ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

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トゥルーズ=ロートレック展/三菱一号館美術館

やれやれ、滑り込みでようやく行ってきましたよ。年末の丸の内、明日まで開催のロートレック展。東京駅が近いから、でかい荷物を持った人がうろうろしていたよ。到着したのか、帰るのか。ここらへんはよく歩いているのでさすがに迷わないだろうと思ったら、いま東京駅が改装中でずいぶん見た目が変わっていて、あやうく自分の行く方向を見誤りそうになった。こう、いつも漠然と、街の雰囲気でしか方向を把握していないからこんなことになるんだよな。自分が刹那迷ったにも関わらず、方角に確信が持てると、すぐさま「最初からわかってましたよ」という振りをして、ちょっと迷ってしまったらしく、あっちのはずだとかこっちだとか意見を交わしていたふたりのおばさまに「ロートレックならこっちですよ」としゃあしゃあと声をかける俺だ。美術館までご一緒したが、とても仲のいいお友達同士らしく、きょうはロートレックを見たあと丸の内でランチの予定なの、クリスマスイブだからちょっと高いお店を予約したの、とか楽しそうにしゃべっていらして、微笑ましかったな。ロートレックとおいしいごはん。年末の過ごし方としては最高の部類に入るよなあ。

ロートレック展じたいも今日が終了まであと1日を残すばかりのイブとあって、どれくらい混んでいるものか、とびくびくしつつ行ったのだけど、思ったほどではなく、わりあいゆっくり鑑賞することが出来ました。でも、美術館にも看板が出ていた通り、この建物の床が固くて、とにかくヒールの音が響くこと響くこと。クリスマスイブだしね、これから銀座へ出てデート、なんていうおしゃれさんも多かったせいか、ひっきりなしにカンコンカンコン音がして、お世辞にも静かに集中して見られました、とは言えないな。建物はとても瀟洒で、素敵なんだけど、小さい部屋が連なった作りで移動距離が長いし、この美術館を見に来るならできればスニーカーとかラバーソウルがお勧めだね。間違ってもヴィヴィアンのエレベイテッドは駄目だ。

さて、ロートレックは日本で展示があればなるべく見に行くようにはしてるんだけど、確かこの三菱での展示の前にひとつ渋谷あたりでのロートレック展を逃したような気がするので、最近はオルセーで来た何枚かを見ただけだったんだ。こんなにまとめてロートレックを見るのは久しぶりでうれしかったな。いま調べてみたら、前にロートレック展行ったのは2008年か。私の中でものすごい印象が強かったのでもっと近い過去のことだと思ってた。あのときも「ムーラン・ルージュ」のポスターの前で、ただただ立ちすくんでいたなあ。ただいま、ロートレック。絵は良いよな、何度こうして舞い戻っても、感動はとてつもなく大きく、このポスターを初めて目の当たりにしたあのときと一緒だ。


ロートレック展
☆どんな形であれ、ロートレックは美術館より人が行き交う街の中にポンとあるほうが引き立つと思うんだよ。その点、岡本太郎なんかにも似ている。


今回のロートレック展はロートレック自身が遺し、良き友人であった画商によって引き継がれたコレクションが主となってやってきているので、目玉であるポスターの他にもロートレックが晩餐会のために作ったメニュー(ロートレックは相当の美食家だったらしい)など、なかなかおもしろいものが含まれていましたよ。やっぱり私はポスターが好きだけれどね。何か、ものっすごいわくわくするんだよな、彼のポスターを見ていると。絵画の技法とか、筆致とか、そういうことは私にはよくわかんないが、普通なら現実や日常から主題だけを切り抜いてポスターに仕上げるべきところを、ロートレックってわざと脇役をポスターの中に滑り込ませてくるんだよね。舞台の袖の人とか、観客とか。それが妙に良い表情だったりするものだから、この人は何なんだろう、この人にはどんな人生があるんだろう? ってつい考えちゃう。
そもそもポスターの用途を考えるなら、これは劇場とか役者さんの宣伝だった訳だけれども、改めてそう認識するとロートレックのポスターってそれ1枚でぜんぜん完結していないし、完結していないから良いのだな。ポスターを見て、なんだか面白そうだな、って思った私のような人間が、ときのムーラン・ルージュや華やかなバーに足を踏み入れる、そしてめくるめくひとときを過ごす、ロートレックのポスターはそこに我々を導いて行くための、あくまで導入、起爆剤、まさに扉のドアノブのようなものであって、あ、すごい面白そうだ、見に行ってみよう、と背中を押してもらう「引き金」。ロートレックのポスターにはてしない広がりと温度を感じるのは、やっぱりロートレック自身がこういう見せ物が好きで、なあお前も面白いからこいよ、だまされたと思って見にきてみろって、と、そんな思いをポスターに塗り込めているからなんだろう。

