ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

世界で、いちばんやっかいな病



「え、まだやんの? もういいよ」って言わないでいてくれたら、嬉しい。

とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島

に続く第5弾! なるべく気にはしないようにしているのだけど、当初、このブログの開設時「辺境」と名乗っていた頃と比べると、このところアクセス数が半端ではなく、ちょっと……いや、かなりコワイぜ! いったい誰がそんなにカウンタ回してやがんだ! はッ! 警察犬カール!? 




真島昌利が熱を出した。

「寂しい」とか「暇だ」というアピールをすることが上手で、ときには裸で部屋をうろつきまわってみせたり、拗ねてすぐに食事を放棄(スプーンを放り投げる、食事の途中で変な顔をして見せる、など)したりする甲本ヒロトに比べて、真島昌利は基本的に寡黙で聞きわけがよかったので、油断していたのだ。いつにもましてゆめみるような眼をしている、と気付いたときには遅かった。年末、この部屋に連れてきたときから肌身離さず、たいてい頭にぎゅっと巻いているバンダナをあわてて外して、いやいやするのを構わず額や首筋を触ってみると、ひどく熱かった。
ごめんね、と思う。私もここ何日か、ちょっと仕事がばたついていて、きちんと目を配ることができなかったのだ。いったどうしてやるのがいいのかわからなくて、半泣きでネットで調べた珍しいいきものを多く扱っているという病院に電話をかけてみたものの、そこの先生も真島昌利を患者として扱ったことはかつてないそうで、人間用の薬を様子を見ながら与えること、とにかく額を冷やしてみること、など、一般的な風邪に対するアドバイスのようなものしかもらうことはできなかった。
ぐったり目を瞑ってソファに横たわる真島昌利に薬を与えるための方法が、手っ取り早く「口移し」しかないことに気づいた私は変にドキドキして深呼吸したが、そこに現れた甲本ヒロトがなぜだか手荒く真島昌利を引き起こし、その口の中に薬を放り込むと顎を掴んで上げ、すかさず手の平で、パン! とリズミカルに真島昌利の頭の天辺をたたいた。ごくん、ていった。なるほど、ああすれば薬を飲むのか……なんだ、口移しできなくてちょっと残念かな、とか思ってしまった自分がいたことは秘密だ。

私の妄想を読み取ったのか、牙を剥いて唸っている甲本ヒロトを無視して、寝室まで真島昌利をなんとか連れて行き、私のベッドをまるごと明け渡す。布団を首元までかけて改めて様子をのぞくと、かわいてしまった唇が少し開いていた。なにか、言葉を言いかけてそのまま止まってしまったように。真島昌利は深く眠っていた。額の熱さに触れながら、私は何度も繰り返す。ごめんね。立春が来たのにね。春が来るの楽しみにしてたでしょう。いまはまだ寒いけど、でも、立春が来たらきっとあとはどんどんあったかくなるよ、って言ったら、にっこりしていたものね。
こないだは冬眠させかけて、今度は高熱。私は真島昌利の削げた頬に触れかけて、その手をぎくりと止めてしまう。ぐっと涙がこみ上げる。ねえ、あの寒い年末の夜、街灯の下に立って、空を見上げていたね。私がここに連れてきて、そうして、いま、真島昌利はほんとうに幸せなんだろうか? こんなふがいない私と一緒にいることに、ほんとうはもううんざりしているんじゃないだろうか?

「ごめんね……ごめん」

言葉になって漏れた私の呟きは部屋に嫌に大きく響いて、当の私を驚かせる。それほど広くもない寝室のはずなのに、空っぽの音がじわじわと私を締め付ける。
……そうか、と気づく。これまでいつも、音楽が鳴っていたから。こんなふうに、音楽がかかってなくて、空気が湿って重いのって、すごく久しぶりなんだ。
甲本ヒロトと真島昌利と一緒にいれば、必ずそこには音楽があった。音楽の寄り添っている空間で、甲本ヒロトと真島昌利は陣地を取り合い、いがみ合い、仲直りして、握手して、疲れて転がって寝た。たのしいときも、かなしいときも、ロックンロールはいつも、私たちの傍らにぴったりと貼りついていた。
「音楽をかけなきゃ」
いますぐに。
焦るようにドアを開けたら、廊下に甲本ヒロトがうずくまって唇をとがらせ、へんな模様を指でぐりぐり床板に描いていた。立てた膝が2本の鉛筆みたいにとがっている。
「ねえ」
私が声をかけるとちらりとこっちを見て鼻を鳴らす。
「追い出してごめんね。ねえ、音楽かけよう。なにか、CD、持ってきて」
やれやれ仕方ねえなあ、といった調子で甲本ヒロトはぞんざいに立ち上がる。でも、笑顔だった。そして、両手で握りしめてスキップしつつ持ってきたのはAC/DCのCDだった。

