ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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にゃおにゃおにゃおにゃおにゃおにゃー!



忘れたころにやってくるぜ! 

とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利


に続く、第6弾! そろそろネタ切れ? そんなことはない! しません。リンダリンダもうしません。でも、ネタ切れの向こう側、マンネリの地平線の彼方に新しい物語はあるのだよ。





ブーツを、買ってやったのだ。

玄関に鎮座する真島昌利のブーツは、どれほど履いてきたのだろう、酷く草臥れていたものだから。つま先が擦れて、だらりと垂れ下った靴紐もいまにも切れそうで、ブーツ全体がうなだれているように見えたものだから。ちょっと高価ではあったけれど、ドクターマーチンの黒の、いままでと似た形のブーツを。ちょっと高価すぎたせいで、ほんとうは甲本ヒロトにも同じものを買ってあげようと思っっていたのに、それは後回しにすることになってしまった。

でっかい紙袋がガサガサ言う音を、真島昌利と甲本ヒロトは敏感にかぎつける。いちばん嬉しいお土産は、なんといってもCD。それ以外なら、本やお菓子。でも、「じゃーん」などと言う擬音付きでブーツを目の前に掲げてみせると、真島昌利の眼の色が嬉しそうに深く光る。まるできれいなものに触れるみたいに、おそるおそる指を伸ばして、ピカピカのブーツの輪郭をゆっくりなぞる。
「あんたには今度ね」
甲本ヒロトが膨れているのでそう言っておく。こないだコンバースを買ってあげたでしょう。真島昌利は、足を投げ出して少し首を傾げて、無言の重圧をかけてくる。仕方がないので、部屋の中で履くのは今日だけよ、と言い聞かせて買ってきたブーツを裸足の彼の足に突っ込んだまではよかった、が。
「……ありゃ、ブカブカだねえ」
玄関に投げ出された真島昌利のブーツのサイズをだいたい測って買ってきたのに、明らかにゆるい。靴の中で足が動くくらいブカブカだ。このぶんではいままで履いていたブーツも実は緩かったに違いない。いままであまり気にもしなかったが、どうもこの真島昌利は足が小さいらしかった。当の本人は黙って投げだした足に引っ掛かるブーツをじっと見ている。
「交換してもらえるかなあ、でもこれ以上小さいサイズって売ってたかな……最悪、返品か……」
ごめんね、と言った私の言葉を、真島昌利は聞くともなしに聞いていた。新品のブーツに電球の光がつるりと反射している。


翌日、仕事から帰ると甲本ヒロトと真島昌利がなにやら気まずそうに私と目を合わせようとしなかった。なにかあったな、と気付いたものの、それがなんだかわからなくて様子をうかがっていたのだが、いつもより強硬にお風呂に入るのを拒んで牙を剥いた甲本ヒロトをようやく裸にしてみてわかった。
「どうしたの、この痣!」
骨の上にすぐ皮が載ったような、甲本ヒロトの右足のすねに、それは見事な青痣が浮かんでいたのだ。感心している場合ではないのだけれど、白すぎる皮膚に大きく咲いた禍々しい青い薔薇みたいな痣は、ちょっとだけ美しかった。
「喧嘩したの」
真島昌利のブーツを羨ましそうにしていたからなあ、と思って聞いてみた。甲本ヒロトは唇を尖らせて、もうどうにでもしろ、というように、シャンプーに備えて眼をぎゅっとつぶってしまっている。
早めにお風呂を終わらせて、真島昌利を探す。お気に入りのタオルケットとクッションを組み合わせて、ソファの横に築いた真島昌利の巣を覗くと、温かい匂いの中でまんまるい目が光っていた。体育座りで、腕にぎゅっと抱えているのは、
「……どうしたのそれ。なんで? ……甲本ヒロトがやったの?」
踏みつけられたり、紐をハサミで切られたりして、昨日に比べて明らかに薄汚れたドクターマーチンのブーツ。私の問いかけに、真島昌利は薄く首を横に振る。でも、頭に血がのぼった私は甲本ヒロトの首根っこを捕まえて連れてきて、さんざん叱った。甲本ヒロトはうつむいたまま私の言うことを聞いていた。真島昌利はブーツを膝のあいだに抱えて、どうしてだか甲本ヒロトに寄り添うようにして、一緒に私の言葉を大人しく聴いていた。その夜は甲本ヒロトも真島昌利も、いつものように私のベッドにもぐりこんで来なかった。


