ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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LEW LEWIS live in TOKYO・2011/3/18

来ないんだろうって思ってた。

だって日本は地震で、原発が危うくて、停電で。来ないのが当然だって思った。だけどルーは来た。予定通りライブをやるって知って、ほんとうにびっくりした。次に立ちはだかったのは、自分の問題だった。普通なら、下北沢なんてそんなに遠い距離じゃない。喜び勇んで飛んでいくだろう。でも、いまの状況では、余震があったらまた簡単に電車が止まりそうないまの状況では、私にとって下北沢ははるかに遠い場所だった。「行けないかもしれない。行けるかな」って仲間にメールした。「ルールイスがやるなら、にあちゃんが行くのは当たり前だろう」と返事が来た。ああ、誰かにそう言ってほしかったのだ、私は行きたいのだ、と思った。「楽しむことが不謹慎だなんて言ってくれるな」とハウリンキャッツにさんざん書きながら、ほんとうは誰より私自身がいちばん、針のような罪悪感を感じていたんだ。

いけねえ、もう私の考え方が卑屈になってしまっている。ルールイスが、あのルーが地震くらいで来ないって思い込むなんて、もうそこから悲観的過ぎたんだ。ここまで来たら圧倒的に楽観して、轟音と共に転がり続けるしかない。憧れの人が日本にいるのだ、ずっとレコードを探し続けた大好きな人なのだ、「会いたい」という想いただひとつ、ロウソクのように胸の中で燃やし続けて、先の見えない薄闇の中を行ってきたんだ、下北沢。

行って良かった、行けて良かった。会えてよかった、ともだちに会って話せたこともよかった。あの地震の後の最初のライブが、ルールイスでほんとうに良かった。

あのろくでなしのハープは、胸ン中に溜まった瓦礫に、風穴あけてくれたんだ。


停電や帰る人のことを考えて、前座をあとに回して先にルールイスがやるという変更が加えられたこのライブ、始まる前にはメンバー全員ステージに揃って黙祷も。ルールイス、帽子に薄い色のサングラス、ジャケット、膝の擦り切れたジーンズに血の色のドクター・マーチン、唇をひきつらせるようにニヤリと笑うと上の歯も下の歯も何本も抜けてしまっているのがわかる。とてもがっしりとした骨格で、最小限の照明に照られているハープを持つ手も節がひとつひとつ際立って太い。労働者の指だなあ、と思う。でも、たぶんあれはとても、温かい手なんだろう。昔々の彼の姿ならそれこそ何度も残っている映像を観たりしたけれど、本物のルーを、しかもこうして歳を取ったルーを目前で見るのは当然ながらはじめてで、だからなんだか、ちょっとだまされている気持ちだったりもした。ルーもメンバーも曲が終わってはビールをあおり、まるでライブハウスが丸ごとイギリスのパブになったみたいだ。目が悪いのだろうか、スピーカーに貼られたセットリストに近々と顔を寄せて次の曲を確認するシーンが何度もあった。

初日、MCはほとんどなく、ルーの発するのは「アイッ」という掛け声のみ。メンバーの中で雰囲気を作っているのはギターのWARREN KENNEDY(元EDDIE & THE HOT RODS)かな、英語そんなに聞き取れなかったけれど、ファッキンを連発しながら冗談を言って笑ったり、チューニングだから待ってくれ、と言ってたり、ビールを掲げてにこにこしたり、テレキャスを持たせたら目の覚めるようなソロをやってくれるのだけど、すごく優しそうでおちゃめなおじさん、という感じ。
クロマニヨンズとはギターとベースが逆の位置で、いつものマーシー側(向かって右)にいるのがSPARCO(DR.FEELGOOD)。ドクター・フィールグッドと言えば、やっぱり初期のリー&ウィルコのイメージが強烈だけど、彼らの音楽をしっかり裏で支えたスパーコのベースはいまも健在、この日もドクター・フィールグッドのナンバーを何曲かやったけど、スパーコのブリブリのベース、好きだぁ。あまり話はしない大人しい小柄な丸いおじさんだけれど、余裕があるときにはすごく客席を観ていて、手を振ったりウィンクをしたりしていた。
曲終わりを決めるため、ギターやベースに負けない「ワン、ツー……」の掛け声を後ろからかけていた、髭の、眼がくりくりとよく動くドラマーはJON(THE CHARLATANS)、迫力あるドラムでした。

