ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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夏はもちろんいいけれど、秋もいいよね。



今月、もう「とある」の更新はないんじゃないか? と思っただろう! ところがどっこい、書いてあるのだ! 

とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利
とある猫の日の甲本真島
とある誕生日の甲本浩人
とある発情期の真島昌利
とある皐月の甲本浩人
とある新居の甲本真島
とある文月の甲本真島
とある真夏の甲本真島

ついに13弾まで来ました。書き始めたときからだいぶ季節はめぐって、秋の「彼ら」をごらんあれ。 


秋晴れの休日に、髪を切る。

いままでも、お風呂に入れていて気になるたびに、ちょこちょことカットはしてきていたのだが、甲本ヒロトも真島昌利も思っていた以上に髪が伸びるのが早く、特に甲本ヒロトは少しやわらかい毛質の黒髪が肩について跳ねるほどになってしまった。真島昌利も、ふだん頭にバンダナを巻いたりしているので、髪が伸び放題なのを私には気付かれていないと高をくくっている様子だけれど、朝、寝癖がひどくてパイナップルみたいになっているのを見れば、もはや顎の線でそろえたボブカットの私よりも、だいぶ髪が長くなってしまっているのは一目瞭然だ。

これは甲本ヒロトも真島昌利もまとめて髪をカットするしかない。まずは膝を抱えてレコードを聴いている甲本ヒロトを笑顔で手招きし、上半身を脱がしてしまうと、新聞紙の上に据えた椅子に座らせて底に穴を開けたゴミ袋を頭からかぶせた。安っぽいてるてる坊主みたいになった甲本ヒロトは、いったい何事かと戸惑った様子で肩をすくめ、目をきょときょと忙しく動かしている。驚かさないようにやさしく声をかけながら、そっとまっすぐな黒い髪を後ろから撫でて、整えた。まだ頭をゆらゆら動かしているので、少し慣れるまで手遊びしていようと決め、つむじからそうっと線を引いて、真っ黒すぎて紺色に見えるほどの髪をわけてみたり、束にした髪を持ち上げてさらさら落としてみたりする。お風呂のときはいつも大騒ぎで、急いで髪を洗ってやったりタオルを投げてやったりだから、こういう後ろからの角度でゆっくりと甲本ヒロトの白い首や、頤や、滑らかな肩に続く線を眺めているのは初めてかもしれないなあ、と思う。髪に隠れがちな甲本ヒロトの耳はとがった美しい形をしている。野生の獣のようにぴんと立って、魅力的だ。耳の後ろを撫でるようにするとくすぐったがってのどの奥で笑う。

甲本ヒロトがリラックスした頃合を見計らって銀色の鋏を手に取った。もう一度撫でてきれいに髪を整えてから、動かないように左手でそっと甲本ヒロトの耳の上あたりを支えて、さあ、最初の鋏を入れようとしたとき、長い足を思い切り前に広げただらしない座り方で、ゴミ袋を盛大にがさがさ言わせながら甲本ヒロトはきゅうに振り向いた。目を細めて溶け崩れそうに笑うと、手がゴミ袋の中にあるからか、亀みたいに首だけ伸ばして私の肩のあたりにぐいぐい擦りつけてきた。薄い私のTシャツ越しに、甲本ヒロトの額から頬までが柔らかく行き来し、動きを止めてもう一度笑った甲本ヒロトの額にたれた前髪は、またぐちゃぐちゃに乱れている。鋏を置いて両手で髪を整えてやると、なにかひどく面映そうな顔をして唇を尖らせている。さて、ではカットに取り掛かろうと鋏を持つと、またニコニコしながら振り向いて、面白そうに頭を擦り付けてくる。そのたびに、細くてやわらかい甲本ヒロトの髪は滅茶苦茶にもつれて、私はそうっと髪を撫でてやる。

