ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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生誕100年岡本太郎展/東京国立近代美術館

2月にシュルレアリスム展に足を運び、記事を書いたのだが、そのときのコメントでもこの岡本太郎展の話題が出ていたね。地震の影響で閉館の日があったり、閉館時間が短縮されたりしたので、行ける機会を虎視眈々と狙っていたのだよ。
岡本太郎展。
東京竹橋の東京国立近代美術館、すぐ手前に毎日新聞社、六本木のようないかにも東京の「いま」を体現する場所ではないが、私はこういう美術館のほうが好きなんだな。あと、いままでも何度か企画展示ものでこの東京国立近代美術館に来て思うのは、枝葉を少し省いても、かならずひとつのテーマや流れに沿った展示方法がされていて、見ていてすごくわかりやすい、ということ。テーマに沿うのってどこの美術館でもやってるじゃん、って思うかもしれないけれど、企画展示の大きなテーマを決めるのは、国語の授業の発表で言うなら「じゃあ次は江戸川乱歩の『孤島の鬼』を取りあげて発表を行います」くらいのおおざっぱな括りだと思うんだよね。その本についての自分の意見を相手にわかってもらうためには『孤島の鬼』という小説のどこが面白いと思ったか、その面白さはどこから導かれたのか、どことどこを省いて、どことどこをどう話して行ったらよりわかりやすく理解が深まり、相手にも面白いと思ってもらえるかを考えなきゃいけない。この「発表の仕方」が東京国立近代美術館は(非常にスタンダードだと思うんだけど)毎回外してなくて、うまいな、と思うんだ。今回の岡本太郎展もやっぱりそうでね、時系列で追った古典的なやり方ながら、わかりやすくて、おもしろい。もちろんそこには岡本太郎さんのつくるものの純粋な魅力もあるんだけどね。

入ってすぐ、ぐっと心をわしづかみにする彼の立体作品が並ぶ。手の指の躍動感がすごい。赤と青とふたつの手をモチーフにした作品、ちょっとずつ指の形が違う。ひとつは取りすがろうとしていて、ひとつはいままさに離そうとしているように見える。自分の両手でその形を作って見て思う。彼は、体で表現できる全ての感情が好きなんだ。感情が表現できる、あらゆる身体が好きなんだ。岡本太郎は言葉に拘らず、絵画に拘らず、立体作品に拘らず、建築に拘らず、身の内の全ての感情をスパークさせて芸術に昇華させた人だ。この縦横無尽さがたまらなく、すきだ。


よし、まだまだ書くから折り返すぞ! 好きな人のことは、いくら書いても飽きないなあ!



絵でも何でも、彼の作品を見ていると、何も感じないというふうではとてもいられない。きれいね、では絶対に終わらない、むしろ、きれいね、という通り一遍の愛想なんて初めからブッ潰しているものを捏ねあげて、目の前に出してくる。彼の作品の前では、人は決して傍観者ではいられない。私たちは岡本太郎の目を借り、指を借りてもう一度世界を規定する、そうすると、世界の傷口が見えてくる。人を惹きこんで、取り込んで、目を逸らさせはしない、手を使い、声色を変え、表情豊かな喋り方を、岡本太郎はいつもしている。饒舌な芸術家。

初期の「傷ましき腕」という作品に完全にノック・アウト。これはたぶん私が先だってシュルレアリスム展を見ていたから余計にそう思うのかもしれないけれど、私自身もどうしようもなくシュルレアリスムに惹かれつつも、シュルレアリスムも難しいよな、と疑問に思っていた小さな矛盾や不満のようなものに対して、岡本太郎が「こうすればいいんじゃね」ってひとつの答えを突き付けてくれたような気がするよ。シュルレアリスムとリアリズムが絵の中で真っ向から対決して、新しい道が開いている感じだ。岡本太郎はそれこそシュルレアリストたちがごろごろいた時代のパリで青年期を過ごしていたみたいだけど、そこで安易にシュルレアリストにならなかったのがすごいな。
シュルレアリズムというのは一種、表層を切り裂いて生々しく汚い傷口を露出したうえでそれを賛美する傾向というのがある気がするけど、岡本太郎という人はシュルレアリスムに対して「傷口がそこにあるなら、切ったナイフだってそこにあるはずじゃないか」というようなことを言ってるんだね、これ私の解釈だけどね。このナイフのほうが観念主義というか、具象をよしとしている、絵で言ったら写実主義かね。それぞれの主義は、それまで偏屈に自分の信じる一方しか見ていなかったわけだよ。傷口のほうは傷口ばっかり凝視して「流れる血が美しい」とか「切り裂かれた皮膚が」みたいなことを言ってるし、ナイフのほうは「この重量感が」とか「刃に光が反射するのが何とも」とか。それのど真ん中にやってきて「ナイフ(具象)だけを見るな、傷口(抽象)だけを見るな、どっちもちゃんと見て考えなきゃだめだ」って太郎さんが言う。その実験のひとつで描かれて、素晴らしい結果となったのが「傷ましき腕」じゃないのか。ああ、この絵、誰かに見せてもっと語り合いたい。そして、具象や観念的なものも彼はやっぱり好きで良く見ていたのだ、ということを考えると、いわゆる実用だけを考えて作られている歯車とか、ジッパーとか、足場とか、そういうものを好んでこの時代の絵に盛り込んでいるのもすごくよくわかる。

