ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 五線譜という名の線路を辿り、きみと奇跡を探しに行こう。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

おとぎ話、たとえ話。

数学や物理のように数字を使う学問は、私にとっては1本の、すばらしく大きな樹木。

あらゆる方程式や数式を駆使して、あまたの学者たちが時間をかけて少しずつ、枝葉を広げて血を通わせる。根っこから幹へ、幹から葉へ、脈々と流れる円周率を見上げれば、数字の間から覗く木漏れ日がまぶしい。きっといつか、その葉の陰に誰か若き学者が花を見つける。その発見が次の実を結ぶ。新しい、完璧に美しい数式の完成。そうして樹木は天を目指す。やがて、空の天井にかすかに手が触れることを願っているかのように。


だとしたら、言葉を使って文章を書いたりすることを、私はどういうふうに例えよう。言葉は決して1本の樹木のようには繋がって行かない。全てを貫いて静かに横たわる方程式はそこにはない。いつもひらめいては消えて、またひらめいては消えて行くもの。それは、たぶん夜の空に似ているのだ。

小さな頃に星座の本を見たら、そこには星と星をつなぐ線が描かれていた。その横に書かれた「おおぐま座」とか「カシオペヤ座」の名前の通りに見えることは少なかったけれど、どうにか見ようによってはなんとか、まあそう見えないこともないかもね、と思っていた。実際に空を仰いで星座を探す機会に恵まれて、そうか、ほんとの空には本のように線は引かれていないのだ、と改めて当然のことに驚いた。
文章を書くことは、広い夜空に熊や人のすがたを見つけて描くことに似ている。キラキラ光る言葉を見つける、でもそれだけじゃだめで、次のキラキラ光る言葉まで、線を自由に自分で引いて行く。下ばかり向いている顔を少し上げることで、こんなにも世界に光る星があることに気づいて、私は夢中になる。うまい具合に星をつないで、おおきなひとつの絵を描くことが出来ると、それはもう嬉しくて、誰かにそれを見せたくなったりする。でも、みんなが私と同じ絵をそこに見てくれるとは限らなくて「あんなの、くまじゃない」とか「私には狐に見える」とか言われたりもする。言葉という星は、わりあいに簡単に私を裏切ったり、傷つけたりもする。しょんぼりして、またはじめから線をつなぎ直してみたりする。前には気づかなかったほうにきれいな星を見つけたりする。星座を作った人は、こよなく暇だったのかもしれない。こんなに言葉を連ねて、私もそうとう暇だ。でも私は、星座をつくった人が好きだ。それまでただの空だったものに自分の思うように絵を描き、そこにたくさんの物語を読んだ人が心から好きだ。


だとしたら、やっぱり音楽は海だ。大海だ、ロックンロールは荒海だ。新しいレコードを聴くとき、いつも私は自分の小さな船で港を出て行く航海士のきぶんだ。潮風に髪をなぶられて、波の向こうの行き先に目を凝らす。いったいこれからどんな天気に見舞われるのかを全身で感じようとする。音楽は最終的には聴覚を使うものなのではないと思う。五感すべてで感じるものだ。魂でうけとるものだ。ロックンロールの大海は、ロックンロールという名前の容れ物からいつも少しあふれてしまう、どうにもカテゴリがつけられないもので、言葉ではとうてい説明しがたい。数字でも理解は無理だ。だからこそ、私はそれが好きだ。
航海を続けていると、立ち寄った無人島の波打ち際で蟹を見つけることがある。周囲に流れる音楽の中で、私はふと気づく。この蟹は、ああそうだ、確か、前にぜんぜん別の島で見たことがある。それはここから何千マイルも離れた、ひどく遠い島だった。でも確かに同じ模様の蟹なのだ。だとしたら、昔、何かの形でふたつの島は繋がっていたのだ! こんなに遠いと思ったのに! これは世紀の大発見だ! また波に体を洗われに戻って行く蟹を見つめながら私はつかの間、発見の幸福にうち震える。
ニューオーリンズのブルースの中で聞いた歌を、パブロックのドクターフィールグッドがカバーしているのを聞いた瞬間、そうだ、私は正にそんな大発見をした気持ちになっている。何の関連も無いと思っていた、遠いふたつの島に同じ蟹がいる。そして少しにやりとする。リー・ブリローもきっと、魂でわかったのだ。なんの先入観も無く、ただこの歌をカッコいいと思って、カバーしたのだ。ブルースもレゲエもロックンロールも関係ない、音符というやわらかい水がすべてをつなげ、満たす。大海は時に荒々しく、時に凪いで穏やかだ。そのすべてを、私はぼろぼろの自分の船の舳先で味わっている。そして日が暮れたら空を見上げる。そこに星座を描く。良い星座が完成したら、やっぱりきみに見てほしいと思う。