「……撫でられるの、嬉しいの?」

5・6回も同じことが繰り返されたので、甲本ヒロトの頭に手を置いたままでそう聞いてみた。聞こえないふりをして、甲本ヒロトは投げ出した足でパタパタ音を立てる。裸足の親指のつま先がほんのり赤い。そろそろ靴下を履かせなくてはいけないなあ、と思う。でも、甲本ヒロトも真島昌利も裸足が好きだからなあ。よく聞くと甲本ヒロトの足はいつのまにか軽快なリズムを叩いている。

「髪の毛きれいに切ったらさ、また好きなだけ撫でるから」

そう耳元でささやいたら、わかったと言うようにぎゅっと目をつぶった。おとなしくなった甲本ヒロトの髪に顔を近づけたら、ふっといいにおいがした。それは甲本ヒロトが一生懸命頭を擦り付けていた私の肩先からも漂う香りだった。ついこないだからシャンプーを変えたのだ。私と甲本ヒロトと真島昌利の髪は、みんな同じ匂いがする。

最初の鋏を、思い切って甲本ヒロトの髪に入れた。シャリン、と涼しい音がして、黒い髪がゴミ袋に零れ落ちて、そのまま滑っていって椅子の足元に広がった。甲本ヒロトは首元で鋏が動いても、目を閉じてじっとしたまま身じろぎせずに黙っている。信頼してくれているのだなあ、と思う。もしも私がすこしだけこの鋏を首元に動かしたら、とても危険なことになるのに、それでも甲本ヒロトはおとなしく座ってくれている。当たり前みたいだけれど、ほんとうは当たり前ではないことに気づくと、急に胸が熱くなった。
……こんなふうに暮らせるなんて思わなかった。
私は不器用なりに鋏を使いつつ、去年の冬からいままでにあったことをあれこれ思い出す。とてもじゃないけど、最初は一緒に暮らしていくのは無理だと考えていた。甲本ヒロトのことなんて何もわからなかったし、むしろ、妙な仏心を出して助けるんじゃなかった、と後悔さえした。おまけに真島昌利まで。でも、だんだん甲本ヒロトと真島昌利は、私にとってどうしても、いなくてはならない存在としてたいせつになってきて、だから、甲本ヒロトがどこかへ行ってしまったときは、ほんとうに、ほんとうに失うことの怖さに泣いた。

指の間にはさんだ黒髪を、シャリンと音立てて切った。

たよりなく、細い一本の髪みたいにつながった私たちの不思議な縁。どうして甲本ヒロトは私のところへ来たのだろう、どうして真島昌利が私にとってこんなに愛すべき存在になったんだろう。考えてもよくわからないけれど、確かにいま私たちは同じ円の中にいる。それは、たぶんすごく幸せなことなのだ。私たちの間に漂うのは、誰にでもよく見えてわかるような確固たるつながりではないけれど、細い黒髪や、同じ香りのするシャンプーや、そういう目に見えなくてもきっとそこに在る、曖昧で、でもやさしいつながりだ。

さくさくと甲本ヒロトの髪を刈っていたら、後ろにしずかな足音をたてて真島昌利がやってきた。

「終わったら次はきみの番だよ」

声をかけると、ちょっと顎を上げて返事に変え、ゆっくりと首をめぐらせると、不意につかつかとカーテンを閉めてある窓のほうへ向かう。

「ちょ、窓開けないでよ、髪の毛散らばってるし、外は風が強……」

言い終わる前に、ざっ、と秋の風が私の頬を、耳を、髪を撫でていった。夏に比べるとずいぶん日が落ちるのが早くなった窓の外は一日にさよならを告げるように暗さを増し始めていて、吹き込んできた風に、甲本ヒロトの切り終えた髪が雨みたいにはらはら舞った。あああああ、と私はため息をつく。掃除が大変。続けて真島昌利の髪を切ってしまうどころではなくなった。

