ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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いつもどおりにあの部屋で、彼らと共に暮らしてる。




ウンボボツアーは終わったけれど、物語の中で彼らともう一度、長い旅に出ませんか?


とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利
とある猫の日の甲本真島
とある誕生日の甲本浩人
とある発情期の真島昌利
とある皐月の甲本浩人
とある新居の甲本真島
とある文月の甲本真島
とある真夏の甲本真島
とある中秋の甲本浩人
とある神無月の甲本真島
とある霜月の真島昌利
とある年始の甲本真島Ⅱ
とある睦月の甲本浩人Ⅱ
とある弥生の甲本真島


こっちはまだまだ、終わらないツアーの真っ最中!






甲本ヒロトの「とくい」は、とにかく部屋を散らかすこと。

性格的に掃除があまり得意ではなくて、まめに片付けをしない私も悪いのだけれど、目を離すとすぐにレコードやCDの山がそこかしこに積みあがる。いい加減にしなさい、と言おうと思って息を吸って、散らかした本人の姿を探すと、フローリングに直に体育座り、音楽鑑賞中。その背中があまりに華やいでいるから、吸った息をそのまま吐いてしまう。勘がいいので視線に気づいたのか、くるりとこちらを向いた甲本ヒロトは、怒られるなんてひとつも思わないで、ニコニコした笑顔のままで両手に持ったレコードを私の方に突きつけてくる。ジャケットを覗くと、それだけでもうぜんぜん毛色の違うことがわかる2枚のアルバム。でも、両方の曲一覧を目で追えば、同じタイトルの曲が入っていることがわかる。
「このひとたち、おなじ歌、歌ってるんだね」
そう言ったら頷いてまた嬉しそうにニコニコした。ふしぎだよねえ、すごく違う音楽みたいに思えるのにさあ、こいつら、おんなじ曲が好きなんだ、きっと。深いとこで、ちゃんとつながってんだ。そんなふうに饒舌にまくしたてる甲本ヒロトの姿が見える気がした。
甲本ヒロトはきらきら光って北を指す羅針盤のような手掛かりを頼りに、ロックンロールの海を縦横無尽に航海している。どんな音も聞き逃すまいと、まるでマストがいっぱいに風をはらんで張りつめるようにその背中が緊張する。何の関係もないように思われた2枚の遠いアルバムに、同じ歌という共通点を見出したときの喜びはどれほどだろうと思う。きっと甲本ヒロトにとっては、はるか離れたふたつの島に、同じ蟹が住んでいた、というガラパゴス諸島みたいな大発見に違いない。散らかすのがとくいな甲本ヒロトは、時々、さがしものが得意なロックンロールの航海士に早変わりする。


真島昌利の「とくい」はギター。

私の実家から貰ってきたギターを暇があれば触っていた真島昌利は、いつのまにか私よりずっとギターをじょうずに弾くようになってしまった。昼も夜も、やっぱりフローリングに座り込んでギターを抱えては、夢中で弦を操っている。さいきんは、何か話しかけるとギターを鳴らして返事をしたりする。「はい」のときは明るいメロディが返ってくるし、何か不満なときは短調のコードが返ってくるので、ちょっと笑ってしまう。なのに弦の交換は人任せだ。丸い目ですごまれてしぶしぶ弦を変えてやること度々、私はギターを弾くよりも弦交換に才能を発揮する、よくわからない人間になってしまった。
でも、真島昌利のギターはとてもいい。フレットの上を滑るように動いて行く親指。絡まって連なるコードの行進。時々、甲本ヒロトのレコードに合わせて、少し遠くを見るようにして音を探す。レコードに集中しているようで、甲本ヒロトは真島昌利のギターの音も聞いている。思考錯誤の末に真島昌利は正しい音に行きつく。肩越しに振り返って、ちょっとだけ甲本ヒロトは笑って見せる。知らないふりして真島昌利のきれいな指は弦のうえを散歩する。「A」とか「B#」とか、アルファベットでギターのコードがたくさん書かれた本は私にとっては魔法の書みたいだ。これはどんな音? と指さすと、真島昌利はその音を鳴らしてくれる。ほんとかうそかはわからない。全部の音が少しずつ異なっているのが私には不思議でしょうがない。C、B、B♭、A、A♭、Gと連結して鳴らされていくコードは、らせん階段を上って行くようだ。音符の迷宮をゆき、6弦の中に埋め込まれた宝石を拾い集めるのがとくいな真島昌利は、時々、世紀の大盗賊に早変わりする。


