ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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ごく真っ当なサンドイッチについて



今月号、特別篇也!

とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利
とある猫の日の甲本真島
とある誕生日の甲本浩人
とある発情期の真島昌利
とある皐月の甲本浩人
とある新居の甲本真島


に続く、えっと幾つだ? 第11弾! 私、10以上の数はまとめて「いっぱい」だからよくわからなくなってきたぞ!
今回、特別篇です。文章中に「挿話」が2編ありますので、クリックしてリンク先でお楽しみください。毎回、すごーくこのシリーズを楽しみにしてくれていて、読んでは本気で泣いたり笑ったりしていると教えてくれた「かのじょ」に心から感謝して、お名前を使わせていただきました。愛をこめて。もちろん、みんないつものように、自分のことのようにニヤニヤしながら読んでくれていいんだぜ! 





ごく真っ当なサンドイッチを作るのは、実はとても難しい。きゅうりは薄くみずみずしく、しかし水気は適度に抜けてぱりっとしていなければパンが湿ってしまうし、マスタードだって細心の注意を払ってパンの端っこまで塗り広げてやらなければいけない。息を止めて一気に包丁を入れた切り口からはチーズとハムときゅうりの黄色とピンクと緑のハーモニーが覗けなくては、真っ当なサンドイッチとはとてもいえない。サンドイッチというのは、簡単そうに見えてなかなか、鼻歌交じりに作れるようなものではないのだ。だからこの世界にはまがい物ばかりがあふれる。でも、いつの時代にだって、真っ当さを愛する人々というのは必ずいる。
真っ当なサンドイッチは例えるならばシンプルなロックンロール・バンドに似ている。太古の恐竜時代から生きとし生けるものの血を騒がせてやまない、鼓動のリズムのエイトビートがふわふわのパンなら、絡みつくスリーコードのギターはマヨネーズの上にひらりと載せられたロースハム。一見ばかばかしく安易に見えるが、じゃあそういうロックンロールを作ってみろといわれたら、これほど難しいことはないのだ。

久しぶりにサンドイッチを作ったのは、仲のよい友達が来るからだ。何をして一緒に遊ぼうか、わくわくと考えていた。ちょっと行儀は悪いけれど、ゲームをしていても、映画を見ても、おなかがすいたらすぐにつまめるように、朝からたくさんサンドイッチを作った。シンプルなロックンロールのようなサンドイッチ。たぶん、あのこは喜ぶだろう。
甲本ヒロトがそーっと手を出して出来立てのハムサンドをつまもうとしたので、にらんでやった。唇を尖らせて、手を後ろに回し「ぼくなにもしてないよ」という顔をする。その横で真島昌利も「なにもしてないよ」という顔をしているが、少量のケチャップが唇に付着している。
「もう、ブチちゃんはあんたたちに会いに来るって言ってるんだから、行儀よくしてよ?」
明らかに無理だとわかっている願いを口に出しつつ、時計を見た。約束の時間よりずいぶん遅い。昨日電話して、この部屋の場所を教えたときには「駅から5分でしょ? 余裕余裕、迷うはずないじゃん」と言っていたけど。