本当のことがいろいろ分かったのは、翌日の朝になってからだ。


早く目が覚めたので朝食の準備をしようとして、リビングの床に昨日までなかったはずの傷があるのを見つけた。昨日は仕事が忙しくて、疲れて遅く帰ってきたので気付かなかったのだ。その傷は明らかに踏み台に乗ったまま倒れたか、滑ったかした跡だった。踏み台が必要な棚の一番上には、甲本ヒロトと真島昌利が間違って遊ぶと危ないハサミや針の入っているソーイングセットや、ちょっとした工具などを入れておいたのだ。ということは、わざわざ意地悪をするのに甲本ヒロトが棚の上から鋏を出してきたのか。そんなことをするなんて、やっぱりどうしても信じられない。

ちょっと思いついて、そっとソファの横をのぞいた。真島昌利の巣の中で、仲良く甲本ヒロトも眠っていた。ブーツにあんなひどいことをされて、こうして一緒に眠るだろうか? ふと真島昌利の枕元に大事そうに置いてあったブーツを取り上げてみて、気付いた。

ブーツの中にハンカチとか、布とかティッシュとかいろんなものが詰まっていた。中敷のつもりなのだと分かった。だとしたら、履きたかったのだ。真島昌利は、このブーツを。
だから私がいない間、なんとかしてブーツをちょうどいい大きさにしようとハンカチを詰めてみたりした。でも、それだけでは巧く行かない。どうしても鋏とか、道具が必要だと気付いた。甲本ヒロトはそれを手伝った。むしろ鋏ならあそこにあるよ、と協力して踏み台まで出して昇って、うっかり落ちるか滑るかした。高いところに上るとむやみにはしゃぐ性格の甲本ヒロトは、前も一度踏み台から落ちて膝を打っている。
鋏を手に入れたものの、どうもうまく行かない。そろそろ私が帰ってくるかもしれない。真島昌利は恐れたのだ。ブーツを取り上げられてしまうことを。だって昨日、私は言ってしまった、「最悪、返品する」と。
(だったら)
(もう返せないように、汚しちゃえばいい)
それを思いついたのは真島昌利だったのだろうか? いや、どっちかといったら、たぶん甲本ヒロト。大事なものを手元においておく方法を自然に知っているのは、甲本ヒロトのほうだ。そして、ブーツは汚された。甲本ヒロトも、真島昌利も、昨日さんざん私に叱られても、実際、色々悪いことはしてるから仕方ない、位にあきらめていたのであんな従順な態度だったのだ。

「こら、起きろ」

朝食の用意を整えて、真島昌利の頬をつついたら、びっくりしたように眼を覚ました。あたりを見回す。動きが激しいので、横で寝ていた甲本ヒロトもつられて目を覚ました。どっちもきょろきょろしている。ブーツを探しているのだ。ないとわかるとちょっと涙目になる。
「ブーツは外で履くものなの。ちゃんと中敷を入れて、玄関に置いたからあとでみんなで公園に行こう。まずはご飯。今日はメープルシロップいっぱいのパンケーキ」
甘いものが好きな甲本ヒロトが目を輝かせて起き上った。
「昨日、あんなに怒ってごめんね」
私がそういうと、甲本ヒロトと真島昌利はお互いに目を見合わせて、少し照れたみたいにニコニコした。


みぎてが甲本ヒロトでひだりてが真島昌利。
真島昌利はちょっと薄汚れた新品のブカブカブーツを履いている。中敷を入れて、紐をぎゅっと締めた。そうしたら、悪くない感じになった。ペット禁止のマンションで、甲本ヒロトと真島昌利とくすくす笑いながらエレベーターにスパイみたいに乗り込んだ。2月も下旬の風が、私たちに柔らかく香った。
公園まで手をつないでゆっくり歩く間に、何度も何度も甲本ヒロトと真島昌利は眼を閉じてうたうように顔を空に向けた。嬉しそうに笑った。
孕んだねこを見た。真島昌利は見つめすぎて、気の立った母ねこに威嚇されてびっくりしていた。たっぷりと朝ごはんを食べたのに、近所の喫茶店から流れる甘いパンの匂いに甲本ヒロトが引っ掛かり、動かなくなった。甲本ヒロトと真島昌利の足はコンパスのように街を行く。