「……よりによって『Highway To Hell』!? 殺す気!?」

追い返したら今度はボブ・ディランを持ってきた。CDの棚を上の「A」から順に見て、目についたものを持ってきているに違いないと見当をつけた。でも、まあ、ボブ・ディランなら悪くはない。少なくともこの場合は、AC/DCよりはだいぶましだ。甲本ヒロトの頭を撫でたら照れて目を細めた。それから、寝室の小さなデッキでボブ・ディランを流した。余り音はよくはないけれど、とりあえずはこれで十分だ。波が打ち寄せるように、部屋の中を「フォークの神様」の声がやわやわ満たして行く。熱でよどんだ空気に、よく知ってる曲が転がっていくのは、なんだか安心するものだ。部屋の中に、音符が浮かんでは弾ける。真島昌利の息づかいも、さっきに比べるとずいぶん落ち着いたように思えた。やっぱり、音楽が、ロックンロールが必要なのだ。
よし、いまのうちになにか消化のいいご飯でも作っておこう、と、そっと部屋を出ようとしたら、布団の下からはみ出ていた真島昌利の手が、ぎゅっと私の指を握って離さなかった。真島昌利の細く長い指は、あんがいに強い力で私を縛る。指先の血が引いて白くなるほど、私を離すまいとする。薄い瞼の、綺麗な寝顔にそっと問いかけてみた。
「もう、うんざりしてる? ここに、来なければよかったと思ってる? こうして私と一緒にいて、しあわせ?」
……最後の質問の疑問符が、かみさまの声に溶けていくとき、真島昌利が握った指に、不意に力がこもった。真島昌利の寝顔は変わらず少し熱っぽく、静かなままだ。でも、確かでやさしい、あかるい予感のようなものを感じて、私は春のように幸福になる。ぎゅっと真島昌利の指をくるんで、撫でてやる。だいじょうぶ、鼓動がする。この指には、ドラムのようにきちんとリズムを刻む血が通っているし、それは強い力を持っている。風邪なんてきっと追い払ってしまえる。
いつの間にか部屋に入ってきていた甲本ヒロトが、私の肩に自分の顎をのせて摺り寄せ、かるく唸った。


あなたが幸せならいい。私が幸せなように、あなたが幸せでありますように。みんなと共に、常にロックンロールがありますように。
この先、甲本ヒロトと真島昌利がかかっていい病気はただひとつ。それは、ロックンロールという病。



真島昌利が良くなりかけた頃、潤んだ目でこっちを見上げて、いつになく甘えてくるのがあまりにもそそったので、甲本ヒロトが見ていない隙につい口移しで薬を与えてしまった。それが良くなかったのだろうか、入れ替わるように次に私が熱を出し、その風邪は悪魔からの招待状のごとく、手ひどく私を襲った。
甲本ヒロトと真島昌利はけろりとしたもので、熱でぼんやりする私の枕元で、AC/DCをかけてさんざん騒いでいた。

私がひどくうなされたのは、風邪のせいだけではないと、思う。



コメント

No title

mashimaniaさん、
真島さんの体調が良くなったようで安心致しました。バンダナの下に冷えピタを貼ってあげるのもいいかもしれませんね(邪魔かしら?)。
うちのヒロトも去年体調を崩し、同じく人間用の薬しかなく処方してもらったお薬が「 座 薬 」。 よりによって・・・。
mashimaniaさんのように口移しして上げられるお薬だったら良かったのですが・・・。とても複雑な作業(?)でした。

mashimaniaさんはCDをアルファベット順に並べてらっしゃるんですね。うちではヒロトがこだわりぬいたジャンルに分けているらしく、適当に入れると後ろから突進してきます。ブルースはブルースでも(春、ラブ、失恋、雨の歌・・・)細かく分けています。私にはさっぱりわかりません・・・。

