ハ ウ リ ン キ ャ ッ ツ

 ロックンロールであそぼ。

こいつは春から、縁起がいいぜ!



リクエストが来たので、うきうきと新春・甲本真島まつり。わりとかんたんに踊らされる人間だよ!


とある聖夜の甲本浩人
とある年始の甲本真島
とある睦月の甲本浩人
とある大寒の甲本真島
とある立春の真島昌利
とある猫の日の甲本真島
とある誕生日の甲本浩人
とある発情期の真島昌利
とある皐月の甲本浩人
とある新居の甲本真島
とある文月の甲本真島
とある真夏の甲本真島
とある中秋の甲本浩人
とある神無月の甲本真島
とある霜月の真島昌利
とある年始の甲本真島Ⅱ
とある睦月の甲本浩人Ⅱ
とある弥生の甲本真島
とある卯月の甲本真島
とある皐月の真島昌利
とある水無月の甲本真島
とある文月の真島昌利
とある残暑の甲本浩人
とある夜長月の甲本浩人


砂糖菓子みたいにほろほろ崩れそうな、あのひとの笑顔が、いちばんすき。



新年の仕事が始まってから、手が空くとこっそり携帯電話をいじってしまう癖がついた。ブログやツィッターが気になるわけではない。もともと、それほど携帯電話に依存しているタイプではなかった。携帯電話をうっかり家に忘れてきたとしても、1日くらいまあいいか、と思っていた。

「また見てるでしょう、るすばんカメラ~」

隣の席の同僚がいたずらっぽく話しかけてくる。あわてて携帯を閉じて、さも仕事に集中していたふりをするが、完全に間に合っていない。そもそも、私が頻繁に携帯電話を覗くようになったのはこの同僚のせいなのだ。そういう彼もとろけそうな顔で自分の携帯を覗き込んでいる。

「いつみてもかわいいなあ、チョコちゃんは~」
「……言っとくけど、うちの甲本ヒロトと真島昌利のほうがかわいいから。断然かわいいから」


もともと、この同僚のことを私は「よく携帯を見ている人だなあ」と思って呆れていた。彼は仕事中も時々、画面を覗いてにやついている。会社の飲み会のときもふと目をやると携帯のディスプレイを見ている。愛しの彼女から頻繁にメールでも貰うのだろうか、と思っていたのだが、忘年会のときに遂に、彼が携帯を手放さない理由がわかった。
「ぼく、ねこ飼い始めたんですよ、もう可愛くて可愛くて」
したたり落ちそうな笑顔で差し出された携帯の画面には、子猫の動画が映っていたのだ。聞いてみれば、留守にしている間の子猫の行動が心配で、住んでいる部屋にペット監視カメラを取りつけたのだという。いまのカメラは高性能で、それほど高くない値段でカメラを2台、部屋の中の好きな場所に設置でき、その2台を切り替えながらいつでもリアルタイムで子猫の様子を携帯で見ることができるのだそうだ。カメラに映る猫は音声までは拾えないものの思ったよりも鮮明で、背中がチョコレート色だからチョコちゃんと安易な名前を付けられたその子猫が、愛らしく丸まって眠る姿が確認できた。

ついつい私のいない間の甲本ヒロトと真島昌利のことなどに思いをやり、面白いかな? と思ってかなり突っ込んで同僚に話を聞いたのが良かったのか悪かったのか。いい年になって猫?! しかも留守番カメラってどれだけ過保護?! と普通ならやや引いた目で見られるはずのところを、私がそのチョコちゃんの、カメラがなければ見られなかった留守番中のしぐさの可愛さや、るすばんカメラの有用性についてじっくり話を聞いてしまったために、仲間ができたと喜び勇んだ彼は、新年あけてすぐ「お友達紹介キャンペーンで、1ヶ月使用料無料だったから申し込んでみました!」と、私にもるすばんカメラ一式を押し付けてきたのだった。

ふつうなら「そんなもんは使わん、家に帰れば会えるし」とクールに断ることができたはずだ。ただ、この年末年始、またも甲本ヒロトと真島昌利を連れて帰省し、カウントダウン、初詣まで一緒に行って、朝から晩までベタベタいちゃいちゃ、おせちを食い餅を食い、笑顔を堪能したくさん楽しいことをして暮らしたあとで、ひとり仕事に行かなくてはならない日々は、なかなかきついものだった。おまけに年始から忙しくて、帰宅が遅くなってしまう日も多い。仕事中、甲本ヒロトや真島昌利のかわいい姿を見られる! というのは、私にとって抗いがたい誘惑だったのだ。