「……あ、甲本ヒロトだっ。めずらしー」

公園にいた女の人に大声を上げられた。少し退屈そうに遊具を見て立っていた凛とした感じのひとが、あっけに取られた顔でこっちを見ていた。
「ま、真島昌利も一緒なんですか? はじめて見た、そんな人」
どうやら公園で娘が遊んでいるらしい。大きな声を上げて手を振ると、遊具のほうからハムスターみたいに可愛らしい女の子が転がるように駆けて来た。
「すいません、うちの娘、さいきん甲本ヒロトが好きで、欲しがってて。うちでも探しているんですよ」
ちょっと触ってもいいですか、と人懐こく笑われたので、もちろん、と返した。甲本ヒロトと真島昌利は、ピンクの頬をしてほんものの甲本ヒロトに目を丸くする女の子を、優しい目で見ている。甲本ヒロトはするっと腰を落とし、女の子と目線を合わせて悪戯っぽく笑った。女の子もはじけるように笑った。後ろから近づいていた真島昌利に抱きかかえられて、きゃあきゃあ言いながらみんなで遊び出してしまったので、それを見ながら、お母さんと少し話をした。
「世話、大変ですか?」
「いや、そんなには」
「甲本ヒロトは去勢しないとかなりやんちゃだって言うけど」
「それほどでも・・・・・・・あ、いや、けっこうやんちゃかもしれません」
頭の中を昨日の痣がよぎったのだ。眉根を寄せた私の表情が面白かったらしくて、くすっと笑われてしまう。
「うちはやっぱり去勢してないとダメだろうなあ」
でもなかなか機会がないんだよね、と言いながら娘を追う視線を私も追いかけた。
「いつか会いますよ。バーンと。突然、曲がり角で、甲本ヒロトに会っちゃいます。そういうものみたいです。きっと、そのうち、娘さんがね、拾ってきたりしちゃうんですよ」
「そうかなあ。・・・・・・・そうなんだろうなぁ」
少し遠くで甲本ヒロトの腕が円を描いている。昨日、痣を作ったことなんて嘘みたいに走っている。真島昌利の新しいブーツが複雑に柔らかい太陽光線を跳ね返している。ブカブカブーツは、わるくないよね。真島昌利は風に乗って立っているみたいだ。

ふたりで、娘さんたちがはしゃぎ回るのを見ていた。甲本ヒロトが革のジャケットを脱ぎ捨ててくしゃくしゃと笑うのを見ていた。暖かい日だ。やがて、横の彼女が大きい声で娘の名前を呼んだ。

お嬢さんの名前は、早春に咲く花の名だった。



コメント

No title

真島くん、新しいブカブカブーツ買ってもらえたんだね。
良かったね~。
ヒロトくんちょっと暴走する部分もあるけど、全て真島くんの為なんですね。彼らの友情にとても心が温まりました。
公園でかわいらしい女の子と遊べて3人とも楽しそう。うちのヒロトも近所の子と交流を試みてみようかな・・・。

うちのヒロトはバレンタインにチュッパチャップスのツリーを買ってあげたら一日一本の約束を守らず、4本平気で食べてて叱りました。
案の定、口内炎だらけです。
来月の誕生日には新たにルイスライダースが欲しいらしく、HPから目を離そうとしません。
外出する際は店を避けるよう遠回りの毎日です。
これは買ってあげないとダメですかね?
花粉対策用に空気清浄機も買わなくてはいけないし、出費が痛いです。

No title

先日はモモがお世話になりました。
とても楽しかったようで、「ヒロトとブランコしたよ。真島昌利とお砂場で遊んだよ。今度は一緒にボールで遊びたいの」と言っています。ありがとうございました。
あの日から、モモは真島昌利も欲しいと言い出しました。「二匹は無理よ」と言っても、「ダイジョブ~ダイジョブ~♪」と歌い、困っています。段ボールに入った二匹に突然バーンと出会って持って帰りそうです。
飼うのは去勢済みのヒロトがよいかと思っていましたが、ヒロトらしさがなくなると残念な気もしますね。私は初心者でわからないのですが、去勢をしていないヒロトを飼った場合、子ヒロトや子真島が増えたりするのでしょうか?

