ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ロックンロールの秘密基地



ブログを引越して、なにがいちばん面倒くさいって、この「とある」シリーズのリンクの貼り替えがめんどくさいんだぜ!(過去のシリーズについてはいまだ放置状態)

とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利
とある猫の日の甲本真島
とある誕生日の甲本浩人
とある発情期の真島昌利
とある皐月の甲本浩人
とある新居の甲本真島
とある文月の甲本真島

ここまで来たか、の12弾! 相変わらず頂くメールには「とある」シリーズの続編を待っています、という言葉が多くて、嬉しいやら照れるやら。



私の仕事は中小企業向けコンピューターのデータ・サーバーの管理で、お得意先である会社が休みに入ってパソコンを一斉に落とすときを狙ってデータの移行や新しいサーバーの構築をするから、一般の人々が休みで浮かれているときがむしろ忙しい。
今回のお盆も9連勤の有様だ。しかも連日の深夜までの業務。夏が始まる頃には「あのお祭りも行こう」「あの花火大会も行こう」と予定していたのだが、結局はそれどころではなかった。
明日はやっと久しぶりの休日、という夜、スーパーマーケットやドラッグストアがまだ開いている時間に間に合わせるべく、どうにかこうにか仕事を片付けて退社、実は既になくなっていたのだけれど気付かないふりをしていた数々の日用品……ハンドソープ、消臭剤、掃除機のフィルターなど……に加えて食料品を買い込み、大荷物で部屋のドアを開けた。

足音を聴きつけたのだろう、細い脚をそろえて体育座りで玄関に待機、こっちを見上げていたのは甲本ヒロトだった。ずっと気の抜けなかった心が緩むような笑顔に、やっと帰ってきたのだ、明日は本当に休みなのだ、という実感がわいて、不意に涙が出そうになった。どさりと音を立てて、足元に荷物が落ちる。きゅうに力が入らなくなってうずくまる私と視線を合わせた甲本ヒロトは、とっておきの「よしよし」をくれた。節の目立つ手が何度か私の汗ばんだ髪の上を行っては帰る。私も思わず甲本ヒロトのちょっと伸びすぎてしまった髪に手をやって撫でる。お互いが無言でお互いをひたすら撫で合う(しかも玄関先で、荷物を散乱させて)状況がおかしくて、私は笑った。

リビングへ行く廊下でまた真島昌利が寝ていた。もちろん部屋の中には冷房をつけてあるのだけれど、真島昌利はそれ以上に涼しいところを見つけるのが上手で、部屋中を行き来してはいちばん風の通る場所で寝ている。しかし、真島昌利が涼しいところを知っている、と気付いた甲本ヒロトが後を追いかけまわして一緒に寝ようとするので、とても迷惑そうな様子で、時々は牙をむいて威嚇している。高い鼻に引っ掛けるようにかかったタオルケットから見えている薄い瞼は閉じられていて、熟睡しているのだろうと思い、そっと真島昌利が寝そべっている横を通り過ぎようとしたら、履いていたスカートの端をつまんで足止めされた。薄眼をあいている。おきているのだ。かがみこんで、頭を撫でた。ただいまと言ったら、タオルケットの中に導かれた手を甘噛みされた。

何とはなしに周りをうろうろして離れない甲本ヒロトの相手をしつつ、久しぶりにちゃんとしたご飯を作った。甲本ヒロトや真島昌利はレトルトになったご飯や缶詰なども食べるけれど、やっぱり手料理への食い付きがいちばんいい。豆を煮たり、カレーライスを作ったり、サラダを拵えたりした。手伝おうとしているのか邪魔しようとしているのだかよくわからない甲本ヒロトが鍋に手を突っ込もうとしたり、急に私にじゃれついてきたりするので危ないけれど、きょうはあまり叱らないことにする。カレーライスが煮える頃、真島昌利も興味しんしんの眼をしてキッチンをのぞいてきたので、みんな揃っていただきますをした。甲本ヒロトも真島昌利も、真剣な目をして、おきにいりのスプーンとフォークでものすごく良く食べた。

甲本ヒロトと真島昌利をお風呂で洗ってやり、自分も長めのお風呂に浸かったら、もう眠くなってしまった。ほんとうはもっともっと遊んであげたいのだけれど、気がつくと船を漕いでいる。ごめんね、ごめんね、と何度も甲本ヒロトと真島昌利に繰り返して、ベッドにもぐりこんだとたんに、頭の中でぶつりとスイッチが切れた。