で、ついついベッドルームとリビングに、カメラ設置。

同僚みたいに携帯を見てはきみわるくニヤニヤするのもどうかと思うので、仕事が一息ついたとき、たまにだけ見よう、と決めていたはずなのに、いざ起動させてみると、これがなかなか面白い。同僚が頻繁に携帯を見ていた理由がわかるのだ。かといって、画面の中の彼らが特になにか私を楽しませるようなことをするわけではない。甲本ヒロトがいつもの見慣れたリビングでレコードをぼんやり聞きあさり、真島昌利が昼間からベッドルームで惰眠をむさぼってごろごろしている、想定の範囲内の通常状態を確認するだけ。だけど、そこにはほんとうなら自分が知らないはずの彼らの生活を覗き見ているという、やや隠微なうしろめたい快感もちょっとあり、これは口当たりのあまい強い酒のように私を酩酊させ、夢中にさせた。
また、カメラをズームにしてよく見ると、甲本ヒロトがほそい膝に顔をうずめて一心に聞いているのが、この間お正月に私が「この曲すごく好きだなあ」とぽつりとつぶやいたそのレコードであることがわかったり、うまく昼寝に落ちることができないのか、ぼさぼさの頭のまま部屋から部屋へ放浪する真島昌利が、ようやくぐっすり寝ついたのがいつも私の使うフワフワタオルケットの中であるとか、いままで知らなかったけれど改めて私をときめかせる発見が多くて、知らない間ににやついてしまう。それを同僚に見つかり、したり顔で余計な一言二言を言われる。照れくささのあまり、決まって同僚と「うちのこのほうがかわいい」合戦になる、というのが、ここ2・3日のお決まりのコースだ。

小さな画面を通してみる甲本ヒロトは、水槽の中のきんぎょみたいだ。触れそうで触れない。つやつやした髪が柔らかくてエアコンの風に揺らいでいるのも、冬の西日がそのそげた頬にさすのもぜんぶわかるのに、触れない。時々、あんまり愛しくて画面をなでていることがある。家に帰れば存分に撫でたり触れたりできるのだけれど、なぜだかこうして離れているときほど余計に、私は甲本ヒロトをどれだけ愛しく思っているかという自分の想いに気づかされる。

真島昌利は時折ギターを弾く手を止めて、カメラの向こうにいる私に気づいているかのように画面越しに私をじっと見つめる。このカメラは映像だけで音は出ないから、何の曲を弾いているのかなあと思いを馳せる。リビングの棚の上にカメラを置いているせいで真島昌利は上目づかいのビー玉のような瞳でじっとみている。携帯電話のディスプレイなのに私はどきどきして思わず目をそらす。真島昌利の眼は、私にはいつだってほんの少しきれいすぎる。いっそくりぬいてキャンディのように舐めてやろうかと妙な妄想を抱くほどに透明で、ソーダのような泡さえその瞳の奥に浮かんでいるのが見えるような気がする。


何日か甲本ヒロトと真島昌利を追っていて、1時間か1時間半にいちど、そろってリビングからもベッドルームからも姿を消すことに気が付いた。はじめはトイレにでも行っているのかと思ったのだが、決まって一緒に行動しているのはちょっとおかしい。同じ部屋でごろごろしているときも、別々の部屋にいるときも、ほとんど同時に、すごくおもしろいことでも見つけたかのように、ぴんと耳を立て、同じ方向をじっと見たかと思うと、何をしていてもとりあえずそれを中断してすっ飛んで行ってしまう。そして、2~3分すると、へんに肩を落とし、うなだれてまたカメラに写り始める。何が甲本ヒロトと真島昌利をそこまで駆り立てているのか、ひどく気になった。私がいままで気づかなかっただけで、いつもそんな行動をしているのだっけ、と思って、家に帰ってから気をつけて見ていたのだが、私がいる間は特にそんな切羽詰まった俊敏な動きをしない。甲本ヒロトも真島昌利も怠惰きわまりなく私の膝に頭を載せ、うとうとしているばかりだ。仕方ないので両手でそれぞれの髪を撫でてやる。甲本ヒロトの髪はこないだちょっと切りすぎてしまった。生えかけた芝のように手のひらにちくちくする。真島昌利の髪は人差し指に巻き付けて放すと少しの時間だけそのままの形で輪になっていて、そのあとしゅるんとまっすぐに戻る。血の色の透けた薄いまぶたを、私はいつもガラス細工のようにそうっとさわる。一方ばっかり構っていると、もう片方がのどの奥で低くうなる。実家の町内会で餅つき大会があって大量にもらってきた餅がまだ冷凍庫に残っているので、餅ばかり食べている甲本ヒロトと真島昌利は明らかに少し太ってつやつやしている。ルーズにめくれ上がった部屋着から覗く腰が、それこそ餅のように嫌に白いのを見ていると、自分がちょっと変態になったような心地がする。


