ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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向日葵と斜陽についての一考察。




2度目のぞろ目だぜ、ひゃっほう! 第22弾、もちろん、2ヤ2ヤしながら読んでくれ!


とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利
とある猫の日の甲本真島
とある誕生日の甲本浩人
とある発情期の真島昌利
とある皐月の甲本浩人
とある新居の甲本真島
とある文月の甲本真島
とある真夏の甲本真島
とある中秋の甲本浩人
とある神無月の甲本真島
とある霜月の真島昌利
とある年始の甲本真島Ⅱ
とある睦月の甲本浩人Ⅱ
とある弥生の甲本真島
とある卯月の甲本真島
とある皐月の真島昌利
とある水無月の甲本真島




 
ややエロい要素があるような話のときのほうが、妙に筆が進む気がする……。







高校生のときは美術部で、毎日、油絵を描いていた。下手の横好きというやつだ。よくある青春の熱情で、ゴッホのひまわりの燃え立つ色使いに惚れ込み、似たようなものを試行錯誤しては描いていた。いまでも部室に充満する油の匂いを思い出す。夏のうだるような午後3時過ぎ、ちょうど部活の時間になると、決まって美術室の冷房が不調になった。したたる汗を拭いもせずに、黙々とキャンバスに向かった。少し開いた埃っぽいカーテンから差し込んでくる西日に、いま塗ったばかりの私の絵の黄色が照り映えてまぶしかった。汗の気配を嗅ぎつけたのか、弱々しく飛んできた蚊が一匹、まるで吸い込まれるようにキャンバスのまだ乾いていない黄色に墜落して溺れた。思わず指でこそげ落そうとして、逡巡する。蚊の絹糸のような足の一本は、すこしもがいて宙を切り、すぐに動かなくなったのだ。私は誰にも知られぬように、蚊の上にこってりと絵具を乗せた。絵の中に永遠に閉じ込められた蚊の死骸。もう動かない蚊の目玉には、どんな世界が映っているのだろうと思う。地を埋め尽くすいくつもの黄色い花と銅線のあかがねを溶かしたような夕焼けの色。そのちょうど境のあたりに蚊は埋葬されている。健やかな高校生だった私の考える死は少し甘く、遠い国の物語のようだったから、むしろ原色にまみれたこの一匹の蚊の成れの果てのほうが生々しく、死というものをリアルな大きさで捉えることが出来たのかもしれない。現実にそこにある死ごと、重い油絵の具で塗りつぶされていくキャンバス。

そのとき、私の絵は夕暮れのひまわり畑がテーマだった。




「あ、」



もう遠い高校のときの記憶が不意によみがえって、思わず小さな声が出た。妙な思い出を喚起させたのは、高校時代、まるでこれが人生最期の作品だとでもいうように、何やら必死で描いていた夕暮れの色に似た、赤いマニキュアだ。ふだんとんと爪の色などお構いなしな生活を送っているが、あした、友人の結婚式に呼ばれている関係で、爪くらいどうにかしなくてはと思い立ち、ドレッサーの引き出しからいくつかマニキュアの小瓶を見つけ出してきて、ようやく塗り始めたところだった。
見慣れぬ小さなきらきらしたものが出てきたので、甲本ヒロトと真島昌利は興味津々でリビングの床に私同様ぺたりと座り込み、瓶を並べ替えたり倒しかけたりしていたのだが、私の小さな叫びをひどい叱責と勘違いしたのか、手を空中に所在なさげに浮かせたままで凍りついている。ああ、いまの怒ったんじゃないから、ごめんごめん、と両手でさっき洗ったばかりの甲本ヒロトと真島昌利の頭をなでると、喉の奥で安心したような唸りをあげて、それぞれの遊びに戻った。

放置したまま少し時間がたってしまって、買った当時よりどろりと重い触感の赤いマニキュアは血液にも似ている。その質感や独特のつんと来るシンナーの匂いも、遠い美術室を私に思い起こさせた原因かもしれなかった。そういえば、あした結婚する新婦は高校のときの同級生だ。ここ何年か特に連絡を取りあってもいなかったが、先日、結婚するというのでとつぜん電話が来たのだった。私がまだ結婚していないというと、二次会はほとんど合コンのノリにするつもりだから、ぜったいおいでよ、と言った。ほんとにイケメン来るの? と電話口で私も冗談めかして笑いながら、なにかほんの少し、自分の中に射し込んでくる影というのか、悪意のようなものを感じていた。

「……うらやましいならうらやましいって素直に思えればいいんだよね」

左手の指をくれないに染め上げ、ほっとしてついため息まじりに独り言をつぶやくと、また甲本ヒロトと真島昌利が自分に話しかけられたのかと耳をひくひくさせて寄ってくる。だめだめ、指まだ乾いてないから、と手を振るが、遊んでくれるのかと思ったらしく、甲本ヒロトにじゃれつかれて危うく後ろに倒れそうになる。頬に触れた髪の毛がまだ少し水っぽい。左手を死守するため、学生時代の「前へ倣え」のように、腕を前へぴんと伸ばしたままのそのスペースに甲本ヒロトが嵌って座り込み、ご機嫌で私の後頭部をなぜたり、首のへんに鼻を寄せてはにおい付けのようなしぐさを繰り返している。