……もはや窓から射し込んでくる日差しが傾き始めている。西日にちらちらする埃を見つけて、もうすこしちゃんと掃除するべきだったと後悔したとたんに、電話が鳴った。最近の着信音は、ラモーンズの「電撃バップ」だ。でもこれは早めに変えるべきかもしれない。こないだ携帯電話が見当たらなくて、あせって会社から自分の携帯に何度も電話をしてみたけれど誰も出なかった。どこかで落としたのだとあきらめて家に帰ってきたらテーブルの上にちゃんとあった。留守番をしていた甲本ヒロトと真島昌利は着信音の「電撃バップ」が好きで、何度でもいつまでも聞いていたいために電話に出なかったらしいのだ。今日も曲が流れ出すと敏感に耳をそばだてて寄ってくる。画面に表示された名前はブチちゃんだったので、あわてて電話に出た。甲本ヒロトと真島昌利は、曲がさえぎられてひどくつまらなそうな顔をしたが、しょうがない。
「もしもし? いまどこ?」
「……迷った……」
やっぱりね……。あんた昨日、余裕って言ってませんでしたか、と突っ込みたいのをようやくこらえた。
「どこにいる?」
「えっとねえ、商店街の中。肉屋さんの前。コロッケが美味しそうでさぁ。おなか減ったよぉ」
相変わらずのんびりしている。迷子になってもコロッケに引き寄せられてるなんて、犬みたいだ。
「ああ、それ行き過ぎてるんだ。わかった、その肉屋さんの前で動かないで待ってて。いま迎えに、あっ? ちょっと! こらっ、だめーっ!」
私が伸ばした指は、突然立ち上がって玄関に突進していった甲本ヒロトのシャツのすそをかろうじて捕まえられないでむなしく空を切る。履き古したスニーカーに足を突っ込んで走り出て行った後姿を呆然と見送った。時々、甲本ヒロトはこうやって脱走する。あっちこっち歩きまわるのが好きなのだ。
「どうしたのー?!」
電話の向こうでブチちゃんが驚いている。私はひとつため息をついた。
「……たぶん、甲本ヒロトが迎えにいくから、待ってて」
「えっ、甲本ヒロトが来てくれんの? わーい、あたし、会うのすっごい楽しみにしてたんだ」
ブチちゃんは喜んで待つといって電話を切った。ちょっと心配だから甲本ヒロトを追いかけてみようかとも思ったが、ちゃんと話は聞いていたようだし、散歩でもよく行くところだから大丈夫だろう。
「……おなかすいたから先にサンドイッチ食べて待ってよっか」

くるりと真島昌利のほうを振り向いたら、今度は口元に大胆にケチャップが付着していた。


*** ヒロト×ブチside「商店街の散歩」 ***


やっとブチと甲本ヒロトが戻ってきたときはもう長い夏の日も暮れかけていて、案の定、甲本ヒロトのポケットはそこらで拾ったような石とか、ゲームセンターの銀色のコインとかでいっぱいになっている。長い散歩に付き合わせて申し訳ないと思い、とりあえずブチにお詫びを言ったのだが、こっちも満面の笑みで喜んでいるので、ちょっと気味が悪い。
「うちの甲本ヒロトがなにか迷惑かけたんじゃ……」
「そんな! 迷惑なんて! ぜんぜん! いい子だよ~甲本ヒロトいい子だよ~ああ私も欲しい! かわいいよ甲本ヒロト! もっと一緒に散歩したいよ!」
頬を染めて力説している。おなかが減っただろうとサンドイッチを勧めたら、こんな真っ当なサンドイッチは久しぶりだと言ってパクパク食べた。すっかり仲良くなったらしく、甲本ヒロトにサンドイッチを手ずから食べさせてやったりしている。たくさんかまわれるので、甲本ヒロトもかつて見たことがないくらいいい子にして、ブチのそばを離れない。自分のタートルズ・フィギュア・コレクションを持ち出してきて、ブチに見せるという破格のもてなし(甲本ヒロトの基準で)を遂行している。キャッキャウフフでばら色なブチたちをダイニングテーブルからぼんやり眺めていると、私の肩にいつになく勢いをつけてどすんと真島昌利がぶつかってきた。そのまま肩にあごを置いて、じっと私を見ている。今日はピンク色のバンダナを巻きつけて、ちょっとお洒落(真島昌利の基準で)だ。あんまりじーっと私を見るので、
「何よ……別に寂しくなんかないよ?!」
と言うと、にやり、と笑われた。見透かされているようで、悔しい。

すっかりなつかれたらしく、タートルズ・フィギュアが散乱したままの部屋の真ん中で眠りかけた甲本ヒロトがブチの手を握って離そうとしないので、泊まっていってもらうことにした。夏だからよかろうと甲本ヒロトのお気に入りのタオルケットを渡してそれにふたりで包まってもらう。甲本ヒロト、寝相が悪くてよく抱きついてきたり、夜中にパジャマを脱いだりするから気をつけてね、というと、ブチは、はいいただきますごちそうさまですとよくわからないことを言った。眠かったのかもしれない。

ダイニングテーブルの下では真島昌利がいつものように寝ていた。口元まで掛け布団ですっぽり覆って眼を閉じている。いつも寝るときはたいてい甲本ヒロトが私のベッドを占領するので、今夜くらいは真島昌利と……と思ったのだが、もうぐっすり寝てるようなのであきらめた。
「さ、寂しくないやい!」
負け惜しみをつぶやいて、私もベッドルームの扉を閉じる。