思いついて、翌日からカメラの場所をベッドルームから変えてみた。まずは、トイレ前の廊下に設置。廊下は暖房が常に入れられているわけではなく寒いので、甲本ヒロトも真島昌利もぎりぎりまで欲求を我慢しているのか、タイミングが合うとすごい形相でトイレに駆け込んでいく様子が見られて、これはこれでちょっとかわいらしい。なぜそこで脱いだのだろう、真島昌利が履いていたはずの靴下が片方、廊下の隅に放置されたままで、帰ってから「靴下どこにやったの」と指摘すると「どこにやったんだろう」とさも不思議そうな顔で私をじっと見る。「ここでしょ」と廊下に連れて行って「いつも片方なくすけど、あっちこっちで脱いだらまたなくすよ」と言ったら、どうして私がなくした靴下のありかをちゃんと知っているのか、ひどく驚いた様子で、その日の夜はみょうに疑り深く、しつこくまだやっているDSのねこのゲームを、以前のようにまた手で隠しながらこそこそプレイしていた。

それから何日か、カメラの場所をキッチンやテレビの上に移し、それでも1時間毎に甲本ヒロトと真島昌利がすっ飛んで行く場所がよくわからないので、最後に玄関のあたりにおいて出かけてみた。このカメラを使うようになってからサッパリ仕事がはかどらなくて、余計に残業が増える羽目になったものだから、お試し期間の1ヶ月で返送することにしようと決意した1月も中旬のことだ。返送を決めたものの、それなら最後まで楽しもうという意地汚い気持ちもあって、ついついさらに覗くようになっていた携帯に、それは突然映った。


1時間毎に甲本ヒロトと真島昌利が走って行ったのは、玄関だった。


最初はどうしてだかわからなかった。ドアホンが鳴ったのだろうか、と思った。でも、そんなにたびたびドアホンが鳴るはずもない。甲本ヒロトと真島昌利は思い出したように玄関のドアまえまで突進しては、息を詰めるようにしてじっとドアをみつめる。まるで目からビームでも出しそうな勢いで。その間は微動だにしない。そして、しばらくするとちょっと肩を落とすようにして、またトボトボとリビングに戻っていく。何度かその姿を見ていて、ようやくわかった。わかったときには、泣きたいようなうれしいような、変な気持ちがした。

私を待っているんだ。私の帰りを待っているんだ、甲本ヒロトと真島昌利は!

あたりまえだけれど、いままで実際に帰るときしか玄関のドアを開けないわけだから、何度も何度もこんなことをして待ってくれているなんて知らなかった。私が帰るとき、ドアを開けるとそこにはいつも甲本ヒロトと真島昌利の姿はあって、とびかかってきたり、にこにこ笑顔を見せてくれたり、いつも私は仕事の疲れも吹っ飛ぶほどの「ただいま」の歓迎を受けるけれど、たぶんちょっとした物音や、足音や、気配がマンションの外廊下のほうでするたびに、甲本ヒロトと真島昌利は、一日のうち、なんども、なんども、私が帰ってくるんじゃないかって、あんなに突進するようにして玄関で待ちかまえてくれていたのだ。そして、帰ってこないことがわかると、はた目にもわかるほどがっくりして引き返す。私の知らないところで、甲本ヒロトと真島昌利はたしかに、私のことをこんなにも、こんなにも待ち焦がれてくれていたのだ!

私は仕事中にもかかわらず、甲本ヒロトと真島昌利の姿が映る携帯電話を抱きしめる。なんだか、すごくありがとう、と思う。こんなに私は待たれている。早く帰ろう。お家へ帰ろう。きみたちとともにいまだ残る餅を食べ(おとといは大根おろし、きのうは納豆からみ、たぶんきょうはチーズ乗せ)、そのやわらかい髪をなで、素足の爪をそっと切ってやろう。


「今夜どう、久しぶりに一杯いかない~~?」


「却下!」


溢れそうな笑顔のままで、うしろに近づいてきた上司の誘いを即座に断ってしまった私を、隣の席の同僚が噴出しそうになるのをこらえて見ている。その机の上には、いつの間にかチョコちゃんの写真が飾られている。でも、私の甲本ヒロトと真島昌利のほうが、もっともっとかわいいもんね。


早く帰ろう。


そうして輝くきみたちの笑顔を、今宵も完全無欠のものにしよう。


コメント

Boys

ニア様、こんにちは。

わーい、素敵なお話しをUPして下さり、ありがとうございます♪
それもとびきりラブリーで、ほんわかするような…愛情物語ですね(^O^)