(うらやましいのかなあ)

ほんとうは、あんまり結婚式になんて行きたくないのだ。ずっと仲のいい友達ならともかく、急にかかってきた電話だもの。きっと人数合わせなのだろう。

(……そこまでうらやましい、わけでもないと思うんだけどなあ。なんだかんだで充実しているし)

でも、

「え、ほんとに付き合ってる人とかいないの? さみしくない?」

あんまり無邪気にそう聞かれたときには、なんて返したらいいか、わからなかったな。確かあの子は、高校生のときも、毎日毎日放課後に、美術室で絵とばかり向かい合っている私に、ひどく稚く、不思議そうに聞いたっけ。自分の油臭い匂いとは違って、デオドラントの柑橘系の匂いのする、きれいに整えられた淡い色の爪を持つ女の子の問いは、私をひどく戸惑わせたのではなかったか。

どうしてそんな絵ばかり描いていられるの? ほかにもっと面白いことや大事なことは持ってないの?

そのとき自分がどう答えたのかはもうぜんぜん思い出せないけれど。



「あ、」


妙な感触に声が出た。甲本ヒロトに正面切って甘えられ、前に伸ばしっぱなしで少しだるくなっていた両の腕。マニキュアを塗った左の中指と薬指が、あたたかい湿ったものに、急に包まれる。水の中に住む生き物のような感触。びくっと指を動かすと、私の指の動きの通りに形を変える、やわらかくてぞくぞくするようなぬめり。けん制するように、固いもので指を上下に軽くはさまれる。間違いない。歯だ。目が合うとやたらとにこにこする甲本ヒロトの頭を避けてその向こうを覗き込むと、私の指をくわえている真島昌利がいた。何か言おうとするが言葉が出てこない。ちょっと過剰に、真島昌利の眼を覗き込むだけの時間が過ぎていく。指をくわえたときにマニキュアがついてしまったのだろう、できたてのかすり傷のように、真島昌利の唇のわきに赤い塗料が付着している。まるで一発か二発、殴られたみたいだ。

とりあえず体に悪いだろうから、真島昌利の口から指を抜く。真島昌利は視線で私の指を追い、なぜか名残り惜しそうな顔をしている。マニキュアは思っていた以上に悲惨な状態だった。いちどぜんぶ落として、またはじめから塗り直しだ。

ようやくまとわりつくのをやめ、自分のフィギュアコレクションの箱を引きずってきて、剥げた塗装の部分をどうにかマニキュアで補修しようと考えているらしい甲本ヒロトと、マニキュアの色や、手触りや、匂い(あるいは、味?)にものすごく惹かれる部分があるらしい真島昌利が何かと邪魔しようとするのを押しとどめながら、何とか両手のマニキュアを塗り終えた。10本の指は、夕暮れを埋め込んだような赤色だ。まあまあ満足のいく塗り具合に、ほっと息をついたのを狙い澄ましたように真島昌利が手を伸ばし、今度は右手の親指の爪に、スタンプのように自分の親指を重ねる。見れば親指のマニキュアには真島昌利の指紋がくっきりと刻印されている。まったくもう! と言いかけて真島昌利に顔を戻すと、さっき赤い跡が唇の端についたままの姿で、また過剰に、じっと私を見ている。

(まえにも言ったと思うけど)

(……ぼくだけを見てないと、ゆるさないから、ね)

にやり、と不穏に笑って赤い筋をゆがめて歯をのぞかせると、真島昌利は自分の親指を私の口の中に無理やり突っ込んで、かき回した。口内にとどまらず、体中を蹂躙されていくような気がするが、こみ上げる感情に名前を付けるなら、たぶんそれは「快感」なんだろう。

(だいじょうぶ)

(好きなものは私自身がいちばんよく知っているから)

(……ただ、どうしようもなく、好きで好きで仕方ないのよ)

天啓のようにひらめき、金色の矢のごとく鼓膜を突き破って戻ってきたのは、高校生のとき、ほかに楽しいことはないのかと問われた私が彼女に返した、まさにその通りの言葉だった。私は、絵を描くことが本当に好きだった。自分の才能にはとっくに限界を感じていたけれど、それでも、絵具を溶くこと、いろんな色を塗り重ねること、やがてそれがひとつの作品としてまとまっていくこと、どんなに悩んでも、結局出来上がったその絵に満足がいかなくても、たとえそこから何も生まれなくても、絵を描くというその過程のすべてに喜びを感じていた。光の中に自分から飛び込んで墜落していく蚊のように、描くという行為に自分自身さえ埋没させて、熱狂していた。体のいちばん奥から、湧き上がってくるとめどない力にかき回され、振り回されるほどに描くことを愛してやまなかった。


……さみしくないの?