*** マーシー×二アside「昔々、あるところに」***


眼を開けたら朝だった。寂しさのあまり、いやに明瞭に真島昌利がしゃべる夢を見てしまった……と身悶え、照れ隠しに寝返りを打ったら、同じベッドにちゃっかりと真島昌利が寝ていたので「ヒッ」と変な声を出してしまった。まどろんでいた真島昌利が枕に顔をはんぶんうずめてゆっくり目を開く。ちょっとうなずくみたいなしぐさをして、妙になれなれしく私の肩に手を回してくる、その上半身が、裸ですがこれはいったい
「ななななななに、なに? なんで? なんかした?? なにこれ?!!」
思わず体を起こして飛びずさってしまった。私、私はパジャマ着てる、大丈夫(何がだ)、甲本ヒロトの全裸は見慣れてるけど、真島昌利の半裸は、半裸なのに変に眼のやり場に困る。余裕綽々の真島昌利は、こともあろうにベッドの中から手招きまでした。おいでおいで。ひらひら動く艶かしい白い手に混乱した私はまたガクガク震えて部屋の隅から叫ぶ。
「ねえあんた、昨日しゃべったよね? しゃべったよね?! ほんとは喋れるんでしょーーー?!!」


「……ねむれた?」
「……うん、よく眠れた」
うそだ。ブチちゃんは明らかに寝不足の眼をしていた。察するに、甲本ヒロトに抱きつかれたり脱いだり脱がされたりしたのかもしれない。甲本ヒロトはすっきりとした顔で、またタートルズのおもちゃで遊んでいる。昨日のサンドイッチの残りを朝食に出してみたらブチちゃんは心ここにあらずといったていで次から次へ食べていた。
「おいし」
味なんてわからないだろう、と思っていたが、2杯目のコーヒーを入れてあげると顔を上げて、私を見てにっこり笑った。
「こういうシンプルなものはいいよね」

そうだね。
食べ物も音楽も、人間もシンプルなのはすごく、いいよね。
できることなら何もかもが、そういうふうにあるべきだよね。

好きだと思ったら手をつなぐのはいいよね。
好きだと思ったら一緒にいるのがいいよね。
好きだと思ったら一緒に寝るのがいいよね。

いつだって待ってるからさ、また遊びにおいで。但し、寝不足は覚悟の上で。シンプルなロックンロールにシンプルなサンドイッチ、シンプル極まりない彼らがいつでもきみをお出迎え。


「ねぇ、楽しかったね?」



「またね」




「またね!」









コメント

No title

こんにちはっ

このシリーズ、楽しみにしてました!
終始にやにやしながら読ませていただきました。
もう……甲本ヒロトが可愛すぎて真島昌利がかっこよすぎて萌え死にそうです……

ごちそうさまでしたっ

No title

「甲本ヒロト ひ と り じ め ?」
こんばんは、先日はお邪魔致しました。
甲本ヒロトが迎えに来たときは踵を返しかねない程の緊張だったけど、ヒロトの笑ってるの見たら私バカみたい!と思った。
ヒロト、人見知りなんて言葉知らないんでしょう。もうずーっと知ってるみたいな、恋人とかよりもずーっと前から繋がってる兄妹みたいな感じだったな。まぁ、兄妹じゃちょっと問題な@#$%$な感じもあったけども?(いや、実は。私はギンギンに目が冴えて一睡もしていないに近い状態だったのですよ...だって、く、く、くっつき過ぎだ!甲本ヒロト!唾を飲み込む音さえも闇夜に響いて、起こしちゃうんじゃないかと神経使った....)
それに比べて、真島昌利の人見知りったらないねw
私に近づいてきた記憶がありません。
でも、ヒロトが楽しいんならブチと居ればいいよって「今日は貸してやる。今日はな!」ってことなんだと思う。でも、あげねーよ!ってな。ハイハイ...。朝方、ニアさんの部屋からドッタンバッタン聞こえましたがそんな事があったんですね。
能ある真島...爪隠し過ぎ!
また遊びに行くよ!絶対に。今度は迷わずに。
そこへの道はまっすぐ一本で繋がってる?