でも、

窓の外を一瞥した甲本ヒロトの足先がまた、楽しそうにリズムを打つ。

得意げに窓の外を指してみせる真島昌利の後ろには、すばらしい満月が昇り始めたところだった。

「……秋もいいよね」
いささか不ぞろいではあるけれど、ずいぶんさっぱりした髪型に生まれ変わった甲本ヒロトの肩に手を置いて、私は思わずそう呟いてしまう。ほんとうは、春だって夏だって秋だって冬だって、好きなんだ。


どんなにか弱い縁でもいい。
どうして出逢ったのかなんて、わからない。
けれど、きみたちが傍にいて、同じものを食べて、同じシャンプーの匂いをさせて、同じ月の光を浴びることが出来るなら、きっといつでも、いつまでも。



……最上級に、楽しいんだよ。

コメント

はじめまして。初コメです(=ω=)
最初このブログに行き着いたのがとあるシリーズのページで、それからは毎日シリーズを読み返してニヤニヤする日々です(ΦωΦ*)
うちのちかくにも真島昌利がたたずんでいないかなぁ…とか思いつつ読ませていただきました(・∀・)ノ

新しいお話がアップされるのを心待ちにしております!←

こんばんは!

毎回甲本ヒロトも真島昌利も、いとおしくていとおしくて仕方がないです。

今回は甲本ヒロトの髪の毛を切ったようですね。
甲本ヒロト、夏の終わりに目撃しましたが、かなり髪の毛伸びてましたもんね。
こざっぱりした甲本ヒロトに会いたいです!

真島昌利も伸びるの早いんですか。すけべな人は髪が伸びるのが早いといいますが、甲本ヒロトや真島昌利も例外ではないのでしょうかね。すけべなのでしょうか。

そして一番気になってしまったことなのですが、
結局真島昌利の髪は切れたのですか?

バリカンで

お久しぶりです。
ヒロトくん髪を切ってもらって良かったね~☆

私もうちのヒロトの髪を切っていましたが…今はおこづかい持たせて近所の床屋に行かせています。
前までは頻繁にバリカンで少しずつ私がやってたんですよ…それがある日、最大パワーになってるとはしらず後頭部をバリバリっと…。
やってしまいました。
その時ウキウキで手鏡を持っていたヒロトが真っ青になったのが忘れられません。
それからはバリカンを持った私を信用してくれなくなりました。

ニアさんに今度うちのヒロトの散髪お願いしてもいいですか?なるべく服は着させてお伺いしますので…。

かるちゃん さま
はじめまして。嬉しいコメントをありがとうございます! 書いて更新するたびに「今回こそ完全にディスられる」「そうなったら山奥に逃げよう」「我を忘れて生きよう」「いや、我を忘れたら余計にまずいだろう」と思うのですが、ニヤニヤして頂けたなら本当に良かったです。しかも、読み返して下さってるなんて! 新しいお話! 気が早い! が、がんばります! 
かるちゃんさまもきっと、とある日、たたずんだ真島昌利に出会うのではないでしょうか。通り過ぎるのは不可能なはずですよ~。

凛華さん
いつもコメントをありがとう! こざっぱりした甲本ヒロト、こんどお散歩に連れて行くので見てやって下さい。でもあんまり上手に切れなかったから、笑わないであげてね! 
甲本ヒロトも真島昌利も髪が伸びるの早い気がします。すけべなのだと思います。その証拠に……あっ、これはこんな場所ではちょっと言えない話でした。お会いしたときにこっそりお話しますね!
真島昌利の髪は結局あの日には切れませんでしたよ……でも近いうちに切って見せます! 

常駐ヒロトスキーさん
私も床屋に行かせたほうがいいのはわかってるんですが、うちの甲本ヒロトは知らない人に後ろに立たれるのがいやみたいなんですよ。ゴルゴか、と言いたいです。
ヒロトスキーさんのバリカンの失敗は私も胸に刻もうと思います。真島昌利でそんなことしようものなら、しばらく目もあわせてくれない気がします。

私は不器用です。甲本ヒロトの髪型がウォーズマンになる可能性を受け入れていただけるなら、お越しいただいてもいいんですが……いいの? 

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