さみしくないわ。


さみしいなんて考えたこともなかった。
さみしいなんてそんな感情を、持つ暇なんてなかった。
だって私は。


(きみだけを視ていると誓ったから)


軽い嘔吐感すら伴って、歯や舌の奥や上口蓋をなぞっていた執拗な親指がようやく口から引き抜かれ、私はぼんやりと真島昌利の指紋が刻まれた夕暮れ色の指に目を落とす。これは、やっぱりあの日私が描いていたひまわり畑を覆い尽くす夕暮れの色だ。滴るような赤だ。
甲本ヒロトは透明のマニキュアを艶だし代わりに小さなフィギュアに塗ろうとして夢中になっている。
真島昌利はいままでのことなんて忘れたみたいに甲本ヒロトの様子をおもしろそうに眺めている。


好きで好きで、仕方がないのです。


あした、きっと結婚する彼女に心から笑っておめでとうを言えるだろうと私は思った。そして、二次会には行かないで、私はまっすぐここに帰ってくるんだろう。


目をつぶると墜落する。黄色と、夕暮れ色の世界。まぶしい甲本ヒロトの笑顔と、静かに空気を満たしていく真島昌利の美しい悪意ある微笑み。


きみたちに完全に囚われ、私は方向感覚を失い、限りない光の中へ失墜するのだ。そしていつかの蚊のように塗り込められて、もう息もできない。誰にもわからない、誰にも触れない王国。堕ちて行った蚊は、もしかしたら隅から隅まで幸福なのではないだろうか。


この10本の指で、しっかりと捕まえた世界。




ひたすらに……すきですきで、しかたないんだ。





コメント

(*´・ω・`*)ポッ。

…く わ え ら れ た い !


私も真島昌利がほしいですー。

本当にすきですきでしかたないものがあれば それだけでいいですよね。

柴猫に匂い付けされながら 台風に備えて庭のガラクタを一緒に片付けてくれる
高橋ヨシオはエロチックなところは微塵もないですけどね。
(あっても不気味だ!)
指だけでも真島昌利にならないかしら....

私の指もくわえてください。
私の頬も真っ赤に染めましたよ、真島さんは。

いつにも増して素敵なお話をありがとうございます!
お忙しい中お疲れ様でした。次回作も当たり前のように楽しみにしております。

こんにちは!お久しぶりです。

え、えろい……!えろいというかえろてぃっく。
えろいというか……性欲まるだしですね、真島昌利くん。

ああしかし甲本ヒロトくんが何よりもかわいいです。頭なでたい。もふもふしたい。ふふふは

太宰ズム

お母さまがお口にグリンピイスのスウプをスプウンで運ぶくらいエロチックですわ。

ディーディーさん
きっと、きみを(*´・ω・`*)ポッってさせる真島昌利を道で拾うのも、もうすぐだよ。……でも、きみのお母さん、ヒロトスキーだよね? 「甲本ヒロトのほうがいい」とか言わない?

真柴猫さん
高橋ヨシオがエロチックだったら、すごくいやですね……。真柴猫さんのところの高橋ヨシオもすっかり犬や猫の中でのほほんと生活しているようで、ほほえましいです。

好きで好きでしかたないものというのは、強みとともに弱みにもなりますねえ。

ヤムヤムさん
いつも読んでくださってありがとうございます! 公開まではいつもいつも「今度こそやばい。きっと変態とか破廉恥とか罵られる」とびくびくしているのですが、今回も書いてよかったです!

凛華さん
性欲まるだし……!!
なのに、そこで甲本ヒロトに食いつく凛華さんのヒロトスキーっぷりに驚愕ですよ。

tokageさん
ふふふ、だいすきなんです、太宰。次の話では、花の影で甲本ヒロトと真島昌利におしっこをさせようかしら(太宰のロマンティシズム台無しである)

ディーディーの母です。
当たり前じゃないですか!!
とある…の甲本ヒロトは何となくいつも甘え足りずに切ない感じなので、うちに来たら思いっっっきり甘えさせてあげます(*/ω\*)
娘が真島昌利を欲しい!と言うので、先日病院で念の為血液検査したら、私、真島昌利アレルギーがありました。真島昌利を家に置くと、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水が止まらなくなるとのこと。娘が欲しがってるのに、ああ、残念……。

Marilynさん
真島昌利アレルギーは完治します。いつも真島昌利を傍において、声を聞いたり、姿を見たりしていると、ある日とつぜん「あれ……真島昌利の横にいるヒョロヒョロは誰だっけ?」ってなりますよ! レッツトライ★

これでディーディーも安心して真島昌利が拾えるね!

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