たまには海で他の船を見る。


ランプの光で「こっちは元気だ」と合図してみたりする。合図がかえってくることもある。かえってこなくても、それはそれで別にいい。もしも近づくことが出来れば、手を触り合ったり、情報を交換したり、すごく仲良くなれたりしたら、しばらく一緒の船に乗ってみたりもする。それでも、波の向こうに見る景色はひとりひとり違う。ひとりが一隻の船をもつ、みんながロックンロールの船長で、航海士で、記録者で、海賊だ。


双眼鏡を覗けば遠くの波間に揺れている頼りなくも凛々しい船が私には見える。その姿に私は勇気をもらう。だって、あれはたぶんきみの船だ。君も私も自分の航海まっただ中で、時折こうしてすれ違うことが出来るんだ。

きみの船から遠くに見える、それが私の船だ。


やあ。


きみ、こよいは何を聴いていますか。



コメント

かっこいい…。゚(゚´Д`゚)゚。

なんてかっこいい文章なんだ…。゚(゚´Д`゚)゚。

どうしたらこんなかっこいい文章書けるようになるんだろ…
沢山本を読んで 沢山音楽を聴いたら 
ましまにあさんみたいな文章が書けるようになるのかなぁ~(ノ´∀`*)
それだけじゃ 多分ムリよね…( ;∀;)あああ

ステキなブログ記事読ませてくださって ありがとうございます♪

こんにちは。

ああ、やられたな、と何故か思いました。
にあさんの星座や航海の記録は、いつでもわたしをわくわくさせてくれるのです。

わたしは昨日、GREEN DAYを聴いて、ライブ映像を眺めていました。彼らの目には何が映っているのか、それをぼんやりと考えました。

☆*。 ワタシ、ハ ☆* シン、デ ☆ シマッ、タ ☆ ギタリスト、ノ ☆*。クルッ、タ、ギター、ヲ ☆ キイ、テ ☆ イ、マス ☆*

おーい。ぶんぶんぶん・・・(旗を振る)
私の手漕ぎボートも見えますか?
海、広すぎて時々途方に暮れますけど
蟹つかまえたり、貝殻拾ったりしながら
今年も、ぷかぷか流れていきたいと思います。
・・・もしも遭難してたら・・・たすけてー・・・

みーたんママゴンさん
ストレートな賛辞をコメントにして下さって、すごく嬉しい! みーたんママゴンさんを感動させる星座が私に描けたのかな? と思うと、私のほうが(ノ´∀`*)←こんな顔!

凛華さん
「やられたな」って感想、こっちとしては「よっしゃ! やってやった!」って大喜びですよ。凛華さんが「こういうことを私もちょっと考えていた」って思ってくれたならいいなあ。私も、彼らの歌に対してそう思うことがあるんだよ。
グリーンディ、私は初期のほうが好き。うちにもライブDVDがあって、時々観ますよ!

tokageさん
あのひとのギターは稲妻で、羅針盤のようですね。あのひとのギターが私を別の場所に連れて行って、あたらしい音楽を見せてくれたことが何度もあります。tokageさんはあのひとのギターと一緒に、いまどんな景色を観ているのでしょう。

ぷにすけさん
ハッ、ローリングストーンズ島に停泊していたあのボートは、ぷにすけさんのだったんだなっ!(笑)
大海原の真ん中で、気がついたら360度水平線なんていうときもあるけれど、そんなときはそこで魚でも釣って、ぷかぷか気楽に行こうよ~!