私は、犬や小鳥や齧歯類と、常に動物に囲まれてきたのですが、何故かにゃんこだけは縁がなくて、にゃんことの暮らしは憧れです。

でも、私がにゃんこが好きでも、にゃんこは私を嫌いらしい(;_;)
理由は多分、犬みたいに扱うので、にゃんこからすると…しつこい、ウザいみたいです。

適度な距離感と気遣いが、にゃんこには必要らしい。ニア様はにゃんこを飼っていらしたことがあるのでしょうね。なんつーか、絶妙な頃合い、折り合い(じゃれたりムカついたりはらはらしたりも)が、其処此処から感じられて、このシリーズ、大好きですo(^-^)o


二匹のBoysが、キモチふっくらして現れるだろうツアー、スタートまで一ヶ月を切りましたし。
ツアーが始まると、にゃんこは家出するのかな?

続けていくことって、本当に気力、体力が要ることなのですが…でも、たまにでも構いませんので、これからも是非お願い申し上げますノシ(^_^)v

ありがとうございましたー(^O^)

さくさん
さっそく読んで下さり、こちらこそありがとうございました~! 実は私もげっ歯類や小鳥には縁があったんですが、自分がねこを飼っていたことはないんですよ。でも、ねこ好きです。家までついてこられたりします。世界で最も可愛い生き物だと思うので、いつかお世話したいです。

やっぱりこの物語は書いていると楽しいので、これからも時々更新しようと思いました。さくさん、また続けるきっかけを下さってほんとうに感謝いたします! とうとうアルバム発売まで近いですね、た の し み です!!

と、盗撮・・・!
2人それぞれの生態が面白いな。
寝床を探して放浪するのですね。(メモメモ)

変わらず、仲良く暮らしているようで良かった。
冬眠しているのかと思っていましたよ。

ぷにすけさん
盗撮……!? 人聞きが悪いわ!(でも、まぎれもない盗撮)

冬はやや活動が鈍くなるようなので、体重増加に気をつけながら暮らしていました。冬眠させると目覚めないことの多い種族だから、お部屋はあったかくしないと!!

ええ、ええ。
その玄関まですっ飛んでくる姿。
起きて食って寝て、ボーーーーーっとする姿。
たまらんのですよ!
あ、こちらはニャンコに対してですがね・・・。

ニアさん、出勤したら数時間もしないうちに帰りたいでしょう?
日が暮れてくると取る物も取り敢えず、まっつぐ帰りたい!ですよね?
待っててくれる人(や、何か)が居るって素晴らしいな♪

ブチさん
おたくのねこさん、可愛いですもんね。顔がずいぶん柔らかく変わりましたよね。愛されてる証拠ですね。見てないようで時々見てるんですよ、ついったー。

数時間どころか、会社について数十分で帰りたい日がありますよ~。愛するものと共に暮らす人々は、引きこもりたい誘惑と毎日毎日戦いながら暮らしていますよね。

2012年うちのヒロトも元気です

いいなあペットカメラ!しかも帰ってくるのを首を長くしてまっているお二人がかわいいー!

また勝手ながら、うちのヒロトの近況をお知らせさせていただきます。
うちのヒロト、髪切りました。というか、いつものように一人で千円カットに行かせたら、どういうわけか坊主に・・・。
どっから持ってきたか、マジックテープを頭に着けてはビリビリと外して、キャキャ遊んでます。だ、大丈夫かな。

そちらのお二人はお餅が好きなんですね。
うちのヒロト全然食べないんですよ、お餅。トースターでぷわーっと膨らむ様子を見て、私の後ろでびくびくします。踊り食いだとでも思っているのでしょうか。いつもなんでも食べようとするくせに、お餅には手を出してきません。

あとはレコードですね・・・お正月セールで100円コーナーにストーンズを見つけたんです。2人で喜んで帰って針を落とすと、情熱的なフラメンコが流れてきて・・・中身が違ったのか、カバーが違ったのか・・・。
当然しょげると思ったら、ヘビーローテーションですよ・・・。2人でフラメンコごっこをするのが日課です。
オレイ!!

常駐ヒロトスキーさん
そちらの甲本ヒロトもお元気そうで、嬉しいです。マジックテープ……ついに自らの体もおもちゃ……。

甲本ヒロトによっても個体差があるようで、やはり好き嫌いの違いはあるんですね。こちらでは真島昌利が一緒なので、餅をよく食べるのかもしれません。
ストーンズのLPは、かえって良かったんじゃないでしょうか。1月からフラメンコで、景気がいいぜ! オレイ!!

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