヒロトと真島昌利にとってこの季節は冗談ではなく命の危険を伴うものらしい。寒さが苦手な甲本ヒロトと真島昌利は、うっかりすると勝手に冬眠に入ってしまう。そのまま目覚めないことも多いのだという。現に、うちにいる真島昌利も先日、あやうく冬眠しかけた。ずいぶん深く眠っているなあ、と思って触れてみた顔が血の気を失って、瞼も透けるのではないかと思うほど青白かったので驚き、あわてて家中の暖房をかき集め、甲本ヒロトが貼りついていたヒーターまで徴収して真島昌利を起こした。やっと目を覚ました真島昌利はしばらくの間ものすごくボーっとしていて、どこを触っても眠そうな目をして怒りもしなかった。やがてかけていたタオルケットをつかんで立ち上がって窓のところまで行き、外をのぞいて、ひどく落ち込んだ顔をして憂鬱そうに戻ってきて、私の横でまた寝転がった。……冬眠から覚めたので、春が来たのだと思ったのに外の景色が冬だったから、混乱したに違いない。

「……ねえちょっと、重いんだけど」

そんなわけで、相変わらず私の部屋には甲本ヒロトと真島昌利が住みついて、好き勝手に暮らしている。いきなり思いがけずやってきた彼らのために、私の生活は以前とだいぶ違ったものになった。前はずるずる残業してやっていた仕事を、家に持ち帰ってしなければならない羽目になったのだ。それもこれも目を離すと冬眠してしまう彼らのことが心配すぎて、仕事が手につかないからだ。今日みたいに持ち帰った仕事が終わらず、結局、土日の週末まで仕事に埋もれることになっても、部屋にいられて甲本ヒロトと真島昌利と過ごせるほうが、いまの私にとってはありがたい。

「ねえ、そこに手を置かれると、仕事できないんだけど」

私が部屋に仕事を持ち帰ると、パソコンの周りが暖かいので甲本ヒロトと真島昌利がやってきて、場所の取り合いになる。ひとしきりシャララとかガッタガタとか言いあった末、お互いの陣地を決める。私にとってはどっちがどんなふうに陣地をとっても一緒だ。

「ねえ重いよ」

私の背中が暖かいのだろう。今夜は後ろから真島昌利が私の背中にべったりくっついて、手をまわしたまま動かない。もはや人肌あったかヒーターとしか認識されていない私である。時々、首筋に当たる真島昌利の髪の毛がくすぐったい。

「ちょっと、それ押しちゃだめっ」

後ろばかりに気を取られてはいられない。パソコンの横には甲本ヒロトがいて、足元に置いてある小さな暖房を独占している。おかげでちっとも私は暖かくない。キーボードを打つ私の指の動きが珍しいらしく、むやみに手を出してきては
「xcfvgbhんjmk、l。;・rtgyhjkl;・:l;kjhg」
報告書の途中にこんな文章を延々とつづってくれる。

目の前に仕事、横に甲本、後ろに真島。

「……ねえ、おねがいだからあっちいってて」

目に見えてふてくされる甲本ヒロトと真島昌利を炬燵の置いてある部屋に追いだした。まだあまり心を許しあわない甲本ヒロトと真島昌利は微妙にお互いを無視したりして暮らしているけれど、それでも前よりは仲良くなってきた節がうかがえる。どっちかというと甲本ヒロトが真島昌利に対してちょっかいを出しては、あのこぼれおちそうなまなざしで睨まれて、勝手にビビっているのだ。

さて、これで静かに仕事ができるぞ、早く片付けて今日こそ甲本ヒロトと真島昌利を連れ出して公園にでも行こう、運動不足だから、と改めて気合を入れなおしている矢先から、窓が震えるほどの大音量でロックンロールが鳴りだすのが聞こえた。甲本ヒロトも真島昌利も、大きい音で音楽を聴くのが好きだ。賃貸のマンションには似つかわしくない音でよくロックンロールを聞いている。それでも、一度か二度教えたらボリュームを控え目にすることを覚えたのだが、今日のこの音は、ペット禁止違反どころでなく、近隣に迷惑という理由でマンションを追い出されそうなほど大きかったので、私の肝は一気に冷える。

ブルース・スプリングスティーンが音符をきらめかせて荒野を走っている。そりゃあ、ロックンロールは大きな音で聴くのがいいけれど。私だってそう思うけど。

「こらっ」

足音荒く部屋に入っていくと、甲本ヒロトと真島昌利は並んで窓から外を見ていた。その様子があまりに真剣なので、拍子抜けした私はとりあえずボリュームを下げた後で、何を見ているのかと後ろからのぞいてみたけれど、特に何もあるわけではなく、いつもの冬景色が広がっているだけだった。ボリュームが下がったことに気付いた真島昌利があわててステレオに飛びついて、またボリュームを上げた。甲本ヒロトは息で曇るほど窓に顔を近づけて、外を凝視している。