……何度も。

何度も、頬や額の上を撫でられる感触でふと覚醒した。少し温かい、湿った感じ。指じゃない。唇。あるいは、舌。耳元をひそやかにかすめる笑い声。払おうとするけれど、まだ眠くて手が上がらない。そのままもう一度眠り落ちていたのだろう、まるで深い水から浮き上がるようにぽっかりと目を覚ますと、ベッドルームには静かな薄闇が満ちていた。寝ぼけたままで顔を少し動かして、壁の時計を確認すると、5時半。……朝? それとも、まさか。ベッドの横を探ると、甲本ヒロトはいない。
ドキドキしながら体を起こすと、薄いタオルケットの上からころりと何か小さなものが落っこちてきた。茶色で、カサカサした……目を近づけてよく見たら、体中からどっと汗が出た。

蝉の死骸だった。

私は虫がダメなのだ。特に蝉はだめだ。蝉の腹に似ているという理由で、鍛えすぎた筋肉の男性が苦手なくらい蝉が嫌いなのだ。なぜこんな場所に蝉の死骸。悲鳴を上げるより先に、体が痙攣したように震え、意識が遠くなりかけた。無意識でタオルケットを跳ね上げて蝉の死体を床に落としたら、一緒にいろんなものがタオルケットの上で飛び上がったのを見た。蝉の死骸だけじゃなかったのだ。私の寝ていたベッドの周囲、タオルケットの上には、やたらといろんなものがごちゃごちゃと置かれていた。
くまのぬいぐるみ。ギターのピック。タートルズのおもちゃ。銀のスプーン。丸いクッション。くしゃくしゃに丸めたやわらかいタオル。ロックンロールのCDが数枚。ガチャガチャの戦利品。ベランダに生えている草の葉っぱもまかれている。ベッドサイドに置いたみかんの枝には蝶か何かの緑色のさなぎがくっついていた。
何事かと思ったが、ようやく見当がついた。甲本ヒロトと真島昌利だ。これは、甲本ヒロトと真島昌利が大事にしているものばっかりだ。きのう、あんまり私が疲れていたので、どうにか元気にしてやろうと考えてくれたのに違いない。寝ている私の周りに運び込んで、甲本ヒロトと真島昌利なりに元気の出るものをいろいろ置いてくれたのだ。枕のすぐ横に置いてあった、一輪の黄色の小さな花を手にとって、私は苦笑いしてしまった。蝉はちょっとびっくりしたけど、これでは怒るわけにもいかない。
落ち着いて思い切り息を吸って吐いたら、ちぎった緑の強い匂いが鼻をついて、まるで原っぱの真ん中に作った秘密基地にいるみたいだった。胸の底から笑いがわいてきて、私は声を出して笑った。いつの間にかベッドルームの扉を少し開けて、甲本ヒロトと真島昌利の顔がふたつならんで、こっちを見守っているのに気付く。怖いので、蝉の死骸だけは甲本ヒロトにすぐに始末させた。たいそう心外だという顔をしていたが、これだけはどうしても譲れない。それを見ていた真島昌利がさなぎをそっとベランダに持って行ったので、こっちはどうにか目をつぶることにする。

カーテンを開けたら、斜めに差し込んでくる日差しは明らかに夕方のものだった。ほとんど1日中、延々寝ていたことになる。これでは甲本ヒロトや真島昌利に心配されても仕方がないのだ。さあ、残りわずかな休日をどう楽しもうか、両側から寄り添ってくる甲本ヒロトと真島昌利と手をつないで考えたら、名案が浮かんだ。
「ね、お祭りに行こう」
確か、いつもの公園で会うみんなが言っていたのだ。もうすぐ夏祭りだって。盆踊り大会があるんだって。あのいつも会うかわいい女の子も「おまつりにいくんだよ!」ってとてもうれしそうに言っていたっけ。夏祭りは今夜だったはずだ。きっと、みんな来ている。焼きそばや、たこ焼きや、リンゴ飴を食べながら、甲本ヒロトと真島昌利と、夏の夜を歩いていくのは楽しいだろう。

早く出かける用意をしなくては、と駆け込んだ洗面所で、私はこの日、二度目の衝撃を受けて思わず叫ぶ。

……寝ていたときに感じた、変な感触の正体が分かった。あからさますぎるほどに理解できた。
顔中に、いろんなペンでいたずら書きがされていたのだ。頬を滑って行く、少し湿った唇のようなあの感じは、ペンだったのだ。リビングで甲本ヒロトと真島昌利が笑っている声が聞こえた。全くもう、油断も隙もない! 