私には「とくい」はあまりない。

仕事のできるふりはしているけれど、ほんとうはそんなにバリバリ仕事するなんてかったるい、と思っているし、だからと言って家事がよくできるわけでもない。真島昌利のようになにか楽器に才があるわけでもなく、甲本ヒロトのように傍で見ている方が感心するほど、ひとつのことに集中して部屋中にレコードをまき散らしたりはしない。人に胸を張って言えるような「とくい」は、いまのところ見当たらない。
かなり残念なほうの「とくい」としては「よく怪我をする」ことがあげられるかもしれない。全く自慢にはならないけれど、私はほんとうによく小さな怪我をする。人に言うと苦笑されるような怪我だ。たぶん、粗忽なのだ。骨を折ったり入院したりといった大きな怪我はしないものの、ちょっとした痣とか、切り傷とか、小さな怪我がいつも体のどこかに常駐している。こないだスライサーでさくっと指まで軽く削った傷が治ったかと思った頃には、たんすの角で足の小指を打って悶絶する、といったたぐいだ。

いちばん腹が立つのはあれだ。仕事から帰って、廊下で踏んづけてしまうフィギュア。甲本ヒロトが集めているガチャガチャとか、コンビニで買えるおもちゃには、やたらと精巧なつくりのものが多い。ナントカマンとかナントカ戦隊(こんなふうにまるで区別がついていない私を甲本ヒロトは軽蔑したようなまなざしで見る)の武器をうっかり踏んだときは叫ぶのも忘れてその場に伏せた。なんだ、あのトゲトゲした銃。なんで廊下にこんなものが落ちてるんだ、と怒りに任せて捨ててやろうかとも思うのだが、遠くのほうに逃げてまずおもちゃが壊れていないかを確かめている甲本ヒロトの姿を見ると本気で怒る気がうせる。ねぇ……私の足の裏のほうが重傷だと思うよ……。

このあいだは、散歩中にいきなりつまずいて転びそうになった真島昌利を救おうとした私が派手に転んだ。このときは軽いあざですんだが、真島昌利は人の親切もわすれて顔を真っ赤にして笑いこけている。笑っていいのかやめたほうがいいのか、微妙な顔をした甲本ヒロトが手を伸ばして私を助け起こす。さすがに悪いと思ったらしい真島昌利が、まだちょっと笑いながら私の頭をわしわし撫でる。いつの間にか、かまっているはずだった甲本ヒロトと真島昌利に、私がかまわれているような気分になる。
不思議だ。私はこういうとき、いつも、ふっと大事なことを思い出したような気持ちになってしまう。桜が散った夏のにおいのする公園への道で、今朝から革ジャンを脱いだ軽装の甲本ヒロトと真島昌利が笑っていて、私はそれを見上げている。ほんとうは、養われているのは私なんじゃないだろうか。なんでもあげる、なんでもしてあげると思っていたのは間違いで、甲本ヒロトも真島昌利も私よりもずっとずっとものごとをよくわかっている生き物で、ずっとずっと昔から、私のほうが彼らにすべてを与えられて、生きているんじゃなかっただろうか。


会社のひるやすみ、家から持ってきたお弁当の包みを開いたら、甲本ヒロト所蔵のフィギュアがひとつ、おにぎりと一緒にころんと転がり出てきた。小さいくせに手と足が自在に稼動するよくできた、ナントカマンの赤いコスチュームのヒーローを手のひらの上で動かしながら、私はちょっと笑ってしまう。
甲本ヒロトは、遠まわしに「ごめんね」というのが、とてもとくいだ。
甲本ヒロトも真島昌利も、ちっぽけですぐに怒ってどこまでもわがままな私を、じっとみているのがとくいだ。
私をこんなにも幸福にするのがとくいだ。

世界はやさしくないから、これからも私は叫んだりわめいたりしながら、小さな傷をたくさん負っていくんだろう。あの手この手で迫り来る、擦り傷切り傷引っかき傷。でもそんな怪我はいつか治る、すぐに治る、だからだいじょうぶなんだ。きのうは私の足を痛めたヒーローは、きょうはてのひらの中に躍り出て、私を救ってくれるに違いない。おにぎりを食べながら笑っていたら、同僚たちにしあわせそうね、と呆れられた。


きょう帰ったら、話をしよう。


私ね、怪我をすること以外に、見つけたんだよ。


さがしものがとくいなロックンロールの航海士と、6弦の中に埋め込まれた宝石を拾い集めるのがとくいな世紀の大盗賊と一緒に、いつまでも気持ちよく、楽しく旅をすること。


それが私の、なによりいちばん、とくいなことだよ。



コメント

ご無沙汰してます

そちらのヒロトくんと真島くんもお元気そうでよかったです。
ナントカ船隊・・・いや戦隊にはまりだすときりがないですよね。

うちのヒロトはアメリカンコミック、というのでしょうか?が好きみたいで、レンタルしたお世辞にもかわいいと言えないマッチョな亀やそりゃないだろ、とつっこみたくなるパワーを持ったヒーローのアニメをよく見ています。
日本語の音声に切り替えようとすると、リモコンを奪い取り、英語のまま熱心に聴いています。
・・・・英語わかるのかな?私の話すことすら理解してるのか怪しいのに。
今私にのしかかってプレミア付きのコミックをねだってきています。お金のかかる子です。