なーんて、小難しいことを言わなくてもね、岡本太郎の絵や立体作品と言うのは、もういいしれぬ感動のようなものを体の内側から与えてくれるわけでね。そのシンプルで力強い感動は、ヒロトさんの歌にも似ているなあ。日本古来の祭、縄文土器、シンプルな原色の色使いなど、太郎さんが好んだものには確かなつながりがあって、それはやっぱり、めぐる生命、人がその場所にちゃんといきてきた証、生活感、なのだと思う。大きな壁画ひとつとっても、彼の描くものは美術館に展示されているよりも人が絶え間なく行きかう街中にあってこそいきいきとするので、それはわかりやすく言うなら「スタジオ録音よりもライブがいいバンド」みたいだ。
太陽の塔も、像も、彼のつくるものは全部、人の生活の中にあっけらかんと立ち尽くすもので、だからすごい。生きてないのに生きてるみたいだ。太郎さんは、人間が好きで好きで仕方ないんだなあ。これがシュルレアリストになると、本気で人間を拒否してそこに芸術を見いだしたりするんだろうなあ。
太郎さんはやさしいなあ、って思ったのはさ、目の部屋(壁四面、太郎さんが描いた目の絵でいっぱい。ものすごくいい)においてある「座ることを拒否する椅子」をみたとき。その椅子、決して座れないわけじゃないんだもの。むしろ、そんなに拒否されずに座れてしまうよ。これがシュルレアリスム的になってみろ。「座ることを拒否する椅子」なんてタイトルの椅子だったら、あいつらマジで尖った針とか装着した、ほんとに座るの絶対無理って椅子作るぜ。座ることを拒否しつつも、太郎さんには容赦がある。やさしさがある、こっちが歩み寄るなら、調和する。そこがなんとも寛大で、いい。

いろいろ考えてるようで非常に直感的なひと、ひらめいてあとで理屈をつけているみたいなひと……と思ったら、ああ、彼も直感力の星・うお座の人。素敵に元気の出る言葉を、たくさん残してくれているのも嬉しい。展示の最後に「太郎さんの言葉」くじがあって、1枚持って帰れるようになっていた。結局、お土産と自分に言い聞かせて、絵葉書とかバッヂとかいろいろ買ってしまった。
お土産という名の呪文。

「太郎のことば」くじをどきどきしながら開くと、

自分、不器用ですから……

あはは、いまの私にはぴったりの言葉かもしれないな! 不器用だけど、不器用なりにがんばるよ。


たいへん面白いです、岡本太郎展。4月5日から展示替えがあって、絵が1枚変わるので、それを観にもういっかい行ってもいいくらい。たぶん私は太郎さんへの愛を熱に浮かされたように喋ると思いますが、それでも良いというどなたか、ご一緒する気はありませんか。

生誕100年岡本太郎展

コメント

ウザイ同士だからな

「別の」野音のために前乗りする日に行こうかなと思ったけど、
平日だし、私と岡本太郎を見るとウゼェから、
ご一緒するのはやめといたほうがいいかな。

おおっ!ガチャポンもやったのですね(^O^)
とっても欲しかった『動物』が当たってる!!うらやましい限りです。

私も、太郎さんとヒロトの審美眼は近いものがあるんだろうな~と感じました。上手くは言えませんが、世間一般でいう価値あるものに価値を感じず、価値ないものに価値をつけてるところ?

太郎さん著の『美の呪力』という真っ赤な表紙が印象的な本が面白かったです。初っ端から、“私は芸術家だが、芸術品には興味がない。美術館も好きでない”という強烈な発言をしてます。

太郎カラー

この人の色が好き。
そしてここ行きたいっす。
2回目は是非ともお供しますよ。

tokageさん
原人じゃなくて、花屋さんのほうの野音ですね。
ウゼェんですか。ウゼェのけっこう好きだよ。私もわりとウゼェよ!

おふみさん
シュルレアリスム展の記事のとき、岡本太郎展を教えてくれたの、おふみさんでしたね。ガチャポンやりました、私は飛行船が欲しかったんですが、出ませんでしたよ。
別の本を買ってしまったので次に『美の呪力』を読んでみます。美術館に飾られるようなきれいなものより、人の匂いのするもの、夕ご飯のあたたかみのあるものを太郎さんは愛したような気がして、その「当たり前を愛する」感覚は確かにヒロトさんに似ていると私も思います。

常駐ヒロトスキーくん
赤とか青とかの色が鮮烈で、目を閉じても残るようだよね。きみと岡本太郎を観られたら、きっとそれはそれは面白いだろうな。

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