そのうちに絶対仕返しをしてやるぞ、と誓って顔をばしゃばしゃ洗いながら、昨日あんなに疲れていたことなんてすっかりどこか遠くへ放り投げてしまった自分を見つけて、私はうれしくなる。大丈夫、大丈夫なのだ。甲本ヒロトと真島昌利がいれば、私はこうして、いつまでだって笑いながら歩いて行ける。

今夜戻るまで、ベッドルームはそのままにしておこう。
甲本ヒロトと真島昌利のだいすきなものが散乱した、そこは、夏の秘密基地。
手をつないで、ぎゅうぎゅう押し合いながら一緒に寝よう。

でもその前に夕暮れを喰いつくしに外へ出て行こう。
夏の夜は、まだこれから大きなマントを広げて私たちのもとへやってくるんだ。

コメント

このシリーズ本当に好きです。
真島昌利の寝顔とか見てみたいな。綺麗なんだろうな…。
よしよしをしてみたいしされてみたいです。
されてみたい…とか自分で書いときながら照れる。笑

お祭りで、ヒロト君みかけましたよー。
一人でりんご飴の所で、固まっちゃってたから
つい・・・ごめん。買い与えてしまいました。

すごい笑顔で走り去って行ったけど、大丈夫かな・・・。
無事にニアさんとこへ戻りましたかね?

夏祭りの宵

花さん さん
いつもこんな気味悪い妄想の垂れ流しを「好きです」って言って下さってほんとうにありがとう! もしかしたら、ヒロトさんやマーシーを好きになればなるだけ「寝顔見たいな」とか「よしよしされたいな」とか思うのは、みんな共通の夢なのかもしれませんね。

ぷにすけさん
ハッ! あれはぷにすけさんが買い与えて下さったのですか?! すみませんでした、うちの甲本ヒロトが……。でっかいリンゴ飴に大喜びでしたよ。

ところで私のところに無事舞い戻ってきたとき、甲本ヒロトはリンゴ飴だけではなく、お面やら、きんぎょやら、スーパーボールやら綿飴やらたくさん抱えてホクホク戻ってきたのですが……もしかして、ぷにすけさん以外にも甲本ヒロトの上目遣いの「買って買って詐欺」にあわれた方がいるんじゃないかと、とても心配なのです……。 

あーごめんなさい、ごめんなさい(ノ_・。)
最近バタバタで久しぶりにゆっくりしてたもんだから、お祭りとか嬉しくって
スキップして行ったら向こうから同じくスキップしたヒョロヒョロが...。
私を覚えていてくれたみたいで、満面の笑みで飛びついて来たのは良しとしてw
「薬研掘 七味唐辛子」を買い与えてしまったのはわたくしです...ごめんちゃい。
最前列、体育座りで口上を全部聞かされた挙げ句買わされました。
ヒロトはあの喋りが面白かったようで、終始ニコニコしてましたけど。
私も寅さん好きなんで、別にいいけど。
是非!真夏の鍋焼きうどんでもして振りかけてください。

あ、あのわたあめ・・・

こんにちは。私もお盆、ずうっと仕事で・・・たまたま配達の帰りによったお祭りでそちらのヒロトさんをみかけましたよ・・・わたあめの機械をのぞいていた瞳にノックアウトされてつい・・・ごめんなさい。
ああ!お盆の疲れなんかいっぺんでとんでしまいましたよ!にあさんいつも素敵な素敵な物語をありがとうございます!私もぜひとも、よしよししたいしされてみたいですw

バナナン

お宅のヒロトくんと真島さんもお祭りに行ってたんですね!
私もヒロトに浴衣を着せて近くのお祭りに行きました。

うちのヒロトがチョコバナナ(なぜかチョコ部分が毒々しい水色)を欲しがったので、さっきピンク色がかかったのを買ってあげたでしょ、って言うと『そんなのしらない』顔されてかなりふて腐れたんですけど・・・・
蛍光ピンクのバナナをおねだりしてきたのはお宅のヒロトくんだったのでしょうか?