真柴家では桜の木の下でとても珍しい高橋ヨシオを保護いたしました。

甲本ヒロトと真島昌利と「私」の日記が読みたいぐらい大好きな物語を
いつもありがとうございます。
「とある」世界の中の甲本ヒロトと真島昌利が長い長い航海になる事を願ってます。
(想像力のない私は以前ポケモンみたいなどと書きました。言葉が足りませんでしたが、ゲームの中の戦闘のポケモンではなく、今、大学生の一人娘が幼稚園の頃から大好きでテレビや映画を見て泣いたり笑ったりした大事な友達のイメージで...独りよがりな書き方で失礼いたしました。)

常駐ヒロトスキーさん
常駐ヒロトスキーさんのところの甲本ヒロトも健やかなようでよかったです。アメコミも好きになるんですね……見せちゃったらハマりそうです。おねだりが得意ですよね、甲本ヒロトは。でもあの笑顔でのしかかられたら、うっかり買い与えてしまいそう!

真柴猫さん
ポケモンってけっこう手のかかる子達なんですよね、休ませたり木の実を与えたり、一生懸命かわいがって、自分のレベルも上げないとなつかなくて。でも、そこがかわいくて、だから最高のともだちになれる。真柴猫さんの仰るポケモンのイメージ、さいしょから私はちゃんとわかっていたよ。

桜の木の下の高橋ヨシオ……! 真柴猫さんの新しいともだちも、なんだか面白そうな気配がするぞ!

初めまして。
今更ながら最近このサイト様を発見致しまして、こっそり覗かせていただいていました。思い切ってコメント失礼します。

ヒロマシはずっと大好きです・・・!
にあさんの小説にあまりにも萌えすぎて、うっかり引きこもりです。文章とってもお上手ですね。めちゃめちゃ面白いです!単純に感動する上に、3人が可愛すぎてさらに泣けます。
お忙しいとは思いますが、これからもこのシリーズ更新お願いします!!

私も、週明けくらいから甲本ヒロトと真島昌利を探しに行こうかしら。なんて。

では、失礼しました!

ヤムヤムさま
はじめまして、コメントをありがとうございます。思い切って下さって嬉しい! でも5月の風のビールが美味しい時期が来ましたから、ひきこもりはだめ! 外に出たら、きっと「ヒロトとマーシー大好き」と仰るヤムヤムさまも、野良甲本ヒロトと野良真島昌利を拾うかも、ですよ!

真柴猫さんも同じようなことを書いて下さってたけど、「私」を含めてこの小説の「3人」が可愛い、っていうの、ほんとうに嬉しいです。きっとこれからも寄り道したり、間違ったり喧嘩したり笑ったりを繰り返す3人を見守って下さいね。

ヤムヤムさま、またコメントをお待ちしていますよ~。

こんばんはー。
今回は日常っぽい感じですね。この物語が持つ、柔らかい空気がすごく好きです。かわいいなあ、甲本ヒロト。真島昌利も素敵だなあ。
今回のようなお話が一番、彼らと一緒に過ごしているにあさんのことを羨ましいと思わせます。
あたしも甲本ヒロトにかわいい「ごめんね」をしてもらいたいなあ……
きっと彼はかわいく「ありがとう」も言えるんだろうなあ。

凛華さん
いつもコメントをありがとう。たいていごく普通に、だらだら暮らしているのです。「最近どう?」「うん普通ー」って言えるのは、いいことだよね。

「ごめんね」や「ありがとう」がかわいく言える人って私自身も羨ましいんですよね。どうしてもふてくされたみたいな言い方になるんです、私。確かに、甲本ヒロトはそういうのがすごくうまい気がする!

いつの間にか19作も続けてしまいました。こんなろくでもない物語を支援をしてくれるみなさんに、ほんとに感謝。

初!

にあさん、みなさま、初めまして。長いこと覗き見してました。すいませんっ。大好きです。うるです。にあさん最近ローソン行かれましたか!!?我々の愛するとある物語が、ついにデビューしたのかと思いました。全身の毛穴が開くぐらいビックリしました。よくわかんないけど泣きそうです。笑。なのでよくわかんないコメント残しちゃいます。これからも、楽しみにしてます♥

うるさま
はじめまして、初! コメントをありがとうございます。覗き見からとうとうガン見になって下さって感謝です。ちょうどいま、次の「とある」を書いていたので、うるさまの「大好き」というお言葉がガソリンになりました。また喜んでくださるでしょうか、「とある」皐月篇、近日公開です。 

ローソン……ホンモノのほうの「とある」シリーズが販促に使われるみたいですね。 あっちが正統なのに、こっちの「とある」を思い浮かべてビックリなんて、私はとっても嬉しいけど、重症ですよ~、うるさん!

また気軽にコメント書きにいらしてくださいね!

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