「なにしてんの、あんたたち」

私がボリュームを下げると、何かブツブツ言いながらまた上げる。窓をあけてくれと言わんばかりのしぐさをするのでよくわからないながら開けてやると、風の冷たさに目を丸くしてのけぞり、必死の形相でまたロックンロールのボリュームを上げた。そんなことを幾度か繰り返しているうちに、甲本ヒロトと真島昌利が何を考えているのかが、おぼろげながらわかりかけてきた。

「ロックンロールを思い切り流せば、はやく春が来ると思ってんでしょ」

私の呟きが理解できたわけではないのだろうが、またステレオのボリュームを上げながら、真島昌利がにやりと笑った。そうだ、きっと彼らに冬は寒すぎるに違いない。そして、いつでも思っているに違いない。ロックンロールを聞かせれば、世界は冬なんかではいられない。急いで春になるに決まってるじゃないか、と。そういうことを考え付くとき、甲本ヒロトと真島昌利はまるで双子のようにそっくりだ。

窓の外を木枯らしが吹きぬけていくのを見て、甲本ヒロトが唇を尖らせて抗議の声をあげた。こんなに寒さに弱いんじゃ、公園に行こうって言っても逃げ回って行かないだろうなあ、と私は苦笑する。ブルース・スプリングスティーンのかすれた歌をどうにか許容できるレベルの音量に落として、私は甲本ヒロトと真島昌利に語りかける。

「まだ外は冬で、しかも一番寒いころだけど、ロックンロールを流していれば、この部屋の中は真っ先に春だから。そのうちに、必ず外にも春が来るから、そう焦らないで待っていようよ」

甲本ヒロトはくしゃりと笑った。
真島昌利は眼を細めて笑った。
甲本ヒロトがとても自然に私の右手を取って握った。
真島昌利が少し力を込めて私の左手を取って握った。
ブルース・スプリングスティーンが縦横無尽に駆ける、その荒野の真ん中で。

ロックンロールと甲本ヒロトと真島昌利。
それだけが揃う部屋があるなら、真っ先にそこが春になり、熱い夏がやってくる。
さあ、扉とパソコンと残った仕事と、あらゆるものをロックして、その世界に飛び込んでしまおう。


ブルース・スプリングスティーンの次はビートルズをかけよう。
そして彼らとたくさん笑って、しっかりと目を見開いたまま、やがて来る春を待とう。



コメント

No title

E ★ro♀♂ kO *S o♪ s U※ b e×T E
あ、すみません。
やっと去勢済みのヒロトを飼い始めたのですが、
やはりどのヒロトもパソコンのキーボードが珍しいのでしょうか?
こんな文章ばかり打っています。

No title

そちらのヒロトくんも真島さんも寒さには弱いんですね。
うちはヒートテックを着せようとしたら肌にピッタリつくのが嫌みたいで、ビリビリと破いてしまいます。やはり、ロックをかけてあげるのが一番温まるんでしょうね、うちも早速そうしてあげます。

うちのヒロトはキーボードにはあまり興味を示さず、マウスをカチカチカチカチし、口に入れ、困っています。
tokageさんのヒロトくんもキーボードがお好きのようですね。うちのヒロトはマウスから出てる赤いセンサーが好きなのかなぁ・・・。
寒い日が続きますがヒロトくんと、真島さんのお世話頑張りましょう!

No title

mashimaniaさん
またしても本題からそれますが、今回の「仕掛け」発見しましたよ(笑)。

「インド人のことはあんまりわかりません」で回答になりますかね?
夜ヒット(テレビ初登場?)のコメントですよね。

色んな楽しみ方を提供して頂いてありがとうございます。

本題でここに投稿している皆様、お邪魔して大変申し訳ございません。

No title

最高に素敵なお話をありがとうございます!!!
mashimaniaさんとあの子達の気持ちがしっかりつながったのを読んで、とっても幸せな気持ちになりました。
見えましたよ!3人が手をつないで外を見ている後ろ姿が!
きっと私ももう飛び込んじゃったんですね。
全国の甲本ヒロトと真島昌利が、甘えたりいたずらしたりあったかい気持ちをいっぱいくれたりして。
うちの真島昌利は、今夜マジカルミステリーツアーをやっぱり爆音で流しています。なんだかどこにだって行けそうです☆

No title

tokageさん
あ、春になったら甲本ヒロトを外に連れ出して、tokageさん&お嬢さんと会う話を考えてたのですが、待ちきれなくなっちゃったようですね、とうとう飼っちゃいましたか、ごめんなさい。
……お宅のヒロトさんの打ったキーボード、なんか、ちゃんと意味があるような? ん? エロ?