ありがとうございました。感激です!!
私、凛としてないです。デレッとしてます。モモのセリフは、ほぼ本当です。
…とか、ここまで盛り上がっていて、実は私のことでなかったら、とんだぬかよろこびだ。

No title

ブカブカブーツを履きたかった真島昌利と、履かせてあげたかった甲本ヒロトのけなげさに涙がこぼれそうでした。2匹と手をつないでお散歩したりステキな出会いがあったり。
幸せのおすそわけをありがとうございました!
うちの子もブカブカだったりするんでしょうね。そんな真島昌利が愛おしくなりますよね♪

No title

常駐ヒロトスキーさん
なんか「とある」シリーズ更新のたびに書いてくれる常駐ヒロトスキーさんのところの甲本ヒロトの様子が聞きたくて「とある」シリーズを更新している面があるという意味のわからない循環に陥ってしまいました。常駐ヒロトスキーさんのところの甲本ヒロトは、なんか、やっぱりちゃんと個性のある甲本ヒロトだなあ。ルイスレザーはともかく(あれは嗜好品だから)清浄機は買うべきですね! うちもそろそろ買わないと!

凹子さん
コメントありがとうございます。真島昌利は、思ってたより足が小さいですね。もしも凹子さんのところの真島昌利にブーツを買ってあげるなら、やっぱり紐靴のほうがいいと思いますよ!(笑)

No title

tokageさん
tokageさんでなけりゃ誰だというのですか、この物語に出てきてるのは。まぎれもなくtokageさんとモモちゃんですよ。
モモちゃん「ヒロトとブランコ。マーシーと砂場」ってものすごくよくわかってますね。素晴らしい。きっとある日突然、甲本ヒロトや真島昌利と手をつないで帰って来ますよ。
甲本ヒロトと真島昌利の生態にはまだ謎も多いらしく、子ヒロトや子真島の繁殖については私も良く知らないのですが、やっぱりこのままいくと増えたりするのかなあ……心配です。

そちらのブログも拝読していますよ。「THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのアルバムでまず買う一枚を選ぶならどれか、ベスト盤以外で」という記事、とても面白かったです! でも「ベスト以外で」と言い放った相手がベスト盤を買ったという後日譚にはびっくりしました。tokageさんも「ふざけるな」等と息巻いておられましたが、ほんとうに意味の分からない酷い人もいるものですね。お察しします。

No title

お言葉に甘えて(?)ヒロトの妙な行動をお伝えしたいと思います。

外も暖かいし、空気清浄機を買いにヒロトをつれて電気屋に行ってきました。
説明を店員さんにある程度聞いてヒロトにどれがいいか聞いたら、きょろきょろした後、一台の前でじっと止まったのでそれを買って帰りました。
早速帰って部屋に設置すると落ち着きのないヒロト。
電源スイッチのON/OFFボタンをカチカチ。ちゃんと動いてるよ?と言ってもカチカチ。
すくっと立ち上がって細い両手を真っ直ぐ上げ、昆布のように全身をクネクネ。どうしたの?と聞いてもクネクネはとまらず。
しばらく考えて、あ、あれか。ビニール紐を風が出るとこに結んで上げると太陽のような笑顔でさらにクネクネ。
よく考えると電気屋で見たのもカラフルなビニール紐が付いてたなと思いました。
・・・・と言うか、ビニール紐で機種を選んでたならもっと安いのでも良かったなぁ(苦笑)

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なんてことを考えても発表するとこがないのでmashimaniaさんの「とある」シリーズは私のオアシスです。

No title

よかった。私でしたか。好きな小説のモデルは自分だと勘違いしているタイプのイタイ女って、私かもしれないと不安でした。
モモは最近よくなぞなぞをだします。今日は「黄色い服を着た人はだれでしょう?」という問題でした。答えは「マーシー」でした。(実話)
そして、そうなんです。同情して下さいますか?
「ベスト以外で」と言われたので、その方の考え方に共感し、THEE GREATST HITSを若干批判的に書いていたにもかかわらず、Best of BestともいえるTHEE GREATST HITSを買いやがったんですよ。心を弄ばれました。やつは、ドSで有名なんですが、今回ばかりはDQNだと思いました。mashimaniaさんも、ああいう女にはお気をつけくださいね。

No title

常駐ヒロトスキーさん
細かい描写だなあ。……あ、描写じゃないんだ、一緒に住んでるんだもんな。これからも「とある」シリーズ更新のたびに、そっちのヒロトさんの様子も教えてください。ってなに私ナチュラルに「とある」シリーズますます継続の意向示してんの。

tokageさん
なぞなぞ可愛い。でもどうして真島、黄色い服限定?
そして、なんか色々、罵詈雑言が迸ってますね! これこそまさに「親切が仇になる」「吠え猫に手を嚙まれる」ってやつですね。ドSということは、きっとお相手は笑い転げて喜んでますよ……。そういう心底性質の悪い女は、私の周りにはいないタイプなので、気をつけるようにします!

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