お祭りでまた宝物が増えたのでしょうね。
中身の無い薄荷パイプや指人形...
しぼんだヨーヨーにはお気をつけ下さい。

うちは甲本ヒロトはまだいないのですが、
夜の窓枠での狩りの戦利品を
朝見せてくれる女戦猫がおります。

買って買って詐欺、被害者多数

全身ブチさん
「スキップしたヒョロヒョロ」に愛を感じました。ヒョロヒョロ。宮崎駿のアニメに出てきそうヒョロヒョロ。
唐辛子ですが、本日になってポケットの中から発見されました! フィギュアと並べて飾って嬉しそうにしています。なんだ、ブチさんたら、また近くまで来ていたなら寄っていけばいいのに!

レフュージアさん
ああ、レフュージアさんにまでたかったのですね。買って買って詐欺にあわれた方が謝らないでください。今度はぜひ、お仕事を終えた後で、ウチまで来てビールでも飲んで行って下さい。

常駐ヒロトスキーくん
おや、もしかしたらお互い引越して、家が案外近くなっていたりして! 散歩などで偶然行き合わせたら、お互いの甲本ヒロトは一体どんな顔をするのかしら。
チョコバナナ……なんかこう天然にエロ可愛い感じがすごく甲本ヒロトっぽいけど(考え過ぎ)。でもウチの甲本ヒロト、今年は間に合わなくて浴衣着せてなかったよ。ということは、も、もしかして、近くに甲本ヒロトが生息中?

masibanekoさま
薄荷パイプは踏んじゃったりすると痛いんですよね。まったくもう、甲本ヒロトったら、なんであんなところに置きっぱなしに……。
「とある」の、みなさんのコメント欄でのこのノリの良さがだいすきです。

ねこさんって獲物を見せびらかしに来ますよね。「ねーねーこれとった、すごいでしょー」って。かわいいんだけど、コワイです。虫が。

すみません

うちの娘のポケットから一握り、虹色の金平糖が出てきました。
誰にもらったのか聞いたのですが、「お誕生日プレゼントだから」としか言いません。もしかしたら、お宅のヒロトにご迷惑をおかけしてないでしょうか?

tokageさん
その虹色の金平糖は、甲本ヒロトと真島昌利も持っていましたよ! きっと半分こにしたのでしょう。お祭りでお会いしたときに、なんだかお宅のお嬢さんとこそこそ話していましたが、きっとあのときに彼らなりのプレゼントを渡したんですね。甲本ヒロトも真島昌利も時々金平糖を口に入れてはニコニコしています。
お嬢さんにお誕生日おめでとうと伝えてください! またあの公園で甲本ヒロトと真島昌利と遊ぼうね!

こんにちは!
ああ、もう素敵すぎる!甲本ヒロトも真島昌利も、どうしてこんなに可愛いのでしょうか!

そうそう、あたしもついこの間行ったお祭りで、会ってしまいました……!甲本ヒロトに。
目尻の下がったにこにこ顔に負けて私がつけていたポケモンのお面をあげてしまったのですが……お下がりでも喜んでくれたかなあ。
……はっ!かさばる物よりも食べ物の方が良かったかな?ニアさんの部屋で邪魔になっていなければいいのですが。

凛華さん
夏風邪は大丈夫なんですか? 熱を上げないでくださいね!

あのお面は凛華さんのものだったんですね! 甲本ヒロトはとっても気に入ったらしく、つけっぱなしで生活しようとして、ご飯のときに困ったりしていますよ。朝、ポケモン顔で起こしに来るのはちょっとビックリするので止めて欲しいです……。

真島昌利の目撃談がないのはどうしてなんだろう、と思っていて、気づきました。ずっと私と手を繋いで歩いていたせいですね! ウフウフフフフ。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

Calendar

« | 2017-06 | »
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

Monthly

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

ましま にあ

ましま にあ

Hey ho,let's go!

ましまにあと直接連絡を取りたい方は
mashimania(´・ω・`)hotmail.co.jp
(´・ω・`)を@に進化させて下さい!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。