節分は何か真島さんとヒロトくんでしましたか?うちのヒロトは撒く前に歳の数以上にボリボリ食べて、節分のシステムを教えるのに苦労しました。


------------------------------
今回も楽しませてもらいました(笑)
毎度コメント一番のりみたいでウザイかもしれまんが・・・。

No title

お体大丈夫ですか?
先日、少しだけヒロトを飼えたので、「ヒロトの飼い方」を購入していました。何かお役に立てればと、すぐにページをめくりました。
しかし、ヒロトは理由なく裸で過ごしていていることが多いため丈夫で、熱を出すことはあまりないそうです。参考になりませんでした。お役に立てずすみません。ヒロトは脳みそが鼻水になって出てしまう病気に罹りやすいそうです。
この記事を拝見して、やはり丈夫なヒロトの方が飼いやすいかと思い、ヒロトを譲って下さる方を引き続き探しております。お心当たりがありましたらご連絡下さい。
真島昌利から伝染した病のようですから、右肩を冷やさないようにされてください。真島系の熱は右肩の冷やしすぎだと聞いたことがあります。立春とはいえまだまだ冷えますからご自愛下さいね。

私もいつも素早くガッツリ喰いついて、お恥ずかしゅうございます。てか、本当にギタリストのせいでインフルエンザに罹患して、本当は仕事なのに、家におるんですわ。

No title

大変だ!そんな、ゆめみるような眼でみつめられちゃあ、そりゃ、心がやすまらないよ。熱もさがりませんよ。

そんな、mashimaniaさんには私が冷えピタを張ってあげよう。
がんばれ!!(涙)

No title

常駐ヒロトスキーさん
コメント、いつも真っ先につけてくれてありがとう。実は毎回「今度こそ全員から無視されるんじゃ」とか「ディスられるに違いない」と思いつつ更新しているので、嬉しいです。

相変わらず常駐ヒロトスキーさんとこの甲本ヒロトとの生活が面白い。座薬って! 座薬! いいな座薬!
CDは、いま部屋が狭いからそんなに数を置けないんですよ。だから手っ取り早くアルファベット順なの。実家に帰ればいろいろレコードがあるから甲本ヒロトも真島昌利も喜ぶんだろうけど……。こだわり抜いたジャンル分け、して欲しいなあ~。ナッツじゃなくてビーンズをコリコリ喰らう甲本ヒロトも可愛いなあ~。

tokageさん
「ヒロトの飼い方」の本が出ているとは! 私も早めに買おうと思います。「マーシーの飼い方」も売ってるのかなあ。右肩をあっためて寝ようと思います!
それにしても「ギタリストのせいでインフルエンザに罹患」って、なんか、えっろーい。異常にえっろーい。

ぷにすけさん
もう、じっと見つめられるとすぐ「真島熱」が出ますよ。心の休まる暇がありません。冷えピタありがとう! がんばる!

No title

ごめんね、マンションだから、生き物は飼えないの・・・。息子たちに犬飼いたいとせがまれる度、こんな言い訳をしてきました。
少し成長して最近は甲本ヒロトなら、いいでしょう?といいだしました。今までのように、きっぱり駄目って言えない、そりゃ私が一番欲しいんだから。
うちの前にいてくれないかな・・・、立春過ぎたといってもこの寒空にほっとけないと、こっそり飼ってしまおうと思ってます。でも・・・願ってもなかなか来てくれないものですね。
近所に、ここでロックを聴かせるな!散歩コースを変えろ!と過激な看板で囲ってる家があるからかな・・・?

よかったらmashimaniaさんが元気になるまで、私にmashimaniaさんの看病、息子たちに甲本ヒロトと真島昌利のお世話をさせてください。
具合の悪いときはお互い様、遠慮しないでくださいね。〔下心バレバレ〕

私もちょっぴり参加!過激な看板、実話です〔笑〕

No title

・・・私も”ヒロトと座薬”っていうところがツボです。なんだか違和感が無いというか、実際ありえるんじゃないかと思ってしまいます。

某ライブ会場で販売しているらしい某バンドのロゴが入ったタオルで乾布摩擦すると、風邪の予防になります。多分。

No title

ひろにゃんさん
ひろにゃんさんご家族は、どこかで野良甲本ヒロト見かけたら、絶対連れて帰りますよね。そのうち、曲がり角で甲本ヒロトに突然バーンと会いますよ! しかし、変な看板があるものですね。……パンクならいいんでしょうか。

ひろにゃんさん、ほんとにヘルプに来てくれる? 来てくれる?(笑)長男&次男と合わせて3人だと心強いなあ~。でも、ひろにゃんさん、私の看病より長男&次男君たちと、甲本ヒロトと真島昌利の世話するのに夢中にならない……?