ルールイスというのはたぶん何にしろ「過剰」なひとなのだと思う。ほどほど、とか、適度、っていうものがなくて、すぐに振りきれてしまう。薬や酒も過剰なら、悪いことも歯止めがきかずに常識を超えて行く。そのぶん、音楽への気持ちや、ハープへの愛も深いのだと思う。ハープは3つ、GとAとE、水色のタオルに綺麗に包んで持っていた。端からひとつハープを包んで、タオルを間に挟むようにして次のハープを置いて、巻く。慎重に刃物でも扱うみたいに、ルーはハープを大事にしているように私には見えて、実際、彼にとってハープは最大の武器なんだな、と思った。吹き鳴らされるハープの音は耳をつんざいてやかましく、騒がしく、そして愉快で、どうにもこうにも泣けそうなくらい、過剰に、とんでもなく、最高にやさしかった。彼にどんな過去があれ、私はルーのことをずっと信じるだろう。彼は優しい人だ。絶対的にやさしいのだ。メーターを振り切ってやさしいのだ。だって、あいつ、いまこんなときに日本にちゃんと来てくれて、あんなハープを吹いてくれるんだぜ。

やっぱりそうとう緊張していたのでしょう、初日の下北沢、翌日の高円寺での公演に比べると、まだまだ演奏には硬さが残り、進行もぎくしゃくしていた部分もあったように思います。19日の高円寺ではルーもステージで笑顔など覗かせ、客席からの声にもよく答え、ブギーで踊って見せたり、他のメンバーもぐっとステージ前に寄ってアピール演奏をしてくれたりと、かなりほぐれて、そのぶん演奏にも余裕がうまれてきていました。ライブとしては段違いに高円寺のほうが上です。高円寺ではギターの弦が何度も切れたりと言ったアクシデントがあったのですが、それでもみんな落ち着いていました。お客さんもおそらく前日に来ていたか、それなりに情報を仕入れて来ていた人も多かったのでしょう、セットリストがほとんど変わらなかったため(ギターの弦が切れたせいで順番が入れ替わった程度じゃないかな)「この曲はやる」とアタリをつけてくることができたせいで、やっぱり高円寺のほうが全体の反応が良かったです。
それでも、私はルーやメンバーも緊張して、私たちも全く先の見えないセットリストに1曲1曲「この曲はやるかな」とドキドキし、イントロを聞いてはウワーっ! と飛び跳ね、まるで全身を耳にして息さえ勿体ないとでもいうようにはりつめていた初日の下北沢の、あの過剰な、心配も不安も緊張も、喜びも愛も祈りも、まだうまく名づけられない感情も、なにもかもが片端からルーのハープにのみこまれていった、ぎりぎりの、ロックンロールと呼ぶにふさわしいあの空気がすばらしかった、と思います。

ハープをつかんで、ぐっと前へ伸ばした手に銀の指輪がふたつ。すこし猫背の彼の姿はいまも生き続けるロックンロールのなれの果てで、それはキース・リチャーズなんかにもちょっと似ていて、あの人もいつかこういうふうになるのかもしれない、と思わせました。それを「往生際が悪い」と言う人もいるのかもしれません。でも、私はやっぱり、生きているものが好きです。生きている音楽、生きている人、生きているライブが好きです。