常駐ヒロトスキーさん
どこのヒロトさんもマーシーも寒さは苦手で、パソコンが好きなようですねえ。常駐ヒロトスキーさんのコメントは、いつも「ヒートテック」とか「お尻をやけど」とか細部にわたっていて、ああ、長年一緒に暮らしてるのかな、というのが伝わってきて、好きです。

No title

猿の爆撃機さん
はい、大正解です!!(笑) 見つけてこうしてコメント入れてくださる心意気もさることながら「インド人のことはあんまりわかりません」という回答のなんと洒脱なことでしょう。そういう楽しみ方もできるように作っているので、これからも「仕掛け」を見破ってください。よし、今度はもっと難しくしよう!

凹子さん
わあい、読んでくださってありがとう! きっと凹子さんも同じ扉の中にいますよ、ヒロトさんとマーシーと。そこにはあらゆる夏があります。覚悟はいいかい?

本日、ボガンボスのライブが都内であり、そのゲストがヒロトさんでした。すごい狭いハコで! ヒロトさんが! 「アナーキーインザUK」の日本語版と……なんと! なんと! 「複雑です。心を無にして聞いてください」と言って「日曜日よりの使者」を歌ったよ! あああ、嬉しかったよー!!

No title

「アナーキーインザUK」「日曜日よりの使者」を歌ったって。
ほ ん と で す か 。

今、パニックです。なにやってたんだ自分。
もう、なんか・・・はあぁぁ・・・・↓↓
寝れない。

mashimaniaさん、どうか!どうか!詳細を!!!!

No title

我が家のヒロトですが、譲ってくれた方が「返して欲しい」と言ってきたので返してしまいました。
そのお宅は甲本ヒロトと真島昌利をつがいで飼ってらっしゃったのですが、
一日中爆音を鳴らして大変だというので、ヒロトを譲ってもらったのです。
しかし、ヒロトがいなくなったとたん、真島昌利がブルースばかり唸るようになったのだそうです。
うちのヒロトも初めはソロを楽しんでいたのですが、段々情緒不安定になって、パソコンに「B#a♭n§%D」と意味不明の言葉を繰り返し打ち込むようになりました。
あまりにかわいそうで返してしまいました。
今思えば、あのヒロトはエロかったので、実は去勢されていなかったようで、内心ホッとしています。
娘はやっと飼えたヒロトにとても喜んでいたので、
今はひどく沈み込み、以前にも増してヒロトを飼いたいと言うようになりました。
というわけで、引き続き去勢済みのヒロトを譲ってくれる方を探しています。

No title

だって、だって、みんな飼ってるんで私もちょっと飼いたくなったんですよぅ。
もう飼ってないですけどね。
で、mashimaniaさんは今夜ボガンボスだったか~とか読んでたら、アワワワワワ~!!!???
ああ、心の底からうらやましい。そういうことがあるってことですね。そうか…そうか…ああそうなのか…情緒不安定デス。

そして、常駐ヒロトスキーさんからお声をかけていただき緊張です。
こ、こ、こんにちは!いつもナイスなコメントにムフフです。

No title

常駐ヒロトスキーさん
掛け値なしで

ほ ん と で す

見ましたから。私。
なんか、今朝ここを見たら、パニックとか眠れないとか情緒不安定とか不穏な言葉が連なっていたので、ライブレポートすごく急いで仕上げました(お前、仕事はどうした)。良かったらそちらもご覧になってください。

tokageさん
えっ、ヒロトさん返しちゃったんですか! ブルースばっかり唸るようになった真島昌利……いかん、容易に想像がつくぞ。寂しがってる! それ、寂しがってるよ! てゆうか、とりあえずサラリと「つがい」言うのやめてください。つがいって……つがいって!
でも、エロかったということは、もしかしてそれは「甲本エロト」だったのでは。いるらしいですよ、そういうのも。

No title

アウトドア派の歌詞解釈&掌編と「とある」シリーズ楽しく読ませていただきました。思いが言葉になり物語となるのはロックンロールと同じ人類の美しい発明ですよね!次のお題もとあるも期待しています。ぜひ続けてください!
皆さんのコメントも面白くて…ブルースばかり唸る真島昌利が不憫なのに笑ってしまいます。たぶん、ヒロトが帰ってきたときは二人でワハハを歌ったんじゃないかしら?片足を上げながら見なれた角度に安心して笑ってる真島昌利が目に見えるようです。

No title

あんこさん
また来てくださって嬉しいです!
「言葉」と「物語」と「ロックンロール」を同じ軸の上に置いて下さるあんこさんの優しさに感涙しそうになります。なかなかね……言葉って……同列に扱ってもらえないもので……。皆さんの温かい支援もあり、まだネタ切れしてないので「とある」も「ああだこうだ」も続きます!

「ブルースばかり唸る真島昌利」、ほんとに余りに哀れすぎて笑っちゃいますよね。壁に向かって歌ってそうです。甲本ヒロトが帰ってくると急に妙に元気になってまずカレーライス食べたりしてね……。

またいらしてくださいね! お待ちしてます!

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