No title

ニアさんのばかっっっっ(ノ_・。)
私は最近涙もろいんだ。
映画もドキュメンタリーも本も大して思い入れの無い会社辞めるんでも号泣してんだ。
でも、数える程しかない「泣き笑い」をありがとう?ドキドキよりドックンドックンした。
手のひらに変な汗かいて、「仕事辞めといて良かった。明朝の目の腫れが恐ろしいぜ...」といただきますごちそうさまから読み進んだら...大 爆 笑 した。
で、泣き笑いです。可哀想なニアさんねー(ノ_・。)
マーシーって意地悪って言葉が一番、いっちばん似合う?ニアさんには、ココ辞められちゃ困るのよ。
この、記念すべきブチ登場の巻が抹殺されるなんてありえねーよ。ありえねー、ありえねー。
いよいよ、引越しも佳境に入ってきました。
おいら、岡山支部立ち上げるっス。
「ハウリンキャッツ組クロマニ会系」ひゃはは。
全国に広げちゃいやしょう、姐さん!

thank you love xxx

No title

可愛すぎます。たまらなく可愛すぎます。
甲本さんも真島さんも・・・・いや全てがもう何もかもが(笑)

最近あることがおきて真島さんの優しさに感動しました。
真島さんは本当に優しいんですね。本当に泣きそうなほど優しいんですね。
私はギタリストになってあの人に会いたくなりました。
いや、会いに行きます。私は、何宣言してるんだか・・・笑
きっと優しく笑ってくれるのかな。。。

あっでも、かわいい甲本さんにも会いたいなぁ。。。

全てのロックンロールを感じてみたいなぁ。

ずっと騙され続けていきたい。あの悪魔のような音楽に・・・

No title

前のほうからよんだんですよ・・。それだけで呼吸困難動悸息切れしてたんですけど・・・こ、これはー!ちょっと頭がぼーっとなっちゃいました。ヒロトったらー!ブチさんが羨ましい♪おいでおいで・・・。半裸・・・半裸!ましままさとしはかなり強敵★新しいお話を読むと、いつもさかのぼって前のお話がよみたくなります。一話目から順に読み返してる時間は、ほんとうに幸せ!こんなに素敵なお話を本当にありがとうございます。うちにいるましままさとしもほんとはお話するのかしら・・・。

No title

凛華さん
こんにちは。凛華さんはいつも「このシリーズ好きだ」と仰ってくれますね。嬉しいです。今回はいちばんのりでコメントをありがとう! たっぷり萌えころされてね!

ブチさん
こないだはわざわざ家まで来てくれてどうもありがとう! やっぱり一睡もできていなかったんだね。でも、また遊びに来てくれると言ってくれて嬉しいな。

引越しの前に読んでもらおうと思って、ちょっと頑張りましたよ。すぐになくなるものじゃなくて、いつでも、何度でも、そういうプレゼントになってたらいいな。岡山支部を頼むぞ。でも、そこはヒロトさんの本拠地だから、たぶんすごいファンがいっぱいいる。まずは道場破りの旅に出て岡山を統一しないとね。ブチの国盗り物語だ。

No title

花さん さん
読んで下さってありがとうございます! いいことがあったみたいで、ほんとうによかったですね。真島さん、すごく優しい方だと思いますよ。ギタリストになって会えたら素敵ですね! 

レフュージアさん
呼吸困難動悸息切れ。いい感じに恋の病。
こんなに続くはずはなかったシリーズが、最初から順に読み返せるくらいまで続いたのは、こうして読んで下さるみなさんのおかげです。相変わらず私のほうは書くたびに「爆笑ものだ」とか「今度こそやべぇ」とか卑屈になったり怖気づいたりしているのですが、皆さんに温かいコメントを頂くと、また書こうかな? なんてね……思っちゃうんですよ……どうもありがとう!

No title

お泊まりは楽しいですね。
私も昨日凹子という人の家に泊まったのですが、
サンドイッチどころか、パンくずすら出てきませんでした。
家にあるのは酒ばかりでした。
一度お宅でごく真っ当なサンドイッチのご相伴にあずかりたいものです。

No title

tokageさん
お泊まりはわくわくしますね。深夜1時くらいにとつぜん人生についての相談が始まったり、朝3時くらいに箸が転がってもおかしい時間に突入したり、早朝5時くらいに友だちだと思ってた女子に襲われてみたり、いろんな楽しいことがあります。

ブチさんはお酒をたしなまないのですよ。だから悩んだ結果サンドイッチを作ったのです。tokageさんがいらっしゃるなら私も凹子さんと同じく、酒瓶を並べてお待ちしますが。

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