「指輪がほしい」と歌った彼も、きっとここに来たかっただろうな、と思いました。



セットリストにあまり変化はなかったようですね。福岡では「ルイルイ」「ログゼット」もやったようです。うらやましい。高円寺ではギターにトラブルがあって「ミスターバーテンダー」をあとでやったんじゃなかったかな……。KENNEDYのスペアのギターが黒い日本製のテレキャスで、1曲だけそれを使ったはいいけれど「やっぱりUSAのじゃなきゃ」ってもとのギターに持ち替えていた記憶がある。そして、やっぱりそっちのギターのほうが音圧があった。「FUTHER DOWN」はKENNEDYがボーカルを取って、ルーが後ろでハープを吹きならしていた曲だと思う。
セットリスト
ところで、セットリストの最後に「TETSUI BOOBIE」という謎の曲があるんだが、どう思い返してみてもここでやったのって「レッドルースター」だった気がするんだけど。あの曲の別名TETSUI BOOBIEなの? そんなの聞いたことない。このセットリスト、曲名けっこういい加減だから「レッドルースター」の(ルーの中での)通称がTETSUI BOOBIE……? だいたい、なんだよTETSUIって。ご存じの方いたら教えて下さい。

→追記/やっぱり「レッドルースター」はやっていた。これがセットリストから抜けていたんだな。そして、TETSUI BOOBIEはほんとに最後にやった謎の新曲らしい。下北初日は「BOOBIE」だけど高円寺・下北2日目のセットリストだと「TETSUI BOOGIE」になっているから、最初のが書き間違えで、つまりはブギなんだろう。歌われているのを聞くとTETSUI→TOKYOに聞こえた、という説も。「TOKYO BOOGIE」(仮題)なんだろうか。もう一回聞きたい……。

高円寺のほうのセットリスト。
セットリスト高円寺。
字が大きくなっているのは、1日目のセットリストではたぶん目の悪いルーがよく見えなかったから改良されたのだと思う。かがみこんで、すごく寄って見ていたものね。22日の下北沢でも、これと同じものが使われていたそうです。ハープのキーもこうして揃ったほうが見易いよなあ。

そして、
ルールイスサイン。
ルールイス、サイン!

コメント

優しい人ですね。ルールイスさん。

ブルースハープは心の奥の悲しい部分に響く楽器だなといつも思います。
そして、ブルースハープを上手く響かせる人は皆きっと優しい人だなと。

楽しむって事が
1番の善行!

ブルースはどこでだって鳴る

花さん さん
吹く楽器って特に「想い」が入りやすいんですよね。花さん さんも仰るように、あれだけのハープを吹ける人はやさしいのだと、私もそう思います。少し照れ屋で、不器用で、思いのほか紳士で真摯、そんな人のように、私には見えました。

福犬さま
はじめまして、コメントをありがとうございます。書いて下さった言葉、勇気が出ました。ほんとうにその通りです。ありがとう。

ルーは不器用で単純な人なんでしょうね。(褒めてますw)

やはりアルバムを出した全盛期を、まともに音楽活動もできず
刑務所に入ってしまうとはなんてバカなんだよ!
と責める気持ちは拭いきれないです。
でもそんな彼を救ったのは、見た目おじいさんになってしまい
歯もロクにない世間ではどうしようもない人を
また輝かせているのはハープなんですよね。

アンコールのゴリゴリのブルースがSEXYで参りました。
ブルーの光を纏ってキラキラしていたな・・・。
個人的にはまたつか、来日してくれると思います。
私が見た2日目では、そんな気がしました。

ルーを見たお陰で良い事もあったしな。ラッキー爺さんだぜ、あいつ!

ブチさん
ほんとにね、良くも悪くも不器用で単純で、バカだよ。扉を見たら、とりあえず開けずにいられないタイプの人なんだろうね。きっと本人も悪い方へ手を出すたびに「やめとけやめとけ……アーーーッやっちゃったーーーー……」って思っているんだろう。あの年でいまだにチンピラっぽいっていうのがすごいよ。ピカレスク・ロマンの主役みたいな男だ。

私もいつか、もういちど彼を観たいな。そのときの彼がどんな姿になってるのか、考えただけでドキドキする。いろんな意味で。

いいことがあったのかい? それはよかった。私もあったよ、最高の出来事が。ありがとう、ルールイス!

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