ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鉄カブト1/ポストはうたう


薄闇のレース編みが空の背骨から降りてくる頃、
長くまどろんでいた街角のポストが目を覚ます。
どれくらいの年月が経ったのだろう、
繰り返す夜と昼の鎖、たとえば永遠の少し先。

腹の底がかっと熱かった、
また届かない手紙が投げ込まれているのだろう。
ポストはしゃがれ声でひくく恋の歌を歌う、
その一本足にたぷたぷと春の夜が打ち寄せては返す。

ずっと見てきた、この街の移り変わりを。
逝くものがいた、来るものがいた、旅立つものがいた。
だから心ない言葉はあり、思いやりがあり、
さよならが凝り、宛先のない呟きも、もちろんあった。

すべてを抱いて立ってきた。
風に向かって口を開き、すべての思いを飲み込んで。
だからポストは血の味がする。
思い出を守る鉄兜の、血の味がする。

怒りも悲しみも喜びも、いつかは消えてしまうだろう。
なのになぜ、届きますようにと人は祈るのだろう。
雨乞いのように胸の前で両手をあわせ、
なぜ、あの人にこの気持ちが届くようにと、そんなに必死で祈るのだろう。

だからポストはさびた血の味になる、
記憶を抱いて立ちつくしたまま街角でまどろむ。
やがてからっぽの朝が訪れるのを口を開けて待っている、
拙い言葉で紡いだできたての世界をまるごと愛している。

きっと憶えているから大丈夫。
それからポストは含羞の暁にふとほほえむ。
思い出を守る鉄兜は錆びるけれども傷つかない、
拙い世界で紡いだできたての言葉をまるごと愛している。


記憶を抱いてポストは立ったまま眠る。
言葉に抱かれて鉄兜は立ちすくんだまま眠っている。

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://howlincats.blog114.fc2.com/tb.php/368-8a9c7897

 | HOME | 

Calendar

« | 2017-08 | »
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

Monthly

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

ましま にあ

ましま にあ

Hey ho,let's go!

ましまにあと直接連絡を取りたい方は
mashimania(´・ω・`)hotmail.co.jp
(´・ω・`)を@に進化させて下さい!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。