それに比較して後期の娼婦たちを手段に描いた連作は、完結している感じだ。これはそもそもあからさまに開いていると思われがちな娼婦たちの、隠された日常やちょっとした悲哀をうまく掬い取って絵にしているので、これを見て、よし俺も娼館に行こう、なんて思うことはぜったいにないものなあ。どっちかというと、この後期の作品群のほうがロートレック自身の本質に近いんだろうね。もともと隠されたことや「悪」とされていることにすごく興味を持ちそうな人だし、かといって常識知らずという訳でもない。人をじろじろ見つめることはマナー違反、不躾だとわかっていてなお、じっと見たい欲望を持ってしまった人のように私には思える。だから、この人の娼婦たちの絵に、私は覗き見しているみたいな、変に背徳的などきどきを感じるのだろうなあ。
こういうふうに、すごく心を動かされるものが、私は好きだよ。自分の感情を、いままで知らなかったような形で揺り動かされるのが、ほんとうにおもしろくてたまらないんだ。ロートレックもまた、私の扉のドアノブだ。彼の絵を見て私は、爛熟したパリの街を思い、そこを歩く人々の様子を思い、劇場の熱気や役者たちの少し卑猥な笑みまで心に思い浮かべることが出来る。扉さえ開けば、想像力こそが翼だ。どこにだって行けるんだ。

ポストカード。

2011年のクリスマスイブによいものを見ました。君もどうか素敵なイブと、素敵なクリスマスを過ごしてね。


コメント

ロートレック

ニア様、こんばんは。

ロートレックは、アブサンを持つ娼婦と、あと、娼婦の汚れ物を回収しに来ている洗濯屋の絵が好きです(両方共、正確なタイトルを失念)。

デザイン学校(母校はAXの真向かい)時代から、ロートレックの醸し出す、パリの場末の退廃した雰囲気が好きで、まだ当時高かった洋書を眺めつつ、世紀末に思いを馳せておりました。

猥雑さと、むせ返るシガーの煙と、喧騒の隙間を漂って鼻をつく、酒場の汚穢臭と体臭。確かに生きている実感と、夢うつつな感覚。

渾然一体となって、100年も昔の、欧州の盛り場が、目の前に蘇ってきますね。

思い出させて下さって、ありがとうございます。
そして、太宰を読み始めました。
弘前~秋田のライヴに行こうと思っているのですが……弘前の翌日、五所川原に出て、太宰治記念館に寄り、五能線に乗り込もうかと画策しています。

今からワクワクです。

さくさん
こんな与太記事にコメントをありがとうございます。とても嬉しい! 洗濯屋の女の絵、今回来ていましたよ。女の背中をロートレックは描きたかったのだろうなあ、と思いました。さくさん、デザイン学校に通っていらしたのですね。私は絵を見るのは好きですが、描くほうは才能のひとかけらも無いので、羨ましいです。
世紀末というものにはやはり恍惚と不安がつきものらしく、どの国にもほんとうに独特の文化が芽生えるように思います。19世紀から20世紀に移り変わる頃の日本では、ちょうど黒岩涙香などの翻案推理小説が全盛で、非常におもしろい時代ですね。

ろくでなし太宰はさくさんに少しは本を読む喜びを与えているのでしょうか。太宰治記念館、昔の斜陽館ですね、和洋折衷のよい建物で、とても素敵ですよ。私も行ったことがあります。五能線沿いには小説「津軽」のおかげで太宰の史跡が多く、確か深浦にも記念館があった気がしますが、こちらはいまいちです。完全に話がそれてしまいますけれど、青森出身者の記念館で言えば、三沢にある寺山修司の記念館が抜群に面白いです。秋田青森のツアー日程は4月でしたっけ。まだ少し寒いんじゃないかな。いいなあ、いまからわくわくですね!

私が大学生の時、はじめて自分の意思で見に出かけた展覧会がロートレック展でした。

絵画等にはほとんど興味のなかった私なのですが、ロートレックの絵だけはなぜか大好きで、この時の展覧会で買ったポスター3枚は、私が大学を卒業するまで暮らしていた部屋に飾ってありました。1枚はアリスティド・ブリュアンで、2枚目は黒猫、そして3枚目はピンクのストッキングをはいた踊り子の絵。

彼の作品は、まさにパリの光と影が見え隠れしていますね。
華やかで賑やかなだけじゃなくて、ちゃんと舞台の裏も出てくる。紙芝居でもできちゃいそうな感じ。

そういえば、これまでの人生で壁に貼ったポスターは、今のところこの時のロートレックとブルーハーツだけだわ!

ルードガールさん
ロートレックにそんな思い出があるのっていいなあ~。ほんとに惹かれるし、あの色、やっぱり生の絵を観たくなりますよね。そういう意味で、ロートレックも光と影色濃い、非常にライブ感したたるロックンロールなモノなのかもしれませんね。ルードガールさんが選んだ3枚のポスター、私もぜんぶ、目の前にありありと絵が思い出せる……。

私が壁に貼ったことのあるポスターは、シド・ヴィシャスだけだ。チェルシーホテルで何か吸ってるやつ。いま思い出すと、どうも甘酸っぱくて恥ずかしいね。

今頃コメントすみません

おお!ロートレック大好き!
いわゆるゲージュツ的絵画も好きなんだけど、
私は商業芸術というのがキャッチーで好きです。
そこにはクライアントさんとのコミュニケーションがあって、
絵と見る人とのコミュニケーションがあって、
見る人と商品や催事のコミュニケーションがあるから。

今頃コメントごめん。
ちょいと留守にしていたんだよ。

tokageさん
改めておかえりなさい! おつかれさまでした! こっちはいつでもコメントして下されば嬉しいですよ~。

ロートレック、いいですよね! いわゆる印象派のような「名画中の名画!」みたいなものを私があまり好きになれない理由は、それがうつくしすぎるからではないかと思っています。ロートレックってやっぱりtokageさんも仰るように、たくさんの人が関わった商業の匂いがするからおもしろいんですね。なまなましく人の気配がするものが、私も好きなんだと思います。

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