星をください

ニア様

こんばんは。
いつも素敵で、広がりのある文章をありがとうございます。

読ませて頂きながら、沢山のことを思い出したり、空想したり妄想したり。目を瞑ると見えてくるもの、聴こえてくる音が感じられます。

東京生まれの東京育ちの悲しさ。私は、降るような星空を見た経験がありません。
一生に一度やってみたいのは、くわえ煙草でトラックの荷台で寝転び(TRAIN TRAINのPVのラストで、マーシーがやってるみたいな)、星降る夜空のモンゴル草原を疾走することなのですが…(^_^;)

いつか、かなえられるかなぁ?

海、ロックンロールとなると、何故かいきなり、脳内を流れるのは、レッド・ツェッペリンの移民の歌です。
ロバート・プラントがアイスランド公演で作ったと言う…ヴァイキングの、ノルマン・コンケストを歌ったヤツ。

ヴァイキングもまた、私の好きなテーマでして(^_^)v
オスロのヴァイキングミュージアムも行きました。大興奮でした!!

自分にとって、未知の世界に繰り出すのは、不安もありますが、好奇心でワクワクドキドキな楽しさもありますね。

人生短いし、恐れて躊躇して諦めてしまう方法もあるけれど。
誰しも、心の何処かに、フロンティアスピリットがあるはず。
ロックンロールって、そいつを呼び覚ましてくれるモノな気がします。

さくさん
コメントをありがとうございます。さくさんの中に、たくさんの言葉や音が降ってきたなら、私はこの文章を書いてほんとうによかったと思えます。
星空、いまは見るのが難しくなりましたね。私も東京生まれ東京育ちなのでそれほど見る機会に恵まれないのですが、何度か流星群を見たりしたときの感動はいまでも忘れられません。モンゴル草原ならきっとこわいほどの星でしょうね! いつか見たいものです。

樹木、星空、海……どれがいちばん良いという訳ではないですね。どれもほんとうに素敵なものです。まさにフロンティアスピリットによって、人は数学の謎を解き明かし、憑かれたように文章を書き、或いは音符を並べたりするのかもしれません。どの分野であれ、ロックンローラーというのは好奇心に満ちて「旅する人」のことなのですね。

Blues島からこんばんは

Blues島で飲み屋を経営しているものです。
夜になるとBlues族らが店に集まってきて、Bluesセッションが始まります。
あまりこの島にたどり着く人がいないので、こじんまりとしていますが・・・。

今晩の予定は、1月10日ということもあって、ウルフという名の大男が歌いに来てくれます。
サムリンというギタリストも連れてくるそうなので、ニアさんもお時間があったら遊びに来てください。

常駐ヒロトスキーさん
ふふ、君んところは、確かに「バー」と小洒落たものより「飲み屋」があってるよ。昨夜はBLUES島で、あまり慣れない酒と音楽にたいそう酔っぱらっちまった!! 私はまだまだ、BLUESはわからないところも多いけれど、常駐ヒロトスキーくんのお陰ですこしだけ、彼らと手を取ることが出来ている。君のお勧めなら、これからも何でも聴きたい。

ウルフは10日に生まれて10日に去った男なんだね。それもまた、BLUESの一節のようじゃないか!

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 | HOME | 

Calendar

« | 2017-09 | »
S M T W T F S
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Monthly

Categories

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Appendix

ましま にあ

ましま にあ

Hey ho,let's go!

ましまにあと直接連絡を取りたい方は
mashimania(´・ω・`)hotmail.co.jp
(´・ω・`)を@に進化させて下さい!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。