Makiさん
常駐ヒロトスキーさんは長いこと甲本ヒロトを飼っていらっしゃるので、薬の選び方がプロですね。私も今度甲本ヒロトが病気になったら、座薬にチャレンジしてみますが、もしそうなったら、あんなところやこんなところも見てみたい! という好奇心をどこまで抑えられるかわかりません。「とある」シリーズが18禁になったらどうしよう……。

某ライブ会場で販売しているらしい某バンドのロゴが入ったタオル……某ボーカリスト曰く「見えないだろうけど、ローリングストーンズって書いてあるんだよ」的なアレ……ですか……?

No title

Makiさんに「座薬」がツボったようで光栄です。
乾布摩擦もいいな、うちのヒロトに覚えさせよう。

mashimaniaさん、
ちょっとコメント書いてて、削除されるのでは?と心配しましたが、ギリOKだったようで一安心です。
「とある」が18禁なったらなったで、コメントしにきますよ。(笑)
でも、できたら今の感じで続けていただきたいです。
次はどんなお話かなぁ~ドキドキ。やっぱり誕生日編??

No title

常駐ヒロトスキーさん
乾布摩擦するまえに半身裸で外に出すのがかわいそうな体形じゃない……?

「とある」18禁になるならさ、とりあえず、相手が真島昌利のほうがいいんだけどなあ。うん。私、なに言ってんだろう……。

次はやっぱり誕生日編になるんでしょうかね。できるだけいまのまま(笑)続けていきたいと思います! ありがとう!

No title

mashimaniaさん!高熱は大丈夫ですか!?
口移しでもらったお熱、いいなぁ☆あたしも、うちの子が熱出したらしちゃお♪でも、真島昌利には座薬が処方されないことを祈ってます…。
ぎゅっと握ったきれいな指は、きっとにせものなんて絶対につかまない指だから。mashimaniaさんの側にいれて本当に幸せなんですよ(^_^)これからも、2匹(頭?)と一人、楽しい生活を!
なんだか私、ガタガタゴーな生活(姐さん命名)してたら、ここでは幸せ妄想ワールドが広がっててホッとしました。誕生日編楽しみです♪

No title

凹子さん
お仕事大変なんでしょうか。tokageさんとこになんとなく書いてあった近状を読んで、気にかかっていたのですが、直接連絡取る方法がなかったもので、こうしていらしてくださってちょっと安心しましたよ。
別の記事が本当にひどい有様になっていますが、もしお疲れなら凹子さんはそういうのは読まないほうがいいです。向こうでは「そんな、tokageさんのせいじゃないですよ」とか白々しいことを言いますが、tokageさんが! あの人が!!(笑) 
可憐な凹子さん。どうかマーシーと良い夢を見てください!

No title

mashimaniaさんが気にかけて下さってたなんて、本当にうれしいです(涙)。いつも元気をいっぱい下さってありがとうございますね!
名前の通りすぐに凹んじゃうんですが、大好きなことがいくつかあって大好きな人がいっぱいいてくれるから大丈夫です☆
マーシーの夢も見たいけど、今夜はみんなでわいわい飲んでる夢が見たくなりましたよー♪

No title

なんだ、思ったより元気じゃねえか。あなた昨日tokageさんと画策して、破廉恥な絵を私に送りつけてきませんでしたか。もう心配しねえからな!

みんなでワイワイ飲むの、いつか実現させようね!

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://howlincats.blog114.fc2.com/tb.php/353-e0c33da1

 | HOME | 

Calendar

« | 2017-04 | »
S M T W T F S
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

Monthly

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

ましま にあ

ましま にあ

Hey ho,let's go!

ましまにあと直接連絡を取りたい方は
mashimania(´・ω・`)hotmail.co.jp
(´・ω・`)を@